TOM PETTY & HEARTBREAKERS 

11/23/02 Los Angeles The Great Western Forum

 

 

前置き

 

Los Angeles近郊の町、イングルウッドに位置するザ・ウエスタン・フォーラムに行くのはこれで2度目で、92年にエルトン・ジョンを観て以来だ。(私は当時2週間程Los Angeles近郊に滞在していた)当時は私の英語力なんてまるでダメで、今考えると現地に辿り着いたのは奇跡といってもいい。その時の状況を少し振り返ると....当日チケットも持たず、前日にLA Weeklyで嗅ぎ付けたライブ情報を頼りに行く事を決めた。同日にU2もライブを行なっていたが、当時は全く興味がなかった。とにかく開演ギリギリに現地に到着し、ダブ屋?から30ドルくらいでチケットを購入し見る事が出来た。セットリストなんて憶えていないが、「キャンドル・イン・ザ・ウィンド」とジョン・レノンに捧げた「エンプティ・ガーデン」を演奏した事は今でも憶えている。当時も今現在も、フォーラム周辺はLos AngelesLA)エリア中でも治安のよくない場所の一つで、行く予定がある人は気を付けたほうがいいかも。

 

Tom Pettyの話に戻すが、 彼らのコンサートを見るのは99年のハリウッド・ボウル公演に次いで2度目。その後も見る機会は何度かあったのだが、2001年にはサンタバーバラまで見に行ったのだけど、ソールド・アウトで入れず、最初の2曲を会場の外で聞いて、すぐにLAに引き返した。今年も8月にLA近郊でライブが行なわれたのだが、ちょっと遠くて行けず、2ヶ月後の10月15、16日にも新作を引っさげてのショウがLAのダウンタウン近くで行なわれたのだけど、ボブ・ディランのライブと重なっていて、泣く泣く断念した。そして今回、ようやく見るチャンスが巡って来たというわけだ。

 

チケットはネットで発売されていたのだが、先行発売で購入するチャンスを逃した為、当日現地で購入する事に決めた。まあそのほうがチケットマスター(アメリカの大手チケット販売代理会社)に手数料を払わなくて済むのだけど。(現地に住んでいなければ出来ないけど)因みにチケットはオンラインで購入する場合、ライブの前々日に良い席が発売される事も少なくない。案の定、ネットでチケットをチェックしていたらステージに割と近い席も見つかった。

 

そして当日

 

フォーラムに開場2時間前に到着。会場の外、360度に駐車場があるのだが、まだガラガラの状態だった。熱心な(多分追っかけファン)ファンだけが、車から大音量でTP&HBのナンバーを流していた。少し早すぎた感もあるが、まっすぐボックス・オフィス(チケット売り場)に向かう。売り場の前に並んでいたのは2、3人だけで意外に少ない人数だ。(大抵、人気ライブなら売り場の前に開場2時間前には最低、15〜20人の列が出来ている)売り場の人に「チケットはあるか?」と聞いてみると、座席マップに指をさして、「この席なら確保出来る」と示してくれた。ステージから少し遠めの席だったので、「また後で来ます」と私は売り場を後にした。お腹が空いたので、近くのケンタッキー・フライド・チキンに(KFC)向かう。店内に入って驚いたのだが、レジ(オーダーし、奥には調理場がある場所)がガラスで覆われていて、店内からはレジの中に侵入できないようになっていた。LA広しと言えど、こんな場所は初めてだ。私の家の近所にもKFCがあるのだが、日本と同じ普通のKFCだ。辺りを見渡すと、店員も客も黒人ばかりだし、あたり周辺も他の町に比べて殺風景で薄暗い。

 

会場に戻り、会場の外側の壁にそって歩くと、中から音が聞こえてきた。サウンド・チェックだ。Love Is A Long Roadだ。その後、The Last DJ  そしてまたLove Is A Long  Roadがくり返し演奏されていた。ボックス・オフィスに戻り、売り場の人に「何か良い席でましたか?」と聞くと、「ちょっと待って...これなんてどう?」と座席マップを指し、よく見るとスタンドだがステージ真隣B席だったのでそれに決めた。(実はボックス・オフィスに4、5回訪れて、これがその中で1番良い席だった。)会場入り口に向かって歩いて行くと、またサウンド・チェックの音が漏れてきた。どこかで聞いた事がある曲だ。もしかして? そう! Isnt It A Pity!

