『中国新聞』2007年10月10日
憲法解釈変更に消極姿勢 集団的自衛権で首相
衆院予算委員会は九日、福田康夫首相と全閣僚が出席し、福田内閣発足後初めての基本的質疑を行った。首相は安倍晋三前首相が進めてきた集団的自衛権行使をめぐる憲法解釈の見直しに関して「扱いは十分慎重でなければならない」と述べ、解釈変更に消極的な考えを表明した。安倍前首相が設置し、行使容認の方向で検討してきた有識者会議が仮に報告書をまとめても、慎重に取り扱う意向を示したものだ。
インド洋での海上自衛隊による給油活動については「憲法違反には当たらない」とし、日本が輸入する原油などのシーレーン(海上交通路)確保のためにも活動継続が重要との認識を強調した。
石破茂防衛相は、防衛省が二○○三年二月の米補給艦への給油量を約四倍に訂正した問題を陳謝するとともに「服務上の問題として考えないといけない。適正かつ厳正に対処する」と述べ、関係者の処分を検討していることを明らかにした。
首相は政治資金の透明化策に関し、民主党や公明党が主張する一円以上の全支出に関する領収書公開については「政治活動の自由が保障されるか」と否定的見解を重ねて示した。
年金記録不備問題で「政府として全力を挙げる」と早期解決に努める考えを表明する一方、民主党の「年金保険料流用禁止法案」に対しては「年金業務を実施する上で必要なものは年金(保険料)の中から支出するのは特におかしいことではない」と反論した。舛添要一厚生労働相は、厚生、国民両年金の受給資格がありながら未申請のため受給できていない人数を約一カ月後にも把握し、公表する考えを示した。
大塚宗春会計検査院長は一九九五—二○○四年度の決算検査報告で計千四百八十四億円あった法令や予算に違反する事項(不当事項)のうち、国などへの未返還額が約九十四億円に上ることを明らかにした。
自民党の谷垣禎一政調会長、公明党の斉藤鉄夫政調会長、民主党の長妻昭政調会長代理らへの答弁。
『朝日新聞』2007年10月9日
海自給油「違憲でない」 首相、初の衆院予算委で主張
福田政権になって初の衆院予算委員会が9日、始まった。インド洋での海上自衛隊の給油活動を違憲と論じた民主党の小沢代表に対し、自民党は質問を通じて反論。首相も「憲法違反にあたらない」との考えを鮮明にした。参院で民主党が第1党を占める「07年体制」の中、野党・民主党の政策が俎上(そじょう)に載る新たな論戦の形が浮き彫りになった。
小沢氏は9日発売の月刊誌で、給油活動を「違憲」としたほか、明確な国連決議があれば、アフガニスタン国内で活動する国際治安支援部隊(ISAF)に「政権を取れば、参加を実現したい」としている。
これに対し、自民党の質問者から「自衛隊は武力行使を行っているわけでなく、全く特異な見解で理解できない」(谷垣禎一政調会長)など批判が相次いだ。民主党の予算委理事が「小沢代表が答弁できない場であり、公正でない」と抗議し、逢沢一郎委員長(自民)が自民党議員に注意する一幕もあった。
民主党が参院選の政権公約で示した15.3兆円の歳出削減策にも、谷垣氏が「簡単ではない。小沢さんと議論したい」と疑問を投げかけ、額賀財務相も「具体的にどの分野をどう削減するかが、書かれていない」と答弁。小沢氏や民主党の政策に対する「逆質問」が相次いだ。
一方、首相は、憲法解釈で禁じられている集団的自衛権行使について、「議論をしていく必要はあるが、扱いは十分に慎重でなければならないと思う」と述べ、集団的自衛権行使のための憲法解釈見直しに慎重な姿勢を示した。
政治資金支出の透明化をめぐり、公明党の斉藤鉄夫政調会長が「1円以上の支出に領収書を添付し、全面公開する」という同党案に賛同するかをただしたのに対し、首相は「政治活動の自由を認めていただく必要もあるのではないか」と述べ、消極的な考えを示した。
『読売新聞』2007年10月9日
集団的自衛権行使、首相「扱いは十分慎重に」…衆院予算委
福田首相は9日の衆院予算委員会で、政府が憲法解釈で禁じている集団的自衛権の行使について、「どこまで憲法解釈上許される国際活動なのか、今後も十分議論する必要があるが、扱いは十分慎重でなければならない」と述べ、行使容認に慎重な考えを示した。
安倍前首相は行使の容認に前向きだったが、首相は安倍氏と一線を画す姿勢を鮮明にした。
会計検査院OBが、現役時代に検査対象としていた団体に天下りしていることについては、「内閣から独立した機関だが、疑惑を抱かせるようなことは避けてほしい」と述べ、会計検査院に是正を促した。
一方、国家公務員の再就職あっせんを一元管理するために政府が創設する官民人材交流センターについて、民主党などが「天下りを助長する」と批判していることに関しては、安倍前政権の認識を踏襲。
「公務員の一生の問題だ。(採用の)入り口に立った公務員が将来に不安を覚え、良い人が来ない状況なども踏まえて判断すべきだ」と述べ、一定の再就職あっせんは必要だとの見解を示した。
公明党の斉藤政調会長、民主党の長妻昭政調会長代理らの質問に答えた。
時事通信 2007年10月9日
集団的自衛権、行使容認に慎重=前政権との違い鮮明に−福田首相
衆院予算委員会は9日午後、福田康夫首相と全閣僚が出席して基本的質疑を続行した。首相は、政府の憲法解釈で行使が禁じられている集団的自衛権について「どこまで憲法解釈上許される国際活動なのかの扱いは十分に慎重でなければいけない」と述べ、行使容認に慎重な考えを表明した。安倍晋三前首相は解釈見直しによる行使容認に積極的だったが、福田首相は安倍氏との立場の違いを改めて明確にした。公明党の斉藤鉄夫政調会長への答弁。
政治資金透明化の問題では、斉藤氏が領収書添付の上、全支出を公開対象とする公明党案に理解を求めた。これに対し、首相は「政治活動の自由が保障されるか心配している」と述べ、全面公開には消極的な姿勢を重ねて示した。