Lancia Thema 8.32の修理    LANCIA THEMA 8.32


これが噂のF-105エンジンです。
 1999年11月7日(日)、広島で行われたアルファ・ロメオ164オーナーズ・クラブとの合同ミーティングの帰り道に、エンジンが突然不調になりまして、回転を上げないように気を使いながら大阪まで帰ってまいりました。翌日直ちにアルファ・サービスに直行したところ、ベアリングかタイミングベルト関係が逝っているとの診断で、すぐに入院となりました。エンジンを降ろしての重修理の始まりです。修理の内容は、なかなか素人が見れる機会がありませんので、写真に撮影してエンジンがボディーから離れていって単なる部品から、元のエンジンに変わる様子を報告します。
 先ずは、ラジエターを含むフロント部分を全部外しまして、室内と連絡をしている所を取り外していきます。左の写真はラジエターと電動ファンを外した写真ですが、このラジエターはご覧の通りアルミニウム製です。アルミニウムのコア増しのワンオフ品で冷却効果は抜群です。電動ファンも純正の1個から2個(ミツバ 83-S 12V)に増やしまして、オーバーヒート対策を行っております。しかし、これだけのオーバーヒート対策を行ってもエンジンルームにこもる熱気は大変な物で、下向きにもう一個電動ファンを着けましてエンジンルーム内の熱気を出すように改造してあります。これ以上のオーバーヒート対策は、ボンネットに穴を開けて、そこから熱気を上に逃がす方法しかありません。フェラーリ308では、エンジンの上を覆おう部分に多数のスリットが切られていました。それだけ発熱量が多いエンジンであります。右の写真は、今まさにエンジンがボディーとの連絡が絶たれた所です。
 エンジンマウントごと、降ろされたところです。右の写真ではまだエアーチャンバーが付いておりますので、これから補器類を外していく最初の課程です。これはエンジンの右前から撮影した物です。タイミングベルトカバーなどを含めた補器類も、まだいっぱい付いておりますし、ミッション、ドライブシャフトも付いています。この時点では、オイルパンまでは外さないでも修理が可能であると思っておりました。左の写真にショックアブソーバーとスプリングが見えます。赤いコイル・スプリングは、EIBACH社製です。黒いショックアブソーバーはSACHS社製です。この組み合わせにより、車高は約3cm下がりました。このため恰好は良くなったのですが(シャコタン)ストロークがなくなって、ボディーに悪そうなので、元の純正スプリングに戻そうかと考えております。
 エアーチャンバーを外したところです。左の写真は、向かって前からの写真です。右の写真は後ろから見た写真です。普段は絶対に見ることが出来ない角度です。排気管は軽い蛸足になっています。前バンクの排気管と、後ろバンクの排気管はここまでは、完全にデュアルになっていることが良くわかります。タイミングベルトと反対側にトランスミッションがあります。
 エンジンを右側から眺めた写真です。タイミングベルトカバーが外されて、どういった感じでタイミングベルトが掛かっているのかが、良くわかる写真です。2本あるカムシャフトをタイミングベルトで回転を伝えているわけです。V字型にピストンが配列されており、前と後ろバンク計8本のピストンがあるので、V型8気筒となります。真ん中の上にある丸いプーリーが付いている部品がウオーターポンプです。これも壊れると、またエンジンを降ろさないといけない事になりますので、大事をとって今回の修理で一緒に新品に交換しました。ここで、後ろバンクのV字の底辺のタイミングベルトを支えている軸受けのベアリングにガタが発生していることがわかったため、このベアリングの交換をしないといけなくなりました。しかし、このベアリングはフロント・カバーに組み込んであり、前からは外せない仕組みになっておりその為、エンジンを上下に分解する(オイルパンを外す)必要が出てきて、修理期間が大分延長されることになりました。トホホ。

 左の写真が問題となった後ろバンクのタイミングベルトを指で押しているところです。良く駒飛びを起こさなかったと言われるくらいユルユルの状態でした。これだけ緩んでいたら、アルファ・ロメオのV6だったら完全に駒飛びを起こしているそうです。駒飛び起こしていたらと思うと、ゾッとします。右の写真の前バンクのタイミングベルトはしっかりしてますので、そのベルトのたわみ加減と比較していただくと良く分かると思います。タイミングベルトを交換してから、13000Kmしか走ってないので、ベルト自体は全く問題がありませんでした。

