院内LAN構築までの遍歴
Macintoshを使った院内LAN構築までの遍歴を紹介します。ずっと 悪戦苦闘の歴史でした(笑)。 すでに時代遅れの内容もありますが、そのあたりはどうぞ読み飛ばしていただけますようお願いします。
院内LANを構築した電子カルテの場合は、ハードのセットアップからソフトのセットアップまでメーカーが責任を持ってやってくれますが、個人的に院内LANを構築するには、基本的な知識がどうしても必要です。また、その後のネットワーク管理を考えると、万一サーバがダウンした場合などのトラブルを早急に復帰させる必要がありますので、最低限覚えておかなければいけないことがあります。
そのため、院内LANを個人的に導入するには、ステップを踏んでご自分でためしてみることをおすすめします。最初はとっかかりづらいですが、やってみると特に難しいものではありません。ご興味のある先生は、他のページを参考にしていただき、是非トライしてみてください。
なお、ネットワークの設定については細かいことを説明しだすとキリがありませんので、ここでは大まかなことだけを記載しました。Macintoshでのネットワークの設定に関しては、AppleTalkの設定にて解説していますので、よろしければ参考にしてください。
1、2台のMacをシリアルケーブルで接続する。
第一段階として、ハード的に必要なものは2台のMacとシリアルケーブルだけでした。パソコンショップでMacintoshネットワークの入門書を購入し、それを見ながら設定してみました。1台をサーバとしてファイル共有させ、もう1台をクライアントとしてサーバにアクセスできるように設定すればネットワークの完成です。「AppleTalk」「ファイル共有」「共有フォルダ」「利用者・グループ・ゲスト」「AppleShare」これらの名称と意味の把握に時間がかかりましたが、全ての基本はこの段階だけで学べるものだと思います。
2、シリアルケーブルをEthenet(10 Base-T)に変更。
前述のシリアルケーブルではデータの転送速度があまりに遅く、とても仕事に使えるレベルではありませんでした。そこで、実用的な10 Base-Tに変更することを考えました。その当時、Ethernetカードが標準装備されているPowerMacintoshシリーズであれば簡単でしたが、手元にはPerformaやLCシリーズしかありませんでしたので、まずEthernetカードを用意して2台のMacに装着する必要がありました。その他に必要なものはハブ1つとEthernetストレートケーブル2本で、これらは物理的にただ差し込むだけでした。ただし、1と異なる点は、2台のMacの接続に際してハブを中継させることです。これによりハブのポート数分だけMacが接続できることになります。この段階まで自分で出来るようになれば、後は必要なだけクライアントを接続するだけですので、特に難しいものでありませんでした。10 Base-Tに変更し、データの転送速度も格段に速くなりました。ここまでを勤務医時代になんとか把握し、開業時に院内LANを導入することを考えました。
3、Ethernetを100 Base-TXに変更。
開業時は10 Base-Tでのネットワークだったのですが、Mac OS 8.5から100 Base-TXの転送速度が非常に速くなることを知り、Mac OS 8.5の発売に先立って、100 Base-TXへの変更を行ないました。100 Base-TXのカードやハブの価格が、以前よりもかなりリーズナブルになったのもきっかけでした。ケーブルは開業時にカテゴリー5の物を使用していましたので、配線し直す必要はありませんでした。現在のMacintoshでは100 Base-TXが標準搭載(PowerMacG5やPowerBookG4では1000Base-T)されていますので、Ethernetストレートケーブルとハブがあればすぐにこの段階から始められます。
4、Timbuktu Pro、ARA、PowerKey Proの導入。
100 Base-TXへの変更の際にお世話いただいたアドバイザー(Forest Inc,)の方に勧められ、次に自宅から医院へのネットワーク接続を考えました。ただし、医院のサーバに常時電源を入れておくことは無駄なので、電話をかけることで医院のサーバの電源をON、OFFすることのできるPowerKey Pro 600を導入した上で、ARA(Apple Remote Accessパーソナルサーバ3.0)による電話回線を利用したネットワークを構築しました。これにより、以前勤務させていただいていた椎貝歯科医院の院内LANと打越歯科医院の院内LANを接続することもできるようにもなりました。(WANの構築)Timbuktu Pro 4.8 for MacOS(日本語版)はネットワーク上の他のMacのモニターそのものを自分のMacで表示させ、全てのコントロールを可能にするもので、応用可能性の広い便利なソフトです。遠隔地の先生と接続し、同時に同じ画像を見ながら症例検討するときや、遠隔地からのサーバー管理、アプリケーションやパソコンの使用法をリアルタイムに指導したいときなどに非常に役立ちました。
