シチズン 多局受信型電波時計(Ref. C. 7400)


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概要

1993年4月10日発売。日本(JJY、40kHz、福島県)・イギリス(MSF、60kHz、Rugby)・中央ヨーロッパ(DCF77、77.5kHz、独Mainflingen;Frankfurt am Mainの南東25km)に対応する世界初のマルチ・チャンネル型電波時計。アナログ表示。24時間表示。毎日一回偶数日は2時に奇数日は4時に自動受信を行う。
アンテナがケース中央に位置する奇抜なデザイン。定価100,000円。販売数4300個(日本300個、独・英4000個)。日本では金色と銀色の配色であるコンビ(金色の部分は金メッキ)のみ発売され、ドイツとイギリスでは、この他に銀色のステンレス、金色のゴールドフィルド(全体が金メッキ)の三種が発売されました。ここで紹介している時計は逆輸入されたコンビです。

機能

この時計の主な仕様を表1に示します。

表1: C7400の仕様
項目
説明
備考
サイズ
φ35mm×t5.4mm

水晶振動数
32768Hz

精度時間
平均月差±15秒
受信できない場合
電池
リチウム電池CR2016

電池寿命
2年
自動受信1回/日、強制受信1回/週
変換機
二極ステップモーター4個

集積回路
C-MOS 2個
C-MOSはcomplementary metal-oxide-semiconductor field-effect transistor、コンプリメンタリ型MOSFETの略。消費電力が非常に小さく、ノイズに強い特長をもつ。
表示
7針(24時間、時針、分針、秒針、機能1、機能2、モード針)

時刻合わせ
自動合わせ(中央ヨーロッパ、イギリス、日本)、マニュアル合わせ(ローカルタイム1、ローカルタイム2)

電池寿命切れ予告機能
1週間前から2秒運針

針位置記憶機能
(電池交換時の針合わせ作業の廃止)
この時計は電池寿命を検知した時と電池交換作業の開始を検知した時には、ICの不揮発性メモリーに交換時の針の位置を記憶します。そして、新電池交換後にはその針位置を読み出すことによって、電池交換時の基準位置合わせを行う必要がないシステムとなっています。

サマータイム切替機能

日本では未導入


外観



図1:多局受信型電波時計(Ref. C. 7400)本体と付属品

1996年にシェルマンがデットストック150個逆輸入した製品を購入しました。購入したのは、2001年1月です。デットストックのデットストックと言えるかも知れません。正直言ってまだ買えるとは思いませんでした。一年間の保証もついていました。右下はブレスの駒外しと外した駒。




図2:多局受信型電波時計(Ref. C. 7400)本体

7個の針・4個の二極ステップモーター(月・日・時分・秒)で構成されています。中央に見えるの直径3mm×長さ30mmのフェライト・コアに3層巻きされた480ターンの小型アンテナです。※大きな画像(468kbyte)もあります。


ボタンの機能は表2のようになっています。

表2:ボタンの機能
ボタン
説明
左上
月(短針)、日(長針)を表示。押している間だけ表示します。1992年に発表されたプロトタイプでは常時表示方式だった思います。製品版で表示方式を変更した理由を「長波電波ウォッチの受信システム」(八宗岡、藤刀、中村:日本時計学会誌 146、64-72 (1993))では、「このような仕様にした理由はサマータイムの切り替わり時に受信しなかった場合には、時刻が狂うと同時にサマータイムのセット状態が狂うことになるが、この場合に一目で見分けられるようにする必要があるからである。カレンダは常時は必要としないので、時刻を見間違えることの方が大事であることからPBによる呼出方式にした。」のように述べています。
左下
中央ヨーロッパ、英、日本、ゼロ点調整、ローカルタイム1、ローカルタイム2を切り替えます。
右上
前回受信に成功したかどうかを確認できます。押している間、左上の長針の位置によって表示します。
右下
強制受信します。






図3:(上)側面からの写真、(下)断面図 = 梅本、昼田、八宗岡、五十嵐、青木:
長波電波ウォッチの開発、日本時計学会誌 146、51-63 (1993)から引用。

ガラス風防は中央部がふくらんでいます。よく見ると内側がくり抜いて、アンテナがあるのが分かります。グレーの側面はセラミックスで作られ、電波を減衰させないようになっています。




図4:刻印

受信システム

受信システムは、「長波電波ウォッチの受信システム」(八宗岡、藤刀、中村:日本時計学会誌 146、64-72 (1993))にその概要が示されています(下図)。多局受信型のため、受信回路にはスーパーヘテロダイン方式(中間周波数を30.634kHz)が採用されています。選局はモード選択スイッチに接続されたコンデンサを機械スイッチによって切替えることによって行っています。日本(JJY、40kHz、福島県)・イギリス(MSF、60kHz、Rugby)・中央ヨーロッパ(DCF77、77.5kHz、独Mainflingen;Frankfurt am Mainの南東25km)のうち、周波数が最も低いJJYが最も大きな容量のコンデンサが必要です(高校レベルの物理)。受信中も時刻を表示できるように時分用モータは常時駆動しているため、時計自身のムーブメントが最大のノイズ源となります。そこで、ムーブメントとアンテナの間にシールド板を設ける工夫が施されています。



