NU SPECIAL INTERVIEW
藤子スタジオ・アシスタント第1号 ヨシダ忠先生
笑いだったら負けません
(NU34号 「F先生じゃないドラえもん」特集PART2より)

よしだただし 
本名 吉田忠明(よしだただあき)1944年1月3日福岡県博多生まれ。岡山倉敷育ち。手塚治虫さんや和知三平さんの影響を受けギャグ漫画家をめざし、赤塚不二夫のギャグに衝撃を受けた。藤子スタジオ入りする前は意外にも藤子先生はあまり知らなかったそう。しかし間近で接して、藤本先生の構成力と安孫子先生の新しいものを取り入れるどん欲さ、お二人のお人柄を知って尊敬するようになったそう。デビュー作は、同時に描いた「はりきりスギ太」(67.11冒険王増刊)「植物人間ピーマン」(68.1少年ブック増刊)。近年では趣味のインコ飼育で愛鳥雑誌への寄稿もされている。

ペンネームの読み方●名字はカタカナ書きが正しい。吉田は勝手に間違われたもので、名前はペンネームとしては、ヨシダ忠(よしだただし)が正しいがチュウさんチュウさんとみんなが呼ぶのでどっちでもよくなったそう。

■上京前
 とにかく漫画家になりたくて、高校の卒業式の次の日には、上京してました。記録映画の会社に入って、1年半くらい雑用や絵を描く仕事をしていました。
 それから、秋田書店に原稿を持っていったとき、まったくの新人じゃあなあと言われてましてね(笑)。藤子先生のところに校正か何かを届けに行かされて、当時もう先生はとても忙しくて、じゃあ明日から来なさいということになりました。

■藤子スタジオ時代
 藤子スタジオのアシスタント第一号だと思います。私が入った頃は、西村くんという人が一人お手伝いでいたけど、怒ったときは、安孫子!なんてため口を聞いたりする感じでアシスタントという感じではなかったし、つのだプロのアシスタント募集で落ちた人をせっかくだからと採用した人たちはそれまで漫画を描いたことのない人たちばかりで彼らに漫画の書き方を一から教えたりしたんです。だから私がお二人の下で先生のちゃんとしたアシスタントとして働いた第一号だと思います。
 当時は、本当に忙しくて『すすめロボケット』『オバケのQ太郎』『ハットリくん』『怪物くん』『スリーZメン』…といった感じで、『すすめロボケット』の終わり頃と『オバケのQ太郎』はかぶってね、一冊の雑誌に同時に2本の漫画が載るなんてこともありました。当時発売されていた雑誌のほとんどに載っていたような気がしますね。
 入ったときは、十二社の市川ビルにスタジオゼロが引っ越してきたばかりのときです。まだ会社という形にはなっていなくて、フジオプロとスタジオゼロがワンフロアに同居していました。途中でフジオプロが出て、つのだプロがその後に入って。私が入って一年くらいして現マネージャーの松野さんもこられて有限会社藤子スタジオができたのかな。
 一通り漫画の作法は覚えたので、1本立ちしたくて68年ころに独立しました。
 私が辞めた後、アシスタントの統制が取れないということで永田竹丸さんがチーフで入られました。
 安孫子先生の作画は、鉛筆で1本線できっちり描いてあって、そのままコピーして原稿にできるくらいきっちりしているものでした。それを私がペン入れてしていました。藤本先生の絵はもやもやした線でしたね(笑)。顔だけ藤本先生がペンを入れて体は私が入れるというやり方でした。でも藤本先生は、構成力がすごかったですね。絶対に真似できないと思いました。
安孫子先生にはやめるとき、ヨシダくん、来た仕事は断っちゃだめだよ。全部受けるんだよって言われたのが印象に残っています。

■独立直後
 2本描いて、冒険王と少年ブックに掲載されました。最初のころは、藤子スタジオからも忙しくなると声がかかってよく手伝いに行きました。だから、スタジオの海外旅行にもよく連れて行ってもらいましたね。
 69年ころから、「少年画報」で『コント55号 なんでも大作戦』や、「ぼくら」で『ジャラゴンの大冒険』などタイアップものをいくつもやっていました。『コント55号 なんでも大作戦』は、コント55号の欽ちゃん人気があったと思うけど、アンケートでもとても良かったです。

