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元NHKアナの泣き笑いスペイン移住日記(11) |
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元NHKアナ・行宗蒼一の泣き笑いスペイン移住日記(12)
どうせ人生・ケセラセラ!
目をつぶって地図を指したら、バルセロナ! 〜おトボケ元NHKアナの行き当たりばったり泣き笑いスペイン移住記〜
行宗 蒼一 (ゆきむね そういち)
第三章 オーラ、バルセローナ!
2. 半裸でベッドから、オーラー!
ラウルとの待ち合わせ時間まではかなりある。なぜか急にのども渇いてきた。 すると二人が頼んだ紅茶に分厚いレモンがいくつも添えられている。そのまま囓っ てみてビックリ、メチャクチャうま〜い! みずみずしくて、酸っぱくない。
こんなレモンがこれから毎日食べられるのか? ヤッター、なんだか元気が出て きたゾ。よし、ちょっくら街の様子を見てくるか!
危ないからと反対するセコタンに荷物を押しつけ、恐る恐る、ホテルの回転扉を 抜け五〜六メートル先まで足を進めた。
まぶしい光の中を人々が楽しげに通り過ぎていく。幅広の整然とした通りには、 すき間なく街路樹が植えられ、豊かに茂った葉が南欧の陽光を一杯に浴びている。
その時ボクにははっきり見えた。その光のざわめきの中に、小さなエンゼルたち が舞っているのを・・・。 ヘヘ、こんなこと話すとみんな指にツバつけて眉を こするけど、見えたんだからしょうがない。 で、ほんとうにこの時、この街なら きっとやっていけると確信しちゃったのだ!
ホテルに戻ってトイレで顔を洗い歯を磨き終わった午後三時、「お迎えに上がり ましたっ!」と、ツルツルスキンヘッドの若者が笑顔でやって来た。そうかラウル だけじゃ言葉に不自由だろうからと、ここで車のデザインを勉強してるブンタとい う日本人に頼んでくれてたんだ。こいつは有難いや!
外に出ると、長身でがっしりしたラウルが愛車の横で待っていてくれた。ケーコ は仕事中、ラウルは役人なので仕事は午後二時までなのだという。え〜、本当に? なんてとぼけた国なんだ!
ともかくも握手と「オーラ!」の挨拶を交わして荷物を積み、早速乗り込む。と、 車は急発進してまたまたもの凄いスピード、それも今どき珍しいマニュアル車だ。 するとブンタがこう説明してくれた。
「ハハ、ここは全部これなんですよ。値段は大して変わらないんですが、みんな オートマ車は車じゃないって思ってるみたいで、買わないんです。レーシングカー 気分なんじゃないですか〜!」
やっぱりそうか、そのうえ前のヤツがちょっと遅れただけでクラクションはバン バン鳴らすし、こりゃ自分で運転するのはちょっとキツイな〜、などと考えている うちに、車はガソリンスタンドに入って行く。
「二人に見せたいと、ラウルはわざわざこのサグラダファミリアの横のスタンド を選んでくれたみたいですね」とブンタが教えてくれた。 外に出て見上げると、 あのガウディの奇妙な姿をしたモニュメントがニョキニョキとそそり立っている ではないか。 やたらとデカイ! バルセロナって不思議な街だ〜!
車はその後、街路樹に色どられ縦横に整然と走る広い通りを何回か曲がり、ゆる やかな坂道を上って、ラウルとケーコの住むビルに到着した。ここは街の中心から 少し北に外れた地区らしい。ビルは煉瓦造りの六〜七階建て、二人の家はその五階 (といってもここでは最初の階は数えないので名称は四階となる)。 エレベーターはない。
ドアーを開けると、なかなか小綺麗な家だ。リビングやキッチン、浴室の他に 大きな部屋が二つと小さな部屋が一つ、その中の大きな部屋一つを我々にあてがっ てくれるという。セミダブルのベッドとちょっとした整理棚も揃っている。
よかった、とりあえずはひと安心だ! なんとか荷物を運び上げると、ちょっと疲れた、でもお腹も空いてる。で、四人 で食事に出かけることにした。
初めて手ぶらで街を歩く。街角のあちこちに飲み食い出来るバールがあって、 ほとんどが歩道にもテーブルを出している。でもそれが何故かどこも満員だ。仕方 なく店内に入りちょっとしたつまみとビールを頼んだ。うまいな〜!、と言うと、 ラウルが「ここはダメだ、あとで本当にうまい店に行こう!」と答えてきた。
聞きたいことが山ほどある。でも調子に乗って飲んでいたら、頭がクラクラして きた。長旅の疲れが襲ってきたのか。ケーコも遅くなりそうなので、取りあえず 我々はしばらく寝かせてもらうことにした。
ところがちょっとウトウトしたと思ったら、ガタガタと物音がする。何だろうと 起きあがってみると、目の前に男の子と女性が立っているではないか。 あっ、 ケーコが帰ってきたんだ、と気がついた時にはすでに遅かった。こっちは二人とも 暑さのために、ほとんどパンツ一丁の半裸状態だったのだ。
「こ、こ、こんにちは。よ、よろしくお願いします!」
ドモリながらシーツで身体を隠そうとしたが、どうせもう見られちゃったのだ。 それに何故かあんまり恥ずかしくない。 「ハハハ、気にしないで下さいね〜!」 と笑う彼女の雰囲気のせいか、それともこの街の開放感のせいなのか。やっぱり、 不思議な世界!
事実、男の子の名前はジョルディ、ラウルの前妻との子供で自分たちはまだ結婚 はしていないことなど、ケーコは何でも包み隠さず話してくれる。どうして会った ばかりで裸の付き合いが出来ちゃうんだろう?
結局は睡眠の足りないまま、夜の九時を回ったところで、ラウルお薦めの店に 五人で出かけることになった。車で十分ほど、落ち着いたイタリア風広場に面した レストランで、言葉通りメチャクチャ味わい深いパエーリャをたらふく食べてしま った。
そのうえ我々の家探しやビザの問題なども、ラウルは出来る限り協力してくれる という、心強い限りだ。ちょろっとインターネットで探しただけでこんな人達に めぐり会えるなんて、ボクらはなんて幸運なんだろう!
でも、ラウルの家にはたった三日しか泊まることが出来ない。それ以降は別の 日本人の予約が入っているのだとか。 じゃあ宿探しもしなければならないな〜!
(まだまだつづきま〜す!)
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