『河北新報』社説 2007年11月2日
給油活動打ち切り/強引な再開はすべきでない
海上自衛隊がインド洋で実施してきた給油活動が、根拠法であるテロ対策特別措置法の期限切れに伴って打ち切られた。
政府は活動再開に向けて新テロ対策特別措置法案を提出しているが、参院で多数を占める野党は強く反対しており、法案審議の行方は見えない。
給油活動は、米英軍を中心とするアフガニスタンのテロ掃討作戦「不朽の自由作戦」の一環の海上阻止活動に位置付けられ、開始から既に6年がたっている。
活動再開の是非については、これまでの問題点を洗い出して徹底した検証を行い、その上で検討すべきだろう。
給油活動をめぐっては多くの問題が噴出している。とりわけイラク戦争への転用疑惑と、給油量の誤りを海自が隠していた問題、補給艦の航海日誌破棄の問題は、早急に解明しなければならない。
海自による給油の対象は、不朽の自由作戦に参加する艦船に限定されている。イラク戦争に転用されたのではテロ特措法の趣旨に反し、憲法にも抵触しかねない。
米政府は、海自から提供された燃料が不朽の自由作戦以外に転用されていないとする声明を発表している。だがその一方、燃料の使途を正確に突き止める作業は「困難を要する」とし、目的外使用を完全に否定できていない。
石破茂防衛相は「給油の転用を防ぐための確認方法を検討中」としている。転用させないための仕組みができないようでは、給油活動の再開はとても認めらない。
海上阻止活動の成果が挙がっているのかどうかも不明だ。テロリストや武器、麻薬などの移動を海上で取り締まることを目的に、不審船への立ち入り検査、無線照会が主な活動内容とされるが、活動の詳細は明らかにされていない。
政府が給油活動の再開を目指すからには、海上阻止活動の実態に関しても情報公開に努めるべきではないか。
給油活動の開始当初と比べ国際情勢も変化している。
アフガンでは旧政権タリバンの勢力回復で治安が悪化し、イラクは宗派間抗争の泥沼状態が続く。パキスタンは、政府とイスラム原理主義勢力との対立が深刻の度を深めている。
米国が主導した国際的な対テロ戦争は、地域に安定と平和をもたらすという狙いとは裏腹に、治安の一層の悪化や貧困の拡大などを招いていると言わなければならない。
給油活動の再開が対テロ戦争における日本の最善策なのかどうか、アフガンの治安回復、復興支援に日本がどのような貢献ができるのかなど、この機会に幅広く議論したい。
給油活動に関しては、国民世論も二分されている。
共同通信社が10月末に実施した全国世論調査では、給油活動を「延長すべきだ」が46.4%「延長すべきでない」が42.9%だ。
国民的な合意形成なしに、強引な再開をすべきではない。