■なぞなぞ漫画
 70年ころから、当時なぞなぞブームで小学館の学年誌でなぞなぞ漫画を描くようになりました。毎年いろいろ考えて新しいキャラクターをやっていました。さあ今年は何をやろうかと言われて(笑)。影を扱った71年の『なぞなぞまっくろう』は山根あおおにさんの『カゲマン』より早いと思いますね。なぞなぞブームはすごくて今では考えられませんが、お金もかけてました。カラーページ使ったり、付録の表紙のタイトルに金箔を張ったり。『なぞえもん』は、その当時オバQが露出していないからって、ボクが描けば藤子先生も文句を言わないだろうということでオバQも入れてって言われて、途中から『オバQとなぞえもん』になっちゃいました(笑)。

■一休さん
 最初は東映のテレビアニメのタイアップだったのですが、始まって二、三ヶ月でテレビアニメのスポンサーからクレームが入ったらしく、関係ない作品になりまして。一休さんは、もともと歴史上の人物だから、誰が描いてもいいだろうと、タイトルに「とんちの」をつけて別の作品になってしまいました(笑)。人気も出て単行本も沢山出て、京都に取材にいったりとても力を入れて思い出深い作品です。

■学習まんが
 学年誌ではね、普通『ドラえもん』などのまんがが一番になって、学習まんがはアンケートの下の方になるんだけど、どうせやるなら面白くしたい、その方がよく飲み込めるだろうって思って必ず起承転結を入れて笑いのある漫画にしました。そしたら、アンケート1位になって、仕事が一杯来て、またがむしゃらに働きました(笑)。普通学習まんがって構成が大変だからカット書きだけならっという人が多いんだけど、私は構成からやったから、そういう意味でも重宝がられましたね。



■コロタン文庫
 コロタン文庫の『ドラえもん全百科』は一冊目(「正」)をやったら、出せば売れるということで、「続」を出すことになったんだけど、もう道具が残っていなくて、 まんがで膨らませて、構成は全部私がやりました。方倉くんのも私の構成そのままです。毎日仕事の前に数頁描いて駅で編集者に渡していました。
 藤子スタジオはずいぶん前にやめていたので、実はそれまでドラえもん読んだことがなくて、編集者が出ていた単行本を全部持ってきてくれて、似た用途の道具を分類して、漫画になるようオチを考えました。

■ハムサラダくん
 最初は『まんが道』(あすなろ編)が大人向けだったので、コロコロの読者である小学生にもわかりやすいものにリライトしてくださいというもので、ただ書き直しただけで取材も何もしていないんです。そんな作品のはずがとても人気が出て、のって描きましたね。第2部からはハムサラダくんのキャラクターが一人歩きを始めて、アメリカ帰りの漫画家とか勝手につくちゃったりして(笑)、藤子先生に申し訳なくて、なんども「藤子不二雄物語」を取って欲しいと言ったのですが(笑)。でも自分の漫画人生なんかも重ねて本当にのって描いてました。そのうち本家の安孫子先生が少年キングで『まんが道』を始めたり妻が病気になったりやめてしまったのですが、終わったあとも人気があって第2部が終わったあとの特別編を2回描きました。

■ふしぎシリーズ
 この本、もともとは別の新書シリーズの中の本だから原稿が小さいんです。だから「ふしぎシリーズ」の方は等倍かもしかすると拡大しているかもしれません(笑)。最初は私が5冊全部ということだったんですが、忙しくてとてもできないので、ちょうど藤子スタジオから独立したばかりの方倉くんに一冊やってもらおうかと思ったら、なかなかいい返事くれないんです(笑)。やはりいくら尊敬する師匠の作品でも独立したばかりだったから、人の作品で描くのは気が進まなかったみたいでね。彼はいつかとくとくと語っていたんだけど高尚な作品を描きたかったらしいから(笑)。しょうがないから半分私が描いてやってもらったのが「日本のふしぎ」です。この時は、自分のオリジナル作品のときには、印税、人のキャラクターでやる仕事は版権買取にしていたんです。そうしたら、売れに売れて。小学館の人も本当なら、一ケタ違うのにすまないねえと、あとで報奨金をくれましたね。方倉くんはきっと儲かったんじゃないかなあ(笑)。

■なぞなぞ英単語
 やりやすい単語だけというのなら、楽なのですが、中学の必須単語全部にクイズを考えるというもので、これがとても大変でした。すらすら出たものもありますが、苦しんで苦労したものものあります。でもおかげで今で版を重ねています。

■てんとう虫ブックス
 このシリーズではなぞなぞ作家というスタンスだったので藤本先生のイメージを壊さないようにと、原作の絵をそのままコピーして使っています。でもこれも好評で続巻も沢山出ていて今でも重版されています。後半の方になると、こったなぞなぞになっていて、「いじわる」どころじゃない普通の人はつくらないようなものになっています(笑)。