5、スイッチング・ハブの導入。
ハブをスイッチング・ハブに変更し、100 Base-TXの全二重モードで接続できるようにしました。それまでの100 Mbpsの半二重モードに比べ、データの受け渡しが同時に行えるため、理論的には200 Mbpsという2倍の転送速度になりうるようです。明らかに体感速度も向上し、ネットワーク接続であることをあまり意識せずに済むようになりました。特に、Timbuktu Pro 4.8 for MacOS(日本語版)によるインターホン機能では、全二重モードになったことにより会話が全くとぎれることなく鮮明に行えるようになりました。現在主流のMacintoshでは、10/100 Base-TX Ethernetカードが標準装備されていますので、すぐに100 Base-TXでの接続が始められます。まったく…、便利になったものです(笑)。
6、共有フォルダの自動バックアップ。
院内LANを導入して便利な環境になってくると、データファイルは膨大な数になっていきます。そのため、どうしても考えなければならないのは、そのデータファイルのバックアップです。しかし、データファイルが増えれば増えるほど、そのバックアップにかかる手間と時間も増えていきます。そこで、自動でバックアップを行なうRetrospect 4.1日本語版を導入しました。
当院の院内LANでは、院内LAN構成図で紹介しているように、共有フォルダをサーバ本体のハードディスク上に置かず、SCSIで接続した外部ハードディスクを1つまるごと共有ディスクとしています。その理由は、万一サーバ本体にハード的なトラブルが発生した場合でも、その外部ハードディスクを他のクライアントに接続して、暫間サーバとして機能させることができるからです。(実際、このシステムで何度も救われました。)さらにもう1台の別の外部ハードディスクをバックアップ専用としてSCSIで接続し、これを使って昼休み時間に毎日自動バックアップを行なうようにさせています。ハードディスク同士のバックアップですから、バックアップの時間も5分程度で済むようです。
7、Web共有(イントラネット)の構築。
Macintoshだけのネットワークでは、HTMLを使ったWeb共有(イントラネット)はあまり意味が無いように思っていました。しかし、ハイパーテキスト形式であるHTML書類は、患者さんへの説明などにも利用価値があり、実際にやってみることにしました。それまで、インターネット接続用に使用していたTAを、ルータに変更し、ネットワーク上のすべてのMacintoshからインターネット接続ができるようにもなりました。
TCP/IPコントロールパネルで、それぞれのMacintoshに固定のLocal IPアドレスを設定し、サーバーのWeb共有を開始させます。その後クライアントからサーバーのLocal IPアドレスにアクセスすればWeb共有の完成です。
8、周辺器機共有ソフト「UNICORN」でローカルプリンタを共有。
Ethernet接続によるネットワークプリンタか、外部プリントサーバか、もしくはプリントサーバ専用のMacintoshを導入しようかと悩んでおりましたが、プリンタ使用頻度の非常に低い当院の環境では、どれも不経済でなかなか踏み切れないでおりました。しかし、エスコンピュータから発表された周辺器機共有ソフトUNICORNを使用すれば、現在使用中のローカルプリンタを、共有プリンタとして各クライアントから使用することができます。半信半疑で使用してみましたがこの当時はすごいソフトだと思いました。
9、ルータ同士によるTCP/IP接続とTCP/IP経由によるファイル共有
Mac OS9からは、TCP/IPによるファイル共有がサポートされました。この機能を利用すれば、ARA(Apple Remote Accessパーソナルサーバ3.0)を用いなくても、遠隔地のLAN同士をルータの本来の機能を使用して、AppleTalkによるファイル共有でネットワーク(WAN)させることができます。そのため、最近では全くARAは使用しなくなりました。
この際のポイントは、通常使用されるルータのLocal IP Address(192.168.0.1)を手動で設定しなおすことと、ルータのDHCPサーバ機能は使用せず、LAN上のパソコンのIP Addressを1台ごとに重複せずに割り当てておくことです。ルータのLocal IP Addressを手動で設定しなおすことというのは、通常、デフォルトでルータに割り当てられているLocal IP Address(192.168.0.1)を192.168.××.1のように、××に当てはまる数字を変更しておくことです。同じLAN上では、この××の数字を一致させていなければなりませんが、ルータ同士を接続してLAN同士をネットワークさせるには、この××の数字が、デフォルトの0のままだと、お互いのLANのLocal IP Addressが重複してしまう可能性が高いからです。