8日目(1/16) 京都滞在

ビルの明かりが点いた。
起床午前8時、どうやら朝がやってきたようだ。
まだ雨は止まない。

ビルの真向かいにある関西地方にしかないと思われる牛丼屋「なか卯」で朝食を取ることに。
(関西ではなか卯は頻繁に見かけました)
牛丼を平らげると、やはり外で寝ると疲れが取れないのか、そのままテーブルで寝伏してしまった。
最近はいつもこのパターンだ、朝食後は決まって眠気が襲ってくる。
牛丼屋といえども、「なか卯」「すき屋」と同じく長居のできる牛丼屋なので、
なに、大した迷惑はかけてないさ。ははは。
起きたら、雨も止んだ午後1時。
さて、今日は京都探索だ。

ここから行くところは全て「るるぶ京都」任せ。
先ずは、折角の京都。お土産買っておかないとな。

「細辻伊兵衛商店・永楽屋」
創業300年
を誇る、京都屈指の染め物屋さんだ。
とはいえ、今や時代の流れもあって若者向けのTシャツトートバッグ、
巾着やハンカチ、暖簾、扇子、扇子入れなど色々置いてある。

俺はこの手の「和風テイスト」に酷く弱い。
東京でも古着屋以外のお気に入りの店といったら、
原宿の「あきず」や代官山の「OKURA」と、やっぱり自分は生粋の日本人なんだなぁと思わされる。
しかしやはり本場、そんじょそこらの生半可な和風テイストではない。

この店の力を入れてる商品は「手ぬぐい」
素晴らしすぎるぞ永楽屋。

数々の復刻デザインの手ぬぐい、そしてハンカチーフ。
ここのロゴがまた最高に愛らしい。
デザインの商標が「私は昔、桃太郎と呼ばれてました」というものである。
俺は自分用に、赤い手ぬぐいと、永楽屋ロゴの黒のハンカチーフ(昔ながらの呼び方なのでハンカチーフ)を。
友達にも一つ手ぬぐいを。
俺だったらこれをお土産に貰った日には、翌日京都に駆け出すノリ。
かなり可愛い。
手ぬぐいとして使うよりは部屋に飾ってしまいたい。
それと決して高い訳ではないので、皆も京都に寄ったら是非ここに来ると良い。
2000円くらい持っていけば、かなりハイカラな手ぬぐいが買える。
あと、二階には当時のオリジナルの手ぬぐい(まだ復刻してないやつとか)ギャラリーがある。
和風好きならココも見ていくと良い。(無料)


手土産を買って大満足な俺は、最近京都にできたショッピングモール「新風館」へ。
「新風館」などと漢字で名付けするあたりが京都らしい。
中は名前に模した様子はなく至って近代的な作り。
雨は凌げるわ、くつろげるわで、またイスに座って一眠りしてしまった。
館内に設置されたエキシビジョンには、ビョークのミュージックビデオが頻繁に流されていて見入ってしまった。
雨の平日はホントに客も少なくていい。
でも俺が寝ながらよだれを垂らしていたのは多分見られている。
疲れてんだよ。

館内のショップは、BEAMSくらいしか覚えてないけど普通でした。
一応、一つだけ入った店はヴィレッジバンガード(東京にも結構ありますね)
ここの雑貨系はホント良いもんばっかです。
結構ここのチェーンも拡大してるのか、そういえば浜松にもあった。
シールなんかを買って、自転車に張り付けました。(weezer)


そして次なる目的地は「哲学の道」。
これは絶対行かないといけない、と思った。
何故「哲学の道」なのかというと、
かつて世界的な哲学者・西田幾太郎がこの道を思案に耽りながら歩いていたからなんです。
2kmに渡って、桜の木が植えられているので春なんかは最高らしいですが、
俺にいわせりゃ「哲学といえば冬だ」ってな感じで、今が敢えて
期待に胸膨らませつつ、哲学の道へ足を運ぶ俺。

そこへふと気づくと、なんとドミノピザが!