図5:受信システム=八宗岡、藤刀、中村:長波電波ウォッチの受信システム、
日本時計学会誌 146、64-72 (1993)から引用。

(1) アンテナから入力された受信周波数fRFの波形。信号がノイズに埋もれている。
(2) 局部発信回路からの局発周波数fLOSCの波形。
(3) fRFとfLOSCが掛け合わせられ、BPF(Band Pass Filter)と水晶フィルタで
不要な信号が除去され得られたfRFとfLOSCとの差の周波数である中間周波数fIF
の波形。
(4) CMOSの検波回路によって変調搬送波信号成分のみが抽出された波形。
(5) 検波信号の包絡線をA/D変換し、復調された信号の波形。


参考資料

    • 時計コレクション(kabesu 氏)(リンク切れ)
      「シチズン」のコーナーにあります。
    • MONO モノ(斎藤 和彦 氏)(リンク切れ)
    • Radio-Controlled Watches(The Quartz Watch)(リンク切れ)
    • 秀コラム
      第127-128話にあります。
  • 雑誌記事

    • 日本時計学会 1993年
      日本時計学会誌 146
      ※p.p. 51-63の「長波電波ウォッチの開発」(シチズン時計 梅本 隼雄 氏、昼田 俊雄 氏、八宗岡 正 氏、五十嵐 清貴 氏、青木 昭雄 氏)が掲載されています。シチズン製の多局受信型電波時計(Ref. C. 7400)について、受信局によるコンデンサの切替(周波数が最も低いJG2AS(現JJY)が最も大きな容量のコンデンサが必要)、内蔵アンテナ、電池交換時の針合わせ作業の廃止など詳しく紹介されています。

    • 日本時計学会 1993年
      日本時計学会誌 146
      ※p.p. 64-72の「長波電波ウォッチの受信システム」(シチズン時計 八宗岡 正 氏、藤田 憲二 氏、中村 文雄 氏)が掲載されています。シチズン製の多局受信型電波時計(Ref. C. 7400)のスーパーヘテロダイン方式の受信回路などについて詳しく紹介されています。

    • CQ出版社 1993年6月1日
      HAM Journal 1993年5・6月号 No. 85
      \893円
      ※p.p.68-75に特集「電波時計開発の舞台裏」(シチズン時計 八宗岡 正 氏)として本時計が紹介されています。受信回路にスーパーヘテロダイン方式を採用した経緯や中間周波数を30.634kHzと決定した過程など詳しく述べられています。表紙にも本時計がコリンズ(有名な受信機)と伴に登場しています。

    • 二玄社 1996年4月20日
      INTERNATIONAL WRIST WATCH No. 11
      \1262円
      ※p.p.68-70の「気になるシチズンのウォッチたち」でシチズン製の多局受信型電波時計Ref. C. 7400とRef. C. C8410が紹介されています。写真に掲載のRef. C. 7400は、文字盤に凹凸があり、かつ月日をボタンを押さずに表示できています。ここで紹介したものと異なるタイプかそのプロトタイプと思います。

    • 二玄社 1996年7月20日
      INTERNATIONAL WRIST WATCH No. 12
      \1262円
      p.98に「NEWS」のコーナーで「シチズン電波時計発掘される!」との記事があります。ドイツに300個、未発売のデットストックが発見され、シェルマン銀座本店が逆輸入販売することが紹介されています。希少性(4300個 ※記事中では4000個と記述。)から当時の価格の3倍の価格もつけるショップもあるが、シェルマンは当時の定価10万円で販売(ゴールド50個、コンビ100個、スチール150個)することが書かれています。「アラーム付き」との誤りもあります(編集部に説明書が無いため、24時間表示針を誤認したものと思います)。

    • 日刊工業新聞 2001年2月1日
      Trigger 2001年2月号 No. 20
      \762円
      ※p.p. 56-59に「織田良子の遊YUトーク 10万年に1秒しかくるわない?!正確な時を刻み続ける電波時計のヒミツ」(シチズン時計 高田 顕斉 氏、織田 良子 氏)が掲載されています。女優の織田氏とシチズン時計の高田氏の対話の形で電波時計について述べられています。長波帯のタイムコードも載せてあります。本時計について、「高田 うちの製品は3万8000円から6万円です。実は一番最初に出したモデルはすでにプレミアがついて、数十万円になっているとも聞いています。  え−、すごい! 高田 おかげさまで、2000年に個数限定で発売したモデルも完売と聞いています。」との記述があります。

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