ジョージ・ハリスンの曲だ。まさかサウンド・チェックで聴けるとは。嬉しさが込み上げ、ライブへの期待が膨らんできた。

 

6時30分、開場と同時に中へ入る。入り口にはメタル・ディテクター(金属探知機)を持ったスタッフが立っていて、念入りなボディ・チェックを行なっていた。会場に入り、早速グッズ売り場をチェック。が、私が求めていたTシャツが見当たらない。(Tシャツ正面に王冠とドルのマークが入った黒いシャツ。スタッフが来ていたのを会場で見かけたが、ひょっとしてスタッフ専用の非売品?)各グッズの値段も高く、(会場のグッズ売り場で買うより、ネットで買うほうが何故か10ドルくらい安いです)何も買わず自分の席のほうへ向かう。会場事体古く、座席等も古臭い。以前はバスケット・ボール・チーム、レイカーズの本拠地だった事もあり、壁などにはレイカーズのポスター?等が貼ってある。(現在、レイカーズの本拠地はステイプルズ・センター)

 

何と、私の席はステージの真横の1番前で、フロア(アリーナ)席に例えると、前から5番目で見ていると同じくらいステージに近い。こんなに良い席だとは思わなかったのでちょっとびびる。(チケット売れていない?)ステージをよく見ると。何とオープニング・アクトのジャクソン・ブラウン(JB)ではないか! 彼の出番は7時30分だが、どうやら彼自身が先導となって機材チェックをしているようだ。と思ったら、ギターを持ち、いきなり歌い出した。JBが「これはサウンド・チェックだよ、でもこのまま本番に入ろうかな?」と喋る。会場内にはまだほとんど客はいないが、早く来ている人のほとんどがJBのファンらしく、嬉しい驚きに歓声をあげていた。そして今度はキーボードを弾き、また歌い出す。有名な曲なのか、オーディエンスの反応も次第に大きくなっていく。歌い終えると、「ちょっと休憩して、また戻ってくるよ」とステージ裏に戻っていった。正直いって、私はJBの曲は全く知らない。でも素敵な声と曲なので好きになりそうだ。

 

ジャクソン・ブラウン

 

まだ客席が半分強くらいだが、7時30分丁度にジャクソン・ブラウン(JB)のショウが始まった。オープニング・アクトにしては大きな歓声に包まれての登場なので、早くから来ているオーディエンスのほとんどはJBのファンなのかも。1曲目を歌い終えると、「ありがとう、ここに来れて嬉しいよ。」と一言、今のは新曲でしたが、次は古い曲ですとキーボードに移る。Fountain of Sorrowという曲のようで、イーグルスの曲に近い雰囲気だ。「ありがとう、次は新しい歌です。About My Imaginationといいます。」と次の曲に移る。JBが歌っている最中、何度か私の座っている方向をチラチラと見ていた。コンサート関係者も私の隣のほうへ座っていたので、JBの関係者も座っていたのかも知れない。何曲か歌い終えると、JBが、「ありがとう、これはハートブレイカーズのメンバーの捧げます。スコット・サーストン! 彼は我々と何度か一緒にプレイした事もあるんです。これはスコットに捧げる曲です。そしてこの中で彼だけがカルヴァーシティ(LA近郊の町)に住んでいるからです。」といい歌い始める。歌詞の中に「レイカーズ」の名前が出てくると、歓声が上がったりしていた。演奏の最後にバンド・メンバーの女性がメイン・ヴォーカルを取り、ソウルな歌声を聞かせてくれた。「僕達をこのツアーに選んでくれたトム・ペティ&ハートブレイカーズに感謝を言いたいです。僕達はとても良い時を過ごしています。」とトム達に対してのMCも少なくとも3回は喋っていた。JBLAを拠点にしているようでその胸をオーディエンスに伝えると、大きな声援を受けていた。最後の2曲は有名な曲らしく、オーディエンスの受けも他の曲より全然違っていた。JBの曲は全く知らないので詳しいセットリストは知らないがネットで発見した、12月3日のフィラデルフィア公演のセットリストを下に記載しておく。(私の記憶が正しければ、ほとんど同じセットだった) 曲目は全く知らなかったが、思わぬ収穫だった。また良い音楽を一つ見つけたといった感じだ。

 

1.      Boulevard

2.      Casino Nation

3.      Fountain of Sorrow

4.      About My Imagination

5.      Naked Ride Home

6.      Night Inside Me

7.      Never Stop

8.      Culver Moon

9.      Pretender

10.    Running on Empty

 

JB「ありがとうロスンジェルス、そしてもう一度感謝を言いたい! トム・ペティ&ハートブレイカーズ!」

 

 

そして真打ち登場

 