 左写真の黄緑色の矢印で示したプーリーを支えているベアリングが逝っていました。このベアリングは、4〜5万Kmで交換する方が良いと言われていますが、私の車では(82000Km走行)全くこのベアリングには手を入れられていなかった様です。タイミングベルトは2万Kmでしっかりと交換されているのですが、このベアリングを外そうと思うと、完全にエンジンを上下に割らないと外せないように設計されているので、なかなかここまで手を入れるのに勇気がいった訳です。今回の重修理で、このベアリングを交換しまして各部の点検も十分行いましたので、もうしばらくはここまで強烈な修理は必要ないと考えています。右の写真は交換したベアリングです。4つある内の右前のベアリングが問題のベアリングで、中で壊れてシール取れており、鉄のボールが何個か飛び散っていました。ベアリングを受けるフロント・カバー本体も損傷しており、アルミニウムを溶接して肉盛りを行った後に、またベアリングがきっちり入る様に内燃機屋さんで削ってもらってガタが出ないようにベアリングを固定しました。こういった訳で、修理にずいぶん時間がかかった訳です。

 左の写真は、今回保険のつもりで交換したウオーター・ポンプです。現時点では故障していませんでしたが、どうも交換をしたことが無いようなので、思い切って今回の修理で新品に交換してしまいました。右の写真は今回のメインの修理部品です。ドライブシャフトの動力を前後のバンクに分けるためにギアーを1つ入れてタイミングベルトを回します。そのドライブシャフトからの動力を伝えるギアーを受けるベアリングがつぶれたわけです。これはフロントカバーに付いているのですが、out側が閉鎖式の大きめのベアリングでサイズが特殊なため大変高価(1個、\40,900)な部品となっています。In側のベアリングは解放式でエンジン本体からオイルの供給を受けますので劣化が少ないです。純正の部品番号は、out側が46130997で、in側が46104918です。ガレーヂ伊太利屋の製品名は、クランクドリブンギアB/G outとinです。これでしばらく安心して運転できることと思っております。ベアリング自体の刻印は、out側がBB1B 630892 Bで、in側がSKF-6201でした。


 しかーし、トラブルは続くモノで、今度は前バンクの同じベアリングが故障しました。前回と同じ音が生じて来まして、即刻入院となり点検したところ、この大変高価なout側のベアリングの異常が発見されました。組み込んですぐに同じトラブルを生じたために、この特殊サイズのベアリングには見切りを付けて、少しだけオーバーサイズの国産のベアリングに入れ替えることにしました。フロント・カバーを内燃機屋さんでボーリングして約1mm直径を大きくしまして、NSK 476 6302V と言う国産の高性能ベアリングに交換しました。これで、多分F-105エンジンが完全に復活しました。やはり、国産の超精密高性能ベアリング(一個約\2,000)に軍配が上がったようです。フロント・カバーの加工代(ベアリングの圧入を含む)が\35,000ですから、純正のベアリングが一個\40,900の2つ必要な事を考えると、最初から国産の高性能ベアリングに換装する方がはるかに安かったです。今度からは、ランチア純正の度高いベアリングを買わなくても済みます。
 次に問題が起こっている箇所は、オイルホースです。オイルクーラーに出入りする2本と、オイルフィルターに出入りする2本の計4本のオイルホースが裂け易いんです。先日も同年式のランチア・テーマ・オーナーズ・クラブの8.32がオイルを吹きました。これが裂けると、一気にオイルが噴出して、すぐにエンジンを止めないとエンジンを焼き付かせて、廃車にしてしまいます。オイルを吹いてリタイヤするなんて、まるで、F-1 Grand Prixの様ですね。このオイルホースの部品番号とガレイタの定価は、8243680(\37,500)、8243681(\20,500)、8243682(\25,100)、8243683(\33,200)です。こんな高いオイルホース聞いたことがありません。その為、アルファ・サービスで、イギリス経由で直輸入をする事になりました。
 エンジンとは関係ないのですが、純正のマフラーが腐食して穴が開いてきました。マフラーを交換したいのですが、これも純正はアホほど高いので、止めました。色々探して、イギリスのクイック・シルバーと言う会社が、純正のマフラーと同じ形で、ステンレス製のマフラーを売っていることを探し出しました。このマフラーは、おおよそ\170,000で売られています。高価には違いないのですが、ワンオフすることを考えると半額ですので、このマフラーを購入しました。しかも25年間保証付きです。でもね、25年も車がもたんでぇ。近日中に交換して排気音を楽しみたいと思っています。


2000年01月09日 作成
2001年03月03日 更新

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