 |
定年後に始めた料理修行、現在はイタリア料理をマスターしたいと励んでいる。 イタリアンの修行日記をこれから記していくことにしよう。(1 Dec. 2006 / 16 Feb. 2007 / 29 Apr. 2007 / 17 June 2007 / 9 Nov. 2007)
1.まずはパスタのゆで方から
パスタのゆで方を軽視してはいけない。塩加減が肝要で一リットルの湯に塩10グラム程度と、素人が考えるよりはるかに多くの塩が必要。
パスタ鍋をまず用意すべし。スパゲッティなど、二、三人前以上の量をゆでるときにはなくてはならない。パスタのゆで汁がまた重要。したがって、湯切りのための穴の空いた内鍋と、湯をためる外鍋の二重構造になったパスタ鍋がいるのだ。ペンネやマカロニなどのショートパスタの場合はパスタ鍋がなくとも可(ただし、ゆで汁は捨てないように)。多くの野菜を一緒にゆでた場合など、パスタのゆで汁は立派なスープの素になるので、捨てないで、冷凍などして別の料理のための素材として保存すべきである。
パスタのゆで加減は、よく言われるように「アルデンテ」。わずかに芯を残す程度までゆでてパスタをあげる。ソースをからめるなど、後の作業が必要なので、ゆですぎると出来上がりのときにパスタがのびてしまうのだ。コシのない、伸びたうどんなど食いたくもない。それと同じで、麺が命のパスタではのびた麺では落第なのだ。そのためには、ゆで上がり加減を必ず試食して確かめる。
すでに述べたように、パスタのいいところは、野菜などを一緒にゆでて、手早く料理ができることだ。素材のゆでやすさに応じて、時間を加減して順次野菜を入れていくことができる。アスパラガスや絹さやなどは一、二分と、パスタがゆであがる直前に入れる。ブロッコリやカリフラワなどは、最初から入れて崩れるくらいまでゆでても大丈夫。パプリカ(赤、黄色ピーマン)などはその中間。
2.ソース作りとパスタを入れるタイミング
理想的には、パスタにからめるソースと、パスタのゆで上がりとが同時にできるのが望ましい。しかし、修行中の身では、なかなかそこまでタイミングよくできない。そこで、ソースを先に作ってパスタのゆで上がりを待つというのが次善の策となる。ソースにも多種あって、二、三分でできるものから、三時間以上かかるものまであるので注意。以下では、すぐ作れて、しかも応用範囲の広い「アーリオ・オーリオ(にんにくオイル)」の作り方を。
材料は、オリーブオイル、にんにくのみじん切り、赤唐辛子(一本でよい)とパセリ(みじん切り)だけ。
オリーブオイル適量をフライパンに入れ、火をつける前ににんにく(にんにくの芽は必ず取り除いておく)のみじん切りを入れ、弱火でにんにく片がキツネ色になる程度まで(そして、決して焦がさないように)炒める。にんにくのかおりが充分にたったら、「キツネ色」(知覚には個人差が大きいので)には必ずしもこだわる必要はないだろう。その後に赤唐辛子を二つ割りにし、種を取りのぞいてオイルに入れ、手早く炒め、パセリのみじん切りを入れる。これで出来上がり。パスタがまだゆであがらないようなら、パスタのゆで汁をできあがったオイルに少し加えて、にんにくが焦げないようにしておく。
後は、ゆで上がったパスタを加えてアーリオ・オーリオをからめ、塩コショウで味をととのえるだけ(これがけっこう難しい)である。最後に、パセリのみじん切りを散らせて、スパゲッティ・アーリオ・オーリオの出来上がり。塩加減が味を左右する。濃すぎると辛いし、うす過ぎると間の抜けたスカタン味となる。ゆで汁と同じくらいの塩味であれば無難か。何回かやって適度な味を覚えるしかない。もちろん、味の調節にゆで汁を利用することも腕の見せ所。シンプル、早い、おいしいと三拍子そろった定番パスタ。トッピングに「揚げにんにく」(後述)を散らすのもよい。
その後、落合務シェフの本から、一つ重要な秘密を教わった。アーリオ・オーリオの味の決め手は、塩加減もさることながら、オイルとゆで汁の混ぜ具合にあるそうだ。ゆで汁を少しずつ何段階かで加え、フライパンをよく揺すってオイルとなじませ、ソースが白濁するようにする。「手早く、よく混ぜ合わせる」、これがソースにせよドレッシングにせよ、味をよくするコツなのだそうだ。
3.にんにくオイル(アーリオ・オーリオ)と揚げにんにくを同時に作りおき
アーリオ・オーリオは前述のように簡単にできるのだが、ある程度の量を作り置きしておくのもよい(十分に日持ちする)。にんにく三、四片から、ひと玉全部まで、お好みの量によってオリーブオイルの量を調節すればよい。好みの分量だけのにんにくをみじん切りして、見合った量のオリーブオイルで、「キツネ色になるまであげる」だけでよい。揚がったにんにくは、すくい上げてペーパータオルに取り、油気をとって瓶にでも保存しておけばよい。パスタ等のトッピングに使えるし、ちょっとしたツマミにもなる。残ったオイル(アーリオ・オーリオ)は、さました後に別の瓶に保存し、適宜別の料理に使う。次からはにんにくのみじん切りを使わずに、唐辛子とパセリを入れるだけでアーリオ・オーリオソースができるのである。
[写真の料理は、イタリアンではなくスペインのパエーリャだが、これもリゾットの一種。]
参考文献
『片岡護の本格イタリアン』山と渓谷社、2006年。 Pasta Pasta、社団法人日本パスタ協会。 落合務『ちゃんと作れるイタリアン』マガジンハウス、2005年。
|
 |