機材の変更に30分くらいかかる。待っている間、トイレを済ませてきたのだが、トイレの前は長蛇の列だった。9時30分頃、TP&HBが登場。2階のスタンド席はあまり人が入っていないが、オーディエンスの反応は最高点に達した感じだ。セットリストはネットで確認して知っていたのだが、それでもThe Last DJのイントロが始まった時は興奮を押さえ切れなかった。私の目の前にはギターのマイク・キャンベルが。その後ろにはピアノ、キーボードのベルモント・テンチが。そしてステージのまん中にはトムが。近視の私にもトムの顔がはっきり見える。こう真近で見れると感激も全然違う。ステージの後ろにはスクリーンがあり、白黒だけど、でかくTP&HBが写しだされていた。(私の場所からだと、でかすぎてスクリーンの全体がステージの機材に隠れてよく見えなかったけど)2曲目はLove Is A Long Road。トムのソロ名義のアルバム、フル・ムーン・フィーヴァーは私の一番好きなアルバム。オリジナルに忠実な演奏なので嬉しい。次ぎのHave Love Will Travelは新しい曲、TVのライブで何度か見て、とても気に入っていた。歌詞の(How about a cheer for all those bad girls,)で女性オーディエンスから大歓声が、 (〜and all the boys that play that rock and roll~)では男性からも。トム達はこの時点でオーディエンスの心を完全につかんだようだ。見ていて、「来て本当に良かった」と思える瞬間でもある。99年のツアーではアンコールで歌っていたFree Fallin'が次にやってきた。コンサートの最後で盛り上がりに歌ってきたこの曲を早くも歌いきってしまうとは。秋のツアーの前半では外されていたので、「まさか外されるのでは?」と不安だったが、今の彼らのホーム・タウンでもある、LAで外すわけがない。歌詞に出てくるVentura Bl(ハリウッド北にあるストリート名)が歌われると、歓声が上がる。

 

Joe, When A Kid Goes Badとニューアルバムからの曲が続く。一番近くにいるマイクが私らの方向を向いて「ニカッ」と微笑んでくれた。いつもモクモクとギターを弾く人なので、意外な一面を見たというか驚いた。次ぎのShadow Of Doubtは古い曲らしいが、私には馴染みのない曲だった。そして、I Won't Back Downがオリジナル通りに演奏される。99年のライブでは、アコーステックな演奏だったが、やっぱオリジナル通りにマイクのスライド・ギターがフィーチャーされているほうがいい。You Don't Know How It Feelsのハーモニカはスコットが吹いていた。演奏後、トムがステージの後方に下がって、タバコを何度も吸っていた。一度、吸うのを止めて、また戻って吸い返している。ステージ前方に戻ってきたトムは、来週、ジョージ・ハリスンのトリビューと・コンサートの為にロンドンに行く事を話してくれた。(この時の為にタバコで気分を落ちつかしていたのだろうか?)

 

Isnt It A Pity。ジョージのソロ・アルバム、All Things Must Passに収録されたナンバーで、ジョージの代表曲の一つでもあるが、トムが静かに、慎重に歌い出す。会場のオーディエンスからはライターの火を灯す者も現れるが、すぐ警備員に注意される。トムの情熱が隠った歌声も勿論だが、なんといっても曲後半のマイクのギターソロだろう。文面ではとても言い表せないが、今夜この場にいた事は忘れられそうにもない。

 

Thank you very much for that! Thats very nice for him……(オーディエンスが灯したライターにだろう)とトムが一言。オーディエンスもそれに拍手で答える。

 

次の曲はフル・ムーン・フィーヴァーからと、Feel A Whole Lot Better演奏。同アルバムからのナンバー中ではどちらかというとマイナーな曲ではないだろうか。続く、Can't Stop The Sunのイントロはビートルズのハッピネス・イズ・ウォーム・ガンを連想させ、マイクのワウ?ペダルを使ったギターソロにはジミー・ヘンドリクスを思い起こさせる。次の A Woman In LoveとThe Waitingも古い曲だ。 A Woman In Loveのギターリフなんかは70年代そのものだろう。この2曲にいえる事だが、オーディエンスの半分はデビュー当時からのファンのようで、古い曲のほうが盛り上がっていた。

 

アコギに持ち替えて、トムが語り出す。僕達は協賛者(コンサートを行なう為に資金などを出してくれるスポンサー)を持っていない事にとても誇りに思うよ。2002年だよ、協賛者がいてもおかしくないし、彼らがいれば、何かとちょっかいをかけてくるしね。 僕達がここに来れたのは君たちのお陰だよ。誰もビールの為に歌う必要もないんだから。希望は持つべきだし、誰も「そんな事はしていない」と、君たちから言いたい事を奪う権利なんてないよ。と語り、King's Highwayを歌い出す。トムのアコギにマイクのマンドリン?、ベルモントのピアノが絡んだ素朴でシンプルな演奏が心をうつ。