貴重なお話ありがとうございました。
(取材 2002/06/29 掲載2002/8発行ネオユートピア34号)
目黒広志・てふてふ ヨシダ先生のお仕事場にて

藤子先生のカラー画稿について●安孫子先生は途中まで塗らせて、気に入らないところを仕上げで直したりしていました。藤本先生は色のことは苦手なんだと言ってほとんど色を塗りませんでしたね。私がアシスタントだったときは、私とかアシスタントがだいたい塗っていました。

一休さん単行本について●101コミックスの1冊として「一休さん とんち101」が発行され、これがのちにとんちばなし・ふしぎシリーズの「一休さん とんちクイズ」として新創刊。とんちばなし・ふしぎシリーズはさらに学年誌掲載分や書き下ろしで含めて「一休さん とんちパズル」「一休さん とんちなぞなぞ」の2冊が発行されている。こちらも版を重ねている。

ハムサラダくん●第一部 1977/Nol.1〜1978/Nol.4 第二部 1978/Nol.6〜198年07月号/No.27 1981年8月号/No.40:特別編1 1982年5月号/No.49:特別編2 単行本全2巻まで 全話は収録されておらず3巻を出す原稿はあるそうです。


ヨシダ忠作品リスト

1967/11  はりきりスギ太 冒険王増刊号・読切
     デビュー作その1
1968/01  植物人間ピーマン 少年ブック増刊号・読切
     デビュー作その2
1968/03 コウモリくん 別冊少年キング・読切
1968/08 百年目のいなかっぺ ぼくら・連載 
 TBSテレビとのタイアップ
 原作:笠原良三・協力:TBSテレビのクレジットあり
1968/09  サイケくん 少年画報・読切
1968/11 トリトル先生がいく 別冊少年キング・読切
1968/11 バカスカ セールくん 少年マガジンコミックス・読切 
1969/01 かけろコケ太 ぼくら・連載
1969/02 とびだせコント55号 少年画報 読切
1969/04 コント55号のなんでも大作戦
 原作:北上健 少年画報・連載 テレビタイアップ
1969/02  おせおせヌーボー 別冊少年キング・読切
1969/04  やじ馬一家 別冊少年キング 読切
1969/05 ジャラゴンの大冒険 ぼくら・連載 原作:山田正弘
1969/10 なぞなぞドッカン 小学一年生・連載
1969/12 おーライバル ぼくらマガジン・連載
1970/02 ギトギト集団 ぼくらマガジン・連載
1970/06 グーなやつ ぼくらマガジン・連載
1970/09 はみだしゲロパ ぼくらマガジン・読切
1970/09 ながらのゾロメ 少年画報・連載
1970/10 親ばか〜のブルース ぼくらマガジンコミックス・読切
1971/04 なぞなぞまっくろう 小学一年生・連載 
1971/04 あい 少年画報・読切
1971/07 きになるおれ 中学二年コース・付録 
1971/11 あいあい親子 少年マガジンコミックス・3部作
1971/12 挑戦 少年マガジン増刊・読切
1972/06 補欠情報部員00ロンパー 少年マガジン増刊・読切
1973/08 なぞなぞバンバン 小学一年生・連載
1974/04 オバQとなぞえもん 小学一年生・連載
1974/05 もの知り仮面 小学五年生・連載
1974/06 月刊やじ馬くん 小学生ブック・連載 
1975/02 カリメロ おひさま・連載 
1975/04 なぞなぞなぞべえ 小学一年生・連載 
1975/04 三ちゃんクラブ 小学三年生・連載(10年間連載) 
1975/07 冒険ロックバット テレビマガジン・連載 
1975/09 カリメロ 小学二年生・連載 
1975/04 スター全員集合 小学三年生・連載(2〜3年連載したはず)
1976/01 どえらい博士 少年マガジン増刊 読切
1976/01 一休さん 小学二年生・連載
1976/04 なぞなぞなぞメン 小学一年生・連載
1976/06 いけいけ!やじ馬くん テレビマガジン・読切
1976/08 三休さん テレビマガジン・連載
1976/09 とんちの一休さん 小学一年生・連載
1976?  一休さん とんち101 101コミックス
    (後にとんちばなしふしぎシリーズの一冊として新装)     
1976/10 ドラえもん うらない101 101コミックス
(以降続巻 後にドラえもんふしぎシリーズとして新装)
1976/11 どえらい博士 少年マガジンコミックス 読切
1976/12 それゆけ!ターザン てれびくん 読切
1977/vol.1 藤子不二雄物語ハムサラダくん 
     コロコロコミック・連載
1978/01 フーセンマン たのしい幼稚園・連載
1979/07 ドラえもん全百科
1979/04 なぞなぞまじっくん 小学一年生・連載
1979/09 ぱぴぷぺピッポ たのしい幼稚園・連載
1979/12 続・ドラえもん全百科
1979〜 ドラえもん ふしぎシリーズ・3冊(単行本)
1980〜 一休さん とんちばなしふしぎシリーズ・3冊(単行本)
1984/08 おれたちマイコン族 POPCOM・連載
     (〜1987/10まで)本郷一朗・作
1985/04〜86/03 ホームレッスン 旺文社 1年間連載   
1988/12 ドラえもんのなぞなぞポケット てんとう虫ブックス
     (以降続巻)
1992/08 おつかれさん劇場 月刊FACE/総合法令・連載
     (1993/03まで)
1992/03 まんがで読む労働基準法 総合法令  山崎和義・著
1994/06 まんがで読む離婚 総合法令  山崎和義・著

