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| 「お熱い夜をあなたに」(1972) ビリー・ワイルダー監督 | | 作成日時: Nov 08, 2004, 10:12 PM |
ビリー・ワイルダー作品では、わたしの最も好きなもの。なにしろ、まさに「艶とジョーク」に溢れた、監督の粋の凝縮した映画。
南イタリア、イスキア島。父親の事故死の報に一人島へ。そこには、父親と一緒に事故で死んだ愛人の娘も来ていた。
と、本当なら、なんとも悲しさ漂うところ、ほのぼのとさせてくれるわけです。
主人公には、「アパートの鍵貸します」で名演技、ジャック・レモンと、イギリスの女優ジュリエット・ミルズ(母親が有名らしい)。
まずは、軽く艶笑ジョーク。
「昼飯に3時間?」
「チキンとフライドポテトのアメリカ人と違い、時間をかけパスタを料理し、チーズをたっぷりとワインを飲み、女を愛するのです」
「で、夜は何を?」
「女房の相手をします」
親たちが毎夜楽しんだ料理と酒と音楽、それを追悼で自分らも真似、そして日の出を見に裸で岩場に泳いでゆく。
「二人ともまるでアザラシの赤ん坊だ」
地中海の海の青さが美しい。
そして、所々、政治的なジョークを織り込ませている。
「明朝いとこの弁護士に連絡し釈放させます。腕は悪いが判事と同じ愛人を共有してます」
「イタリア式正義か?」
「サッコとヴァンセッティは?」
アメリカへのちょっとした皮肉。
もう一つ
「昔は良かった」と、国務省のお役人
「ムッソリーニをしっとるのか!?」
そして思わず、右手を掲げる敬礼〜。
そして、このシーンのために、この映画の脚本を書いたとしか思えないほどのお気に入りの場面。
「はかりに乗ってみてくれよ」
「イヤよ」
「体重じゃなく身長さ」
背の低い彼女をはかりに乗せる。
そして、映画の始めからさんざんぱら、使ってきた台詞、ここ一番の見せ場の場面。
「ペルメッソ?」
「アヴァンティ」
彼女が歯磨き粉と歯ブラシをもった手を、首に回してキスするところが粋です。
最後に結局無駄にならなかった棺、自分たちの父親と母親を、彼らの愛したイスキアの青い地中海と太陽の下に埋葬、映画全編にわたって流れる、あの美しいわたしでも口ずさむメロディ。
「もし今度ロビーか売店で出会うときはスマートになってるわね」
「ミス・ピケット、 1ポンドでもやせたら 僕たちの関係は終わりだ」
二人とも、今度は彼らが、毎年7月15日に再会の約束をする、その言葉。素直ではない大人の遠回しだが、精一杯の正直さ。このあたりが、上手さだね。
結局、ごく普通で、純粋で道徳的な愛に関してはビリー・ワイルダーは興味がなく、こうした少し不道徳で、でも、正直な感情を、非常にきれいに描く天才だと実感するばかり。しかし、音楽がいい、背景が美しい。この映画を見れば、イスキア島へ誰もが行きたくなること間違いなし! |
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