デジタルカメラによる口腔内記録写真

 

治療前       治療後

画像をクリックすると実際のサイズで表示されます。

 1997年にNIKONから発売された日本初の本格的一眼レフデジタルカメラE2N(130万画素)とAF MICRO NIKKOR 105mm 1:2.8D 及び MACRO SPEEDLIGHT SB-21の組み合わせによる撮影例です。デジタル画像ですからフィルムによって色合いが変化することもなく、実際にスライド出力しても遜色ない画質です。特に20インチクラスのモニタのフルカラーモードで見ると、素晴らしいものです。元画像をダウンロードして、画像レタッチソフトなどでご覧になっていただければ、よくお分かりいただけると思います。(現在同社のこのカメラは、D1シリーズを経てD100シリーズに継承されています。)わたしの購入したE2Nは1997年の発売で本体価格89万円でしたので、現在のD100と比較して価格は約1/3、画素数は約5倍になったと言っていいでしょう。羨ましいかぎりです。

 最近のデジタルカメラでは、低価格で300万画素以上の製品が当たり前に出てきています。しかし、カメラ本体の基本的性能、CCDそのものの面積が小さい、レンズの性能などの理由で、総合的に比較すると低価格帯のデジタルカメラではまだこれだけの画質は出ないようです。銀塩カメラでスライドを撮っていらっしゃる先生ならお分かりになると思いますが、接写レンズだけで5万円から8万円もするのに、デジタルカメラ本体で3万円程度の価格であれば、それに使われているレンズの性能などは比べるまでもないと思います。

 デジタルカメラの画素数を今まで以上に増やすことは、技術的に限界がきているともいわれております。今のところデジタルカメラは、銀塩カメラにとって変わりうるものではなく、両者は用途に応じて使い分けられる共存関係になるのでは?と考えています。でも、最近のデジタルカメラの性能の向上には本当に目を見張るものがありますね。

 今まで撮りためたスライドが膨大な数になってお困りの先生や、新規開業でこれを期に口腔内の記録写真を撮っていきたい先生には一眼レフデジタルカメラの使用を是非おすすめします。スライド整理が非常に楽で、見たいときの検索も簡単ですし、フィルム代も気にせずにどんどん撮ることができます。なにより、現像のためのタイムラグがありませんから、撮ってすぐに患者さんにお見せすることができるのも魅力です。最近はプロジェクターの性能が飛躍的に向上していますので、スライドを用いないデジタル・プレゼンテーションが当たり前になってきています。

 参考までにですが、スライド用のポジフィルムをフィルムスキャナーで読み取って、満足できる位の画像ファイルにすると、1枚当たり3MB位になったご経験はありませんか?それでも色合いがどうも赤っぽかったり、フィルム自体の傷が目立ったり、あまりご満足なさった経験は無いのでは?なにより、スキャンに費やす時間は非常に無駄で、大変な手間となります。

 打越歯科医院で院内LANを構築した最大の理由は、このデジタルカメラを効率よく使用するためです。今撮った画像ファイルを、サーバに接続してあるPCカードリーダに読み込ませ、共有フォルダにコピーすれば、たちまちユニットサイドの全てのクライアントでその画像を見ることが出来る訳です。この作業は非常に簡単で、パソコンに不馴れなスタッフでも1分とかからずに済んでしまいます。

 現在、歯科メーカー各社で歯科用のCCDデジタルカメラが多数発売されておりますが、画像データの質はお世辞にも良いものではありません。画質よりも操作性を重視してのことなので仕方がありませんが、決して、先生がたが学術的に口腔内記録写真として利用できるレベルのものではありません。しかし、ハイエンドクラスの一眼レフデジタルカメラで撮った画像ファイルであれば、咬合面を全顎で撮って、拡大したいところをどんどん拡大しても、撮ったときのピントさえ合っていれば非常に鮮明な画像です。マージンの適合状態、カリエスやペリオの状態など、口腔内で見るよりもずっとはっきり分かります。また、口腔内を診た時には気がつかなかった小さな問題などを発見することも多いものです。

 打越歯科医院では1998年の開業当初から、意図をご了解いただいた上で、来院した患者さんのほぼ全ての方の口腔内写真を撮らせていただいております。撮ってすぐに患者さんに見せることができ、治療前と治療後の比較が簡単にできて、患者さんにも非常に好評です。口腔内の記録写真はすでにデジタルの時代だと思います。ちなみに、保険請求上は下図のようにプリントアウトして、カルテに添付しています。

口腔内カラー写真のプリントアウト例

 余談ですが、このようなハイエンドクラスの一眼レフデジタルカメラで撮影された画像ファイルとモニタキャリブレーションシステムを用いれば、歯科医院と歯科技工所間におけるシェード情報の伝達などは、かなりハイレベルで行うことができると考えます。現在のところ打越歯科医院では、モニタキャリブレーションシステムは用いておりません。歯科技工所(デンタルクリエイトさん)とのシェード情報伝達には、単にシェードガイドとともに撮った画像を使用しておりますが、非常に良好な結果を得ております。一眼レフデジタルカメラによるシェード情報伝達であれば、十分臨床応用に耐えられるものと認識しております。

 ハイエンドクラスであるこのカメラの価格は当時非常に高いものでした。ヨドバシカメラで必要な周辺機器からレンズ、リングストロボまで一式購入した時で総額130万円位だったと記憶しています。今考えても、カメラに全く知識がない私が、よくそんなお金を出して購入したものだなと思いますが(笑)、1998年4月の開業以来、すべての症例をこれくらいの画質レベルで保存できている価値を考えると、お金には変えられない資産だと思っています。最近ではごく当たり前になってきましたが、1998年当時は発売されたばかりの一眼レフデジタルカメラを歯科臨床に応用するのはちょっとした賭けだったかもしれません(笑)。

 その後、Nikonから更に低価格で高性能になったD1が発売となりました。レンズ交換式一眼レフタイプで、総画素数 274 万画素という超高性能でした。この超高性能だったD1のお陰で、一眼レフデジタルカメラを歯科臨床に応用する先生が増えてきたように思います。しかも私の持っているE2Nより本体価格で20万円以上安かったのです。実際に使用してみたこともありますが、明らかにE2Nより性能は上でした。(前述の通りD1も現在はD100に継承されています。)ただ1つ難点を言えば、リングストロボとの組み合わせとその設定が非常に難しいということです。具体的にはストロボの光量コントロールの問題だと思います。私のE2Nのシステムでは、同じ条件で、等倍の接写と患者さんの顔貌全体を撮った場合を比べても、ほとんどストロボの光量による露出の変化は気にならないのですが、D1の場合は明らかに大きな差が認められ、倍率により、マニュアルで光量を変化させなければならない状態でした。私のカメラ知識がないことが原因なのですが、なかなか素人には使いこなせない代物かも?という印象でした。デジタルカメラをあらかじめ歯科用にセットアップして販売している会社(例:株式会社ソニックテクノさん)もいくつかあるようです。そういう会社ではその辺のノウハウや便利なアイテムがありますので、デジタルカメラおたくではない先生には、このような会社に相談されることもお薦めします。

 とにかく、デジタルカメラで口腔内写真、始めてみませんか?