(本リストは、不完全です。まだまだ修正していく予定です。)


小学館なぞなぞまんがシリーズ
小学館の学習雑誌に年替わりで連載された作品群。当時なぞなぞブームで高い人気を誇った。
・なぞなぞどっかん(1970)
・なぞなぞまっくろう(1971〜72)
・なぞなぞバンバン(1973)
なぞえもん(1974)
・なぞなぞなぞべえ(1975)
なぞなぞなぞメン(1976)
・なぞなぞまじっくん(1979)

講談社たのしい幼稚園
講談社で2本だけ描かれた非常にかわいい作品。ヨシダ先生も気に入られているそう。
・ぱぴぷぺピッポ(1979)
・フーセンマン(1978)


まんが単行本リスト
1979/09〜 藤子不二雄物語 ハムサラダくん1・2巻 未完
1980/05 一休さん とんちクイズ 小学館・学習まんがふしぎシリーズ
1980/10 一休さん とんちパズル 小学館・学習まんがふしぎシリーズ
1981/06 一休さん とんちなぞなぞ 小学館・学習まんがふしぎシリーズ

単行本リスト
1971/10 うらない百科 集英社・フジオ・プロ横山孝雄氏との共作
1980/07 年中行事記念日365日のひみつ 学習研究社 ひみつシリーズ・共作  
1980/12 絵とき・たのしいなぞなぞ 日東書院
1981/06 絵とき・なぞなぞ遊び 日東書院
1981/07 水泳入門 学習研究社 早わかり入門シリーズ・
1981/12 おもしろなぞなぞ 小学館・学習まんがふしぎシリーズ
1982/07 なぞなぞ大集合 小学館・学習まんがふしぎシリーズ
1983./10 宇宙のひみつ事典 学習研究社 ポケットひみつ文庫・コマ漫画部分執筆
1983./10 動物のひみつ事典 学習研究社 ポケットひみつ文庫・コマ漫画部分執筆
1985/12 日本のとんち話事典 学習研究社 事典シリーズ・共作  
1986/06 ことわざ大事典 学習研究社 ひみつシリーズ・共作  
1987/07 なるほど!まんが知能なぞなぞ1年 偕成社
1987/07 なるほど!まんが知能なぞなぞ2年 偕成社
1987/08 なるほど!まんが知能なぞなぞ3年 偕成社
1987/08 なるほど!まんが知能なぞなぞ4年 偕成社
1988/10 俳句・川柳ひみつ事典 学習研究社 ひみつシリーズ・共作
1989/07 まんが・ゴルフルール 梧道書院  
1990/08 かわいいイラスト・カット集 池田書店・共作
1990/11 魚・この本食べられます 池田書店・共作
1990/12 なぞなぞクイズ 小学館・なぜなに幼稚園・共作

ドラえもんなぞなぞ単行本
ドラえもんふしぎシリーズ同様ヨシダテイストの笑いとユーモアが満載だ。
てんとう虫ブックス
・ドラえもんのなぞなぞポケット/1988年12月
ドラえもんのなぞなぞ学校/1989年6月
ドラえもんのなぞなぞ図鑑/1989年12月
・ドラえもんのなぞなぞカレンダー/1990年12月
ドラえもんのひらめきクイズ/1992年2月
ドラえもんのびっくりクイズ/1992年11月
ドラえもんのなぞなぞ動物園/1993年9月
ドラえもんのなぞなぞゲームランド/1994年4月
ドラえもんの激辛!いじわるクイズ/1994年10月
ビックコロタン
ドラえもんのなぞなぞ英単語/1990年


関連リンク

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