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英米におけるABBAとは?

 ABBAとは、当時のイギリス人やアメリカ人にとって、どういう存在だったんでしょう。

 我々日本人から見ると、英米人も北欧人も同じ白人系人種と言うことで同じように見えますが、アングロサクソン系やラテン系が多い英米人の目から見れば、北欧系のスウェーデン人であるABBA(Fridaはドイツ人とノルウェイ人の混血)は、立派にガイジンに見えたことだろうと思われます。スウェーデン人は、ゲルマン語に近いスウェーデン語を使うため、英語は母国語ではありません。英米人から見れば、スウェーデン人が英語で歌うことは、やはり奇妙なことだったのではないかと想像できます。これらのことから、英米人から見たABBAは、日本人から見た韓国人や台湾人の歌手に近い存在であったのではないかと推測されます。

 当時のアメリカやイギリスを現在の日本の立場に例えてみれば、ABBAというのは、例えば台湾出身のビビアン・スー(Vivian Hsu)や、韓国出身でオリコンチャート1位を記録したBoA、TV CF等で活躍する女優のユンソナ(Yoon Sohnha)と言ったあたりになるのではないかと思われます。日本は、英米に比べると未だに外国人が正統派のスターとして活躍しているケースが少ないのですが、彼女たちはそんな環境でも見事に日本に溶け込んで、しかも日本人の間でもしっかり人気を獲得しているという点で、当時の英米におけるABBAの存在に近いような気がします。

 しかし、ビビアンやBoAと、ABBAとの決定的な違いは、ABBAは、ヒット曲も含めて自分たちの音源を全て自分たちで作っていたことです。ABBAが歌った楽曲は基本的に全て自作自演で、Produceもアレンジも録音も、全てスウェーデンで制作したものを世界へ向けて発信していました。アメリカやイギリスで発売するレコードを、アメリカやイギリスで制作してはいなかったのです。それ故に、音楽のオリジナリティは強力で、英米のアーティストにまで影響を与え、世界的な存在として今に至るまで人気を保ち得ているのだと考えらます。そこまで含めて考えると、今のところ、日本において当時のABBAに相当するようなアジア系の外国人アーティストは、残念ながら存在しません。

 今やABBAは、英米は勿論、欧州、南米、アジア、アフリカと、全世界で「偉大な」グループして特別の地位を築きました。しかし、彼らも英米での現役当時は、多分、今の日本におけるビビアン・スーやBoAやユンソナなどと何ら変わらない存在だったのではなかったかと思います。ただ、彼らが活動停止後も、数十年に渡りその存在感を示し続け、ついには英米をも含む全世界において特別の地位を獲得し得たのは、一重に彼らの作ってきた音楽の魅力に因るものです。英米であろうが、他の世界各国であろうが、ABBAがABBAである理由は、結局彼らの作ってきた音楽にあるのです。