改憲と連立枠組み作り(毎日新聞記者の見解)

『毎日新聞』2007年11月2日

<憲法公布61年>改憲は自民・民主の連立枠組み作りがカギ


 文化の日の3日、憲法公布から61年を迎える。今年は憲法改正の手続きを定める国民投票法が成立したが、参院で与野党が逆転した「ねじれ国会」となり、改正論議は全く進展していない。憲法改正は衆参両院で3分の2以上の賛成が必要。このため、自民、民主両党による連立的な枠組みが作れるかがカギを握る。憲法審査会による憲法改正案の発議が可能となる10年5月までに実施される衆院選(任期09年9月)の結果も改正論議に大きく影響するとみられる。

 国民投票法の成立から3年後の10年5月に改憲案の発議が可能になる憲法審査会は同法成立直後の国会で設置する予定だった。しかし、参院の与野党逆転で開催の見通しが立っていない。自民党が衆院憲法審査会長に内定している中山太郎・自民党憲法審議会長は10月17日の講演で「国民投票法で設置が明記されている。法律通りに施行するのが立法府の役割だ。立法府の責任は大きい」といらだちを見せた。

 任期中の憲法改正を掲げた安倍晋三前首相と異なり、福田康夫首相は所信表明演説でも改憲に触れず、具体的な政治日程に乗せる考えは示していない。一方、民主党の小沢一郎代表は参院選で「憲法より生活」と主張した姿勢を変えず、政界の表舞台から憲法改正は一見遠のいている。

 だが、インド洋での自衛隊の給油活動をめぐって、小沢氏は「憲法違反」と原理原則から批判し、国際貢献のあり方が問題になる中で、憲法改正は避けて通れないとの考えも示している。

 中山氏は「小沢氏も憲法はこのままではいけないと思っている」と指摘し、行き詰まりの打開を小沢氏に期待する。91年の湾岸戦争時、海部内閣で外相の中山氏と自民党幹事長の小沢氏が自衛隊の海外派遣をめぐり、憲法と国際貢献のはざまで苦悩した経験からだが、自民、民主の協力が不可欠な現状も反映している。

 憲法改正の発議が可能となる10年5月の約2カ月後となる10年7月には参院が任期満了を迎える。次期衆院選で「ねじれ国会」が解消しない場合、10年の参院選が実質的に憲法改正を対立軸とした選挙になる可能性もある。【野口武則】

改憲国民投票法案情報センター