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浮かぶ発泡スチロール球


目的
ベルヌーイの定理、流線曲率の定理

準備
洗浄瓶、発泡スチロール球(ゴルフの練習球)、ハサミ(非常時使用)、 耐寒手袋、液体窒素

方法
  1. 洗浄びんに液体窒素を1cm程度たまるように注ぎ、ふたをする。
  2. 発泡スチロールの玉を噴出しているガスにより浮遊するようにのせる。
  3. 洗浄びんを傾けてみよ。



結果
発泡スチロールの球は浮遊する。傾けても落ちない。

考察
発泡スチロール球は、噴出ガスにより上へ持ち上げられるが、 これだけでは発泡スチロール球が安定して浮かぶ説明はできない。
ベルヌーイの定理によれば、 流体の流れが速いときは圧力が低く、 逆に流体の流れが遅いときは圧力は高くなる。 ただし、ベルヌーイの定理は流線に沿った積分で導出されるので、 1本の流線上でのみ成り立つのであって、 異なる流線上の圧力と速さの関係を議論することには向いていない。
これを補うものとして、 流線曲率の定理がある。 下図のように、流線が直線ではなく曲がっているとする。 流体の微小部分Pを考えて、流線に垂直な成分の運動方程式を考える。 曲率中心をC、曲率半径をr、流体の微小部分Pの質量をm、 速さをv、法線軸をs、微小部分Pのs方向の長さをΔs、 その断面積をSとする。 微小部分Pに加わる法線方向の力は、 圧力pによる力Fin、Foutであり、この合力が向心力Fcと等しい。 従って、

Fout-Fin=Fc,
Fout=p(s+Δs)S,
Fin=p(s)S,
Fc=mv2/r

となる。 簡単な変形を行った後、流体の密度ρがm/SΔsであることを使うと、

Δp/Δs=ρv2/r

と言う式が与えられる。 これが流線曲率の定理であり、 流体の圧力pが曲線の内側に向かって小さくなることを意味している。 その割合は、流体の速さが大きくなるほど、 曲率半径が小さくなるほど大きい。


もしも発泡スチロール球が左側に動いたとすると、 流線曲率の定理により、 球の右側はガスの流れが速いので低圧力、 球の左側はガスの流れが遅いので高圧力となる。 (左右の曲率半径は同じと見なした。 速さは自乗、曲率半径は一乗。) すると発泡スチロール球は噴出ガスの中心へ引き戻される。 ガスの速さの違いは、発泡スチロール球を回転から分かる。


注意
洗浄瓶の口が凍結しないように注意すること。 万が一凍結したときは、直ちにパイプを引き抜くかハサミで洗浄口を切断し、 窒素ガスの逃げ道を確保すること。

おまけ
ロートを洗浄瓶の口に接続し、 ロートを逆さまにして、発泡スチロール球を入れても落ちない。 これは上記と同様に流線曲率の定理で説明できる。


備考
この実験は、中央大学理工学部 長嶋 登志夫 氏の 「 低温の世界」を基にしたものでる。

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