おお、こんなところに・・・・。
なんたる偶然か。
そういえば小腹が空いたような気がする。
只今の時間は午後3時半、アイドルタイム(暇な時間のこと)だし忙しくもないだろう。
ここはサイドメニューでも、社割で買うしかない。
俺はカウンターへ乗り込んだ。

「すいませーん。」

奥からクルー帽子の男の人が走ってくる。
「いらっしゃいませ!ご注文で?」
「はい、あの、実は自分もドミノで働いてまして。社割でサイドだけ買いたいんですけど」
「えっ!はい、社割ですか・・・・少々お待ちください。」
竹田と名札に書かれた男の人は、社員の人に問い合わせに奥へ走っていった。
暫く待つと、男の人はカウンターに戻ってきた。
「あのー社員コードとかわかりますか?」
男の人はちょっと申し訳なさそうに俺に聞いた。
この社員コードという奴はクルー全員が持つ8桁の数字で、通常ヘルプなどで他店に行かないとまず使わない。
それだけあって普通、クルーは覚えてないのだが俺はヘルプに良く行くので覚えていた。
「○○○○○○○○です。」
男の人はコンピューターに俺の社員コードを打って、確認を取り始める。

ちょっと困った様子だ。
「あのー○○○○○○○○で合ってますよね?」
男の人が再び俺に聞いた。
「ええ、間違いないです。」
どうやら関西方面で俺の社員コードは通用しないみたいだ。
んー困った。こうなったらアレしかあるまい。
「何なら唱和しますけど?(笑)」
「えっ!いやいや結構ですよ。そこまで知ってるならクルーに間違いないですから。」
「あ、そうですか?」
むしろちょっと残念。
「じゃあ何にしましょうか?」
改めて男の人が俺に注文を聞いた。
「んー、じゃぁ、チキチキでお願いします!」
「ドリンクなんかは?」
「あ、いえいえ結構です。」
「はい、それでは262円になります。」
俺は代金を渡した。
「じゃあ、10分少々待っててください。」

ドミノピザ出町柳店。

まさか、こんな唐突に現れるとは。偶然って素晴らしい。
待っている間、出町柳店の外観やバイクをデジカメに収める。
ここのバイクは自店と違って全てのバイクが二輪だ。
メニューも見てみる。
自店にはないがランチセットSピザも出町柳店にはある。
配達エリアの表を見て衝撃を受けた。
普通、東京だと「○町○丁目」「○○北○丁目」などだが、ここのエリアにそれはない。
全て旧町名なのだ。
(例→河原町23・円山町569・早稲田鶴巻町967)

更に、何だこれは・・・・・
同じ町名が幾つもある・・・・。
訳わからん。良くこんな町の作りで配達できるな・・・・。

「お待たせしました。」
今度は社員の人がドアから出てきた。
「はい、こちらチキチキになります。」
これで帰るのももったいない・・・・折角だから。

「あの、ここ、クルーノートとかありますか?」
思い切って聞いてみた。
「はい、ありますよ。」
「折角だから書いていきたいんですけど・・・いいっすか?」
「はい。どうぞどうぞ!」
やっぱりドミノは優しい。


「おじゃましまーす!」
店内に入る。
「どうも、こんにちは。東京の吉祥寺店からやってきましたー。」
俺は奥の休憩室へ向かった。
休憩中の男の人がいた。
「どうも!失礼します!」

ここから楽しいドミノタイムが始まった。

休憩室にいた男の人は通称「黒縁メガネさん」
関西らしい愉快な人で話が尽きない。愛媛出身。
カウンターに出てくれた男の人は「竹田さん」
なんとこの人、昔、俺が良くヘルプに行く目白店で働いてたそうで、二人で目白店トークを心行くまでした。
竹田さんは元慶応ボーイで、今は京都大学に通っている。
俺には到底叶わぬ世界だ。奈良出身。
続いて現れたのが、まだドミノを始めて3ヶ月という、同い年の「イナミくん」
俺のiBOOKに興味を示すなど、同い年はやはり親近感がある。広島出身。
更に続いて現れたのが、A-MIT(社員代理)の「中河さん」
これまた生粋の関西人で一番陽気な人だった。A-MIT始めてまだ2ヶ月とか。
中河さんは「旅」という言葉に一番興味を示した。
中河さんは旅にでたいらしい。俺が来たことで何か「高まった」と言ってくれた。
更に更に続いて現れたのが、「渡辺さん」
一見普通そうに見えるが、かなり良いつっこみセンスを持っている。
実際、渡辺さんの発言が一番俺の中でヒットしていた。コンピューターは強いらしい。

皆が仕事に入ってしまい、俺は店を出ようとした。
「あとでまた戻ってきーや!晩飯くらいおごったる!」
中河さんが出る間際に言った。
「マジっすか?じゃ、哲学の道行ったらまた戻ってきます!」
嬉しい一言だった、遠慮なく俺は戻ってこようと思った。


