颱風とざくろ

〜 発見・いつくかの源流 〜



 スカパーのチャンネルNECOで放送中の1969年の倉本聰脚本「颱風とざくろ」。

今週(2008年1月第2週)は、その第8話が放送されました。                           



 谷川岳で転落死した英子の恋人緒形拳さん演じた
坂本一雄。ドラマはそれから一年後、彼の弟である
二郎(演ずるは石坂浩二さん)がアメリカから帰国
して、新しい展開を見せ始めます。


 テレビ局に勤めはじめたヒロイン英子は、スポン
サーの敏腕宣伝部長田辺(演ずるは70年代初頭あ
る事件でブラウン管から消えた園井啓介さん)から
求婚されました。それを機に英子と二郎は、それぞ
れ気づかぬうちに互いを意識し始めていたことに気
がつき始めるってところでしょうか。


 ドラマは後半に入り、二郎と英子の恋模様の他に、
英子の出生の秘密もからんできそうな予感もします。


 このドラマを観ていると、自分の記憶が混乱して
いた部分を整理出来たり、いろいろ発見出来りする
ンです。


 そもそも、幼い自分に残っていた当時の記憶では、
「颱風とざくろ」のヒロインは吉永小百合さんであ
り、彼女が演じたのは確か女教師で、洞窟か山小屋
で緒形拳さんから厳しく意見され、そして芽生える
小百合さんの緒方さんへのほのかな恋心って...そう
記憶をしていたンです。

 それなのに緒方さんが急に死んじゃって、そこに
突然現れる弟の石坂浩二さんって図が刷り込まれて
いました。






 何故だか幼きWILLは、小百合さんと智恵子さんをマゼコゼにしてしまったようで、ドラマをしっかり観てゆけば、
平ちゃんの登場だってそれほど唐突ではなく、前半に伏線がきちんと敷かれていました。そもそもこの件については、
石坂洋次郎さんの原作設定だから仕方がないわけであり。洞窟も山小屋も、そういう場面は当然出てこないわけで、
谷川岳に智恵子さんが向かうのだって、緒方さんの転落死の後であり.....

 調べてみるとですね、小百合さんの女性師設定のドラマは、「風の中を行く」というのがちゃんと別に存在してお
りました。彼女に厳しく意見したあの男性は、内田喜郎さんであったようです。つまり早い話が当時8歳の自分の頭
の中では「颱風の中をざくろが行く」だったわけです。

 原因は、同じ日本テレビにおいて同じ1969年、かたや1月からの冬ドラマ、かたや7月からの夏ドラマとして制作
された2つのドラマを、両方ともオンエアー時は親に見せてもらえず、あるいは自分から裏番組を視聴し、その数ヶ
月後、午後4時からの再放送枠で、この2作品をおそらく連続して視聴したことによるものではないかと思います。
8歳の頃の、大人向けのドラマに対する記憶なんて、まぁそんなもんなんでしょうね。



 さて、いろいろ発見したことに話を移しましょう。

 まずはドラマの主題歌。そのレコード(ジャケットの画像がなかなか見つかりません)。
A面はメインテーマ「あこがれ」作詞:小谷夏(つまりは久世光彦さん)/ 作曲:山本直純。
B面はサブテーマ「並木よ・・・」作詞:倉本聰 / 作曲:山本直純。
つまり、東大美学美術史学科コンビによる歌詞に、ニッポン放送のラジオドラマ制作時からの戦友山本直純さんが
メロディをつけたわけです。

 脚本した作品の主題歌作詞は、山田太一さんの十八番なのかなと思っていたら、「0戦はやと」の主題歌あり、
スパイダースの主演映画の主題歌あり、そしてこの作品と、倉本聰さんもいろいろ書いていらしたってことです。
そういえば、まだ特定出来ないのですが、エッセイ「北の動物園」に書かれていた盗作事件のあのレコード大賞
歌唱賞受賞曲だって、本当は倉本聰さんの作詞なわけで....

 みなさんも探ってみてください。
おそらく1969年から1973年までのレコード大賞も最優秀歌唱賞も受賞しなかった曲の中で、
著名な作詞家(実際は名を借りただけ)と作曲家(実際に作曲)による作品となっているもの....
本当に歌唱賞なのかな????

 次に英子の実家の家業が葬儀社であること。当然都内の葬儀屋で念入りなシナリオハンティングがされたはずで
して、この取材が後の「葬式の倉本」(うちの常連上田さんの表現)の底流をなし、「川は流れている」なんかは、
そのものにつながっていった、いわば源流といってよいのではないかということです。

 もう一つ、英子の職場である東洋テレビアナウンサー部。これは、後の「二丁目三番地」、「三丁目四番地」、
「6羽のかもめ」、「たとえば、愛」へとつながっていく、倉本さん得意の業界モノの、コレもまた一つの源流
ではなかろうかということです。

 さらに最後にもう一つ、このドラマのキャスティングには、日活と日テレの制作だからと感じさせる部分と、
勝新ー倉本聰ラインなのかなと想像出来る部分があるのですが、とにかく、その後の倉本作品に幾つかお付き
合いしていくことになる役者さんが、けっこうチラホラ出演しているってのも注目ですね。

       
  
                                          WILL




現時点で判明しているキャストを挙げておきます。
なかなかどうして豪華なもんでして....  

佐久間英子:女子大4年生:松原智恵子
佐久間貞三:もっか二浪中の英子の弟:酒井修
佐久間直吉:葬儀屋を営む英子の養父:河野秋武
佐久間ゆみ子:もと花柳界の英子の実母:坪内美詠子
高田謙吉:英子の実父大学教授:下条正巳
塩沢直子:謙吉の元妻:月丘千秋
塩沢夕子:昔英子と取り違えられた女性:橘和子

坂本一雄:医学部助手:緒形拳
坂本二郎:アメリカ帰りの坂本家の問題児:石坂浩二
坂本信太郎:産婦人科の開業医:加藤武
坂本房子:夫と息子の確執に悩む母:葦原邦子
坂本けい子:高3の末っ子:榊原ルミ

英子の友人の女子大生A:水沢有美
英子の友人の女子大生B:伊藤るり子
英子の友人の女子大生C:山辺信子

一雄の学生運動仲間荒木:岡崎二朗
(後にスポンサーの社員)
一雄の学生運動仲間  :中尾彬
一雄の登山仲間黒田:武藤章生
     黒田の妻:中村玉緒
一雄の元恋人&学生運動仲間の吉田民子:吉田日出子
スポンサーの田辺宣伝部長:園井啓介
東洋テレビ村松営業部長:大塚国夫
二郎の友人大谷:岡田真澄
二郎の友人リュウ:藤木孝
大谷のGFアニー:皆川たえ子

二郎の婚約者井口葉子:姿美千子
坂本信太郎の旧友井口:竜崎一郎

1・2・5・6・7・8・12・13話監督:藤田繁矢(藤田敏八)
3・4話監督:西村昭五郎 / 9・10話監督:樋口弘美
    








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