特措法期限切れ(愛媛新聞社説)

『愛媛新聞』社説 2007年11月1日

給油中断 日本の貢献策を問い直す機会に


 安倍晋三前首相の退陣要因にもなったテロ対策特措法の期限切れが現実になる。石破茂防衛相はきょう、インド洋で給油活動に従事していた海上自衛隊の補給艦などに撤収命令を出す。 

 アフガニスタンでのテロ掃討作戦は米国が主導してきた。その強い要請による日本の後方支援は、海外での武力行使などにつながるおそれと背中合わせの初の「戦時派遣」だった。 

 六年近い活動で提供した油は十一カ国の艦船に対し七百九十四回、約四十九万キロリットル。ただ約八割は米国向けだ。最近はパキスタン向けが半分を占めるものの、実態は米国支援といえる。 

 政府与党は数の力で三度の延長を重ねてきた。このため給油がテロ根絶に役立っているか、正当性はどうかといった本質部分の論議は深まらなかった。 

 それが一転、延長断念に追い込まれたのはねじれ国会の出現だ。イラク戦争への転用疑惑や給油量の誤りの隠ぺいも、こんな状況にならなけば政治問題化せず葬られたかもしれない。給油再開のための対テロ新法案成立の見通しが立たないのは身から出たさびというしかない。 

 国際社会での地位低下などを懸念するのはわかるが、憲法論議や検証作業の好機到来と考えることもできる。共同通信社の世論調査では賛否の二分された状況がさらに鮮明になった。支援のありようを根本から問い直すことは国益にかなう。 

 アフガニスタンでは旧政権タリバンやアルカイダが復権し、治安が悪化の一途だ。ことし起きたテロ攻撃は昨年の同時期より三割増えたとされ、背景には麻薬や貧困もある。 

 一方で、治安維持や復興支援に当たる国際治安支援部隊(ISAF)は、死者の相次いだオランダで撤退世論が強まるなど岐路に立たされている。 

 米軍やISAFの作戦による市民の犠牲も見すごせない。テロ掃討がテロへの同調者を増殖させる連鎖を生んでいる。 

 まさに八方ふさがりで、打開するには国際社会が支援活動を再構築する時期ではないか。 

 それは日本も同じだ。医療活動などを続けるペシャワール会は「軍事活動への参加は日本の信頼低下につながる」として農村復興への注力を提案する。 

 日本には軍閥兵士の武装解除を支援した実績もある。むろん治安状況抜きに語れないが、非軍事的貢献の可能性についてもっと議論があっていい。 

 解せないのはこの時期に福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表が開いた党首会談だ。 

 会期末や日米首脳会談が迫る首相には焦りもあろう。だが給油継続に反対の小沢氏に歩み寄りの余地があるとは思えない。しかも初の党首討論を延期したのは本末転倒だ。密室での話し合いを拒んでいた小沢氏が応じた真意も理解できない。 

 国会承認を削除する新法案の妥当性、小沢氏の主張するISAF参加と憲法との兼ね合いなど論点は多い。給油問題を駆け引き材料にするならこれまでと変わらず、国民の期待に背く。 

 正攻法での議論が不可欠だ。

改憲国民投票法案情報センター