「哲学の道」
おお、なんて趣のある散歩道なんだ。
俺は自転車を手押しで歩き出した。
雨はすっかり止み、地面はぬかるんでいるものの、とても気持ちがいい。
道幅は思ったより狭く、人が三人交差したら、一人は川に落ちる。
人が全然いないのが良い。途中でギターも弾こうと思った。
右手には桜並木、左手には小川、たまに京都らしい家屋も顔を出す。
実に静かで、思索に耽るには持ってこいだ。
西田幾太郎の気持ちが解った気でいた。

これからどっちへ向かおう?
鳥取へ行こうと思っていたのだが、出町柳店の皆の話では日本海側に自転車で行くのは無茶らしい。
雪も降るし、断然気温が違うとか。
特にそんな中、山で一泊などとなれば、軽装備な俺の格好では命に関わる。
大阪方面へ向かってから鳥取へ行くか?
少し遠回りになるが折角だから色んな所を見て回りたい。
大阪・神戸だな。そこから北上しよう。
大丈夫、俺なら死なないはずだ。(爆
でも、本当に危険だったらどうやって行こう?
諦めるのか?絶対鳥取だけは行きたいのに。
とりあえず大阪まで行って考えよう、とりあえず妥協だけはしたくなかった。
ギターを弾いていると、日が暮れ、辺りは真っ暗になった。
どうもスッキリしない感じだ。
さすが哲学の道だ、と、哲学なんてどうしようもないもんだから。


飯をおごって頂く前に風呂は入っておきたい。
かなり冷えてしまった。
今日の銭湯はまたしても「るるぶ京都」頼りで「香の湯」
とにかく広い。風呂の種類が豊富。
銭湯が二階まであるってのは何か気持ち悪かったが、
「美人の湯」というやつは良かった。
重曹入りの風呂で、入ると皮膚が微妙に溶けてるような感じで程良くスベスベに!
何で男湯に「美人の湯」なんだよ、とは思った。
おかげでスッキリした。
時間はもう午後10時。早く行かないと。
どういうことか出町柳店は10時閉店、東京では考えられない。(2003年現在では関東でも10時閉店の店は多いです)


もうクローズ作業が始まっていた。
店のライトは消灯し、店内も穏やかに。
中河さんの仕事がなかなか終わらなくて時間は日付も変わって0時半になっていた。
その間の皆との会話は良く弾んだ。
京都まで殆ど人と接せずにやってきたが、やはり久々に仲間に出会うと嬉しいものだ。
中河さん、黒縁メガネさん、渡辺さん、イナミくん、竹田さん、俺の六人は、
出町柳店で何かがあったときはココへ来るという、お好み焼き屋「ちゃばね」へ。

「ちゃばね」の人もいかにもな関西人で陽気で心地がよい。
みんな少し酔いだして店員さんに、
「安くて、お腹にたまって、ボリュームのある、できれば更に美味しい物って何かありますか?」
などと無茶苦茶困らせる質問をして、店員さんは、
「安くてお腹にたまってボリュームのある、しかも美味しい料理ですか・・・・」
「お願いします(一同)」
店員さんは困ったあげく、
「女の子がここに(頬を指さす)チューでもしてくれたら、どうにかしちゃうんやけどなぁ。」
我々の中に女の子はいない。
「良し、誰かチューしたれ!」
中河さんが言う。
「いやいや、女の子じゃないと嫌やから!」
店員さん勿論嫌がる。
「しかたないっすね。特別に通常料金でお好み焼き、ジャンボにしましょ!」
「マジっすか!?(一同)」
「是非お願いします!」
店員さんは笑いながらオーダーを取る。
お好み焼きをメインに、イカや焼きそばを皆でたらふく食い、ビールも飲み、午前4時というところで店を出る。
俺はみんなにおごってもらってしまった。
出町柳店の皆さん、ホントに優しかったです。
改めて、ドミノ最高、万歳!
俺はお礼を言い、(ホントは誰かの家に泊まっていけ、とまで言われたのだが遠慮した、ありがとうございます)
昨日と同じ、京都御苑のあたりまで寝床を探しに。
皆、帰り道にまた寄ってくれ、と言ってくれました。
是非、寄らせてもらう事にします。
只、時間があったらになってしまう。まだわからない。(実際には行けませんでした...)
しかし俺はまたいつかここへ戻ってくることを決意し、ほろ酔いで気分良く自転車をこぐ。

そして京都最後の朝を迎えた。