パイがふたつあったおはなし
絵本
ピキとクリより

- 何年も前、絵本を読む前のことだけどね。ピーターラビットって、どれもうさぎのお話と思ってた。この絵本、うさぎは出てこないけど、ピーターラビットの一冊だなあ。

- ああ。ピーターラビットの絵本といっても、うさぎが出ないのがいくつかあるね。

- この「パイがふたつあったおはなし」もそう。これはもう、いぬのダッチェスと、ねこのリビーのやりとりがおもしろい。ダッチェスがきらいなねずみのパイを、食べるかどうか。リビーに、パイのことがばれるかどうか。オーブンのパイや、焼き型はどうなるか…。もうどうなるか、読んでいる方もうずうずするよ。

- ダッチェスのあわてようも、おもしろいね。おもしろいといっても、わっはっはっと笑うのとはちがう。くっくっくっと笑いをこらえるような笑いだ。

- そうでしょ。ダッチェスのふるまいに注目だよ、これは。

- おかしなダッチェスだけど、本当はいいやつだろうな。ただ、ねずみを食べたくないだけでさ。

- ぼくもねずみのパイは、ちょっと…。小牛とハムのパイの方がいい。

- ぼくも。どっちも食べたことないけどね。

- それにしても、いい作戦だ。ただ、ちょっとあわてちゃったね。オーブンが上下二段もあるもんだから。

- オーブンでまちがえなくても、焼き型はどうかな…。

- はは、焼き型ねえ。もう、ダッチェスはおっちょこちょいでにくめないよ。

- なんか、ダッチェスを気に入ってしまったなあ。
きらいなねずみのパイを食べない作戦開始!
ダッチェスがやっているようなこと、わかります。やっぱり、相手に面と向かっていいにくいことは、ありますよね?
ダッチェスはうまいことやっていますが、つじつまを合わせるのに、はらはらどきどき連続。成り行きが、どうなるかきわどいところがすきです。
少し長めのお話ですが、最後までぐいぐい読んでしまいました。文字だけのページもありますが、ダッチェスとリビーのようすが、目にうかんできます。
はじめて読んだとき
ピーターラビットの絵本は、原書出版から100年を迎え、世界中で読み継がれている一冊です。
そんな絵本ですが、はずかしながら私は、ピーターラビットの絵本を、子どものころは知りませんでした。子どものころは本と縁がなかったからか、絵本を知ったのは大人になってからです。
けれど、ピーターラビットは、キャラクターでちらりと知っていました。私には、キャラクターのかわいらしいイメージがあったからか、絵本をはじめて読んだときは、写実的な表現に少しおどろきました。今から数年ほど前のことですけどね。
ありのまま伝わってくる
「ピーターラビットのおはなし」では、ピーターのおとうさんがにくのパイにされた話が出たり。「こわいわるいうさぎ」では、わるいうさぎに鉄砲を向けられたり…などなど、びくっとするシーンもあります。このびくっとするのが、お話がありありと伝わっていいなと思いました。
こわいものはこわく。やさしいものはやさしく。危険なこともあれば、楽しいこともある。うまくいくこともあれば、失敗することもある。そんな私たちと同じ世界が、ピーターラビットにもあるような気がします。
すきな一冊がきっとある
ピーターラビットの絵本は、はらはらするお話もあれば、しんみりするお話もあります。長いお話もあれば、小さなお話も。わらべうただってあります。シリーズでこれだけ幅があるのは、そうないんじゃないかな。
いろいろなお話があるので、好みや気分に合わせて選べるのも、ピーターラビットのいいところだと思います。

