給油活動継続に関する東京新聞の報道(16,17日)

『東京新聞』2007年10月16日

スコープ 給油活動継続 どっちが違憲? ISAF参加 政府・与党『武力行使だ』 民主『集団的自衛権行使』


 インド洋での自衛隊による給油活動継続問題で、政府・与党と民主党がお互いの主張を「憲法違反だ」として、激しい論争を繰り広げている。政府・与党が目指すテロ対策特別措置法に代わる新法に基づく活動の継続、民主党の小沢一郎代表が提唱する国際治安支援部隊(ISAF)への参加は、違憲なのか合憲なのか。両者の主張は真っ向から対立している。 (古田哲也)

 小沢氏は一貫して、インド洋での給油活動に「憲法違反」との立場をとってきた。その根拠として、米軍のアフガニスタンでの武力行使が、個別的自衛権に基づくことなどを挙げている。

 米軍に給油などの後方支援を行うことは「兵站(へいたん)そのもので、(米軍の)武力行使と一体」(小沢氏)との判断だ。

 個別的自衛権に基づく米軍の活動に協力することは、政府の憲法解釈では認められない集団的自衛権の行使に当たるというわけだ。

 これに対し、政府側は「戦闘地域でない限りは、後方支援は武力行使に当たらない」として、給油活動を行ってきた。

 さらに、テロ特措法が国連安全保障理事会決議一三六八などを踏まえているため、米軍だけへの支援ではないと反論。米軍の武力行使に対する解釈が食い違っているため、双方の言い分はかみ合わないままだ。

 一方、小沢氏が提唱するISAF参加については、高村正彦外相が十五日の参院予算委員会で、「わが国が一貫して取ってきた考えとは相いれない」と切り捨てた。

 ISAFは国連安保理決議一三八六で承認され、自爆テロなどが頻発するアフガニスタンの首都カブールを中心にした治安維持が主な任務。治安が不安定な地域での活動とあって、武力行使が避けられない事態に遭遇する可能性も高い。

 ただ、小沢氏は国連中心主義が持論。「国連の平和活動は自衛権を超えたもの」と主張し、憲法の禁じる海外での武力行使に当たらないとしている。

 小沢氏の主張に対し、政府・与党側は「国連活動でも、武力行使に当たれば全部ダメだ」(中谷元・元防衛庁長官)などとして、政府解釈通り違憲との見解を強調。さらに、社民、共産両党の野党内からも、小沢氏の提言に批判の声が飛び出した。

 こうした批判をかわす狙いもあって、小沢氏は十五日、ISAF参加について、民生部門に限定する考えを示し、これまでの主張をトーンダウンさせている。


『東京新聞』2007年10月17日

スコープ  給油新法案 期限と対象艦で曲折


 政府・与党内や国会内での議論を経て、十六日にまとまった海上自衛隊によるインド洋での給油継続新法案。策定段階で念頭に置かれたのは、参院での与党過半数割れに伴う民主党対策。「民主党の協力」を意識するあまり、法律の期限やシビリアンコントロール(文民統制)、燃料転用疑惑への対応をめぐり二転三転した。 (古田哲也)

 新法案では、活動を給油・給水に限定している。現行のテロ対策特別措置法に盛り込まれる「捜索救助」や「被災民救援」はほとんど活動実態がなく、給油・給水に絞るのが現実的だった。また、法案の目的もはっきりし、国民の支持も得やすいと計算した。法律の期限に関しては最終的に一年とした。当初、政府が野党側に提示した骨子案では二年とし、テロ特措法に盛り込まれた国会の事後承認規定を削除する代わり、一年ごとに活動内容の国会報告を義務づけるとした。

 政府・与党としては、期限を二年にすることで、期限延長の際の国会混乱を減らしたいとの思惑があった。ただ、一方では、公明党を中心に「自衛隊の活動に対する国会の関与が薄れ、文民統制が弱まる」との声が次第に大きくなった。

 最終的に一年としたことで、政府側は、一年ごとに延長法案を提出するたびに事実上の「国会承認」を受けることになると主張する。公明党も「一年にすれば文民統制は強くなる」(山口那津男政調会長代理)と納得した。

 一方、衆院予算委員会の論戦で、野党側が多くの時間を割いたイラク作戦への燃料転用疑惑。政府側は一貫して転用は否定しているが、与党内でも「野党側の疑問に対応する措置を取るべきだ」(山崎拓・前自民党副総裁)との意見が強まり、政府側は一時、イラク作戦従事艦船に間接給油される恐れがある他国の補給艦への給油を禁止する条項を盛り込めないか検討した。

 だが、結局は「ニーズがある以上、やらないというのはどうか」(町村信孝官房長官)との消極論が浮上。補給艦を対象外としなくても、補給対象を海上阻止活動(OEF−MIO)に従事する艦船に限定する一方、交換公文などで転用防止を担保することにした。

改憲国民投票法案情報センター