 

 

Yer So Badは超聞きたかった曲。生で聞けるチャンスが来るなんて思ってもみなかった。サビに入る前の歌いまわしをオーディエンスと一体になれるようにか、アレンジしていた。次の曲は皆の為に、新しい曲Lost Childrenです。とトムが。知っている人も少ないせいか、他の新曲と比べると盛り上がりに感じだった。曲の後半にマイクのギターソロが長く入り、ベンモントのピアノが絡む。そしてRefugee。マイクの弾くイントロは何度聞いても気持ち良い。(ベルモントの弾くオルガンの音もね) そしてトドメはRunnin Down A Dreamだ。演奏を終えると、 トムがThank you so much!  と。ここでトム達は一度ステージを後にする。

 

エンコール

 

エンコールはYou Wreck Meから始まる。この曲、何故かエンコールに歌われる事が多いけど、個人的にはあまり興味がないといった感じ。その後、聞き慣れたギターのリフが鳴りだす。歌われない事なんて考えられない、そう、Mary Jane's Last Danceだ。スコットがハーモニカを吹く。曲の途中がやたら長くて中々終わらず、トム、マイク、ベルモント、そしてドラムが絡んだジャムと化していた。

ここでトム達がステージを後にする。正直、ここで終わりだと思った。が....

 

誰も諦めていない。「もう1曲!」と叫ぶ人も。数分してトム達がまた戻って来た。(良かった)最後に相応しい?ロックン・ロ−ル曲、Oh Carolが始まる。多分、50年代のカヴァ−曲だろう。この演奏で一番光っていたのはピアノのベルモント・テンチだろう。ベルモントのピアノ・ソロに合わせて手拍子をする。

 

そして.....

 

ここで終わりだなと思っていたら、トムが静かにギターを鳴らし、The DJのサビの部分をゆっくりと歌い始める。オーディエンスもそれに合わし口ずさむ。(これはいつもの事なのか、それとも今回が初めてなのか、私にはわからないけど)サビの部分を歌い終えると、トムの洪水のような言葉の嵐が降り掛かる。トムが1人の女性を例えて、〜トム、私は孤独でいるのに疲れた、人々が人々を愛せないのに疲れた。I need you to rock me...She said I need you to rock meそして(多分共和党が何をしようとしているかについて) 私はちょっと共和党の事が恐いよ。〜と。(ここでまるでその通りだとでもいうような大歓声が)She said I need you to rock me〜と続いて、TP&HBの原点とも言うべき、American Girlを歌いはじめる。

 

どうもありがとう! また会えるよ。God Bless You!

 

 

総括

 

老けてもTP&HBだった。マイクのギターソロも健在だし、トムのちょっとシニカルな歌いまわしも今まで通りだ。マイクが何度も私が座っているほうに来てくれて(トムも2回ほど来てくれた)ギターを持って、決めポーズ?をしたり、お辞儀をしてくれたり、微笑んでくれた。(ホントに目の前) 今回から再加入したベースのロンはかなり控えめだったというか、ベースを弾くのに専念していた。私にとっては、Isnt It A Pityが聞けたのがとても嬉しい。ジョージの曲で何を聞きたいかというと、迷いなしに Isnt It A Pityと答えるだろう。(後日、ロンドンで行なわれたジョージのトリビュート・コンサートではエリック・クラプトンが Isnt It A Pityを演奏していたので、非常にガッカリした。)

 

全体通しても素晴らしく、文句無しのショウだった。最後のThe Last DJ のサビの後に語ったトムの言葉は、トム自身がThe Last DJ を例えたのかも知れない。 The Last DJが伝える、 American Girlを。

 

 

Set List:

 

The Last DJ

Love Is A Long Road

Have Love Will Travel

Free Fallin'

Joe

When A Kid Goes Bad

Shadow Of Doubt (A Complex Kid)

I Won't Back Down

You Don't Know How It Feels

Isn't It A Pity

Feel A Whole Lot Better

Can't Stop The Sun

A Woman In Love

The Waiting

King's Highway

Yer So Bad

Lost Children

Refugee

Runnin Down A Dream

 

Encore

 

You Wreck Me

Mary Jane's Last Dance

 

Second Encore

 

Oh Carol

The Last DJ~

~American Girl

 

(2003年1月11日更新)