ビルの明かりが点いた。
起床午前8時、どうやら朝がやってきたようだ。
まだ雨は止まない。
ビルの真向かいにある関西地方にしかないと思われる牛丼屋「なか卯」で朝食を取ることに。
(関西ではなか卯は頻繁に見かけました)
牛丼を平らげると、やはり外で寝ると疲れが取れないのか、そのままテーブルで寝伏してしまった。
最近はいつもこのパターンだ、朝食後は決まって眠気が襲ってくる。
牛丼屋といえども、「なか卯」は「すき屋」と同じく長居のできる牛丼屋なので、
なに、大した迷惑はかけてないさ。ははは。
起きたら、雨も止んだ午後1時。
さて、今日は京都探索だ。
ここから行くところは全て「るるぶ京都」任せ。
先ずは、折角の京都。お土産買っておかないとな。
「細辻伊兵衛商店・永楽屋」
創業300年を誇る、京都屈指の染め物屋さんだ。
とはいえ、今や時代の流れもあって若者向けのTシャツやトートバッグ、
巾着やハンカチ、暖簾、扇子、扇子入れなど色々置いてある。
俺はこの手の「和風テイスト」に酷く弱い。
東京でも古着屋以外のお気に入りの店といったら、
原宿の「あきず」や代官山の「OKURA」と、やっぱり自分は生粋の日本人なんだなぁと思わされる。
しかしやはり本場、そんじょそこらの生半可な和風テイストではない。
この店の力を入れてる商品は「手ぬぐい」。
素晴らしすぎるぞ永楽屋。
数々の復刻デザインの手ぬぐい、そしてハンカチーフ。
ここのロゴがまた最高に愛らしい。
デザインの商標が「私は昔、桃太郎と呼ばれてました」というものである。
俺は自分用に、赤い手ぬぐいと、永楽屋ロゴの黒のハンカチーフ(昔ながらの呼び方なのでハンカチーフ)を。
友達にも一つ手ぬぐいを。
俺だったらこれをお土産に貰った日には、翌日京都に駆け出すノリ。
かなり可愛い。
手ぬぐいとして使うよりは部屋に飾ってしまいたい。
それと決して高い訳ではないので、皆も京都に寄ったら是非ここに来ると良い。
2000円くらい持っていけば、かなりハイカラな手ぬぐいが買える。
あと、二階には当時のオリジナルの手ぬぐい(まだ復刻してないやつとか)のギャラリーがある。
和風好きならココも見ていくと良い。(無料)
手土産を買って大満足な俺は、最近京都にできたショッピングモール「新風館」へ。
「新風館」などと漢字で名付けするあたりが京都らしい。
中は名前に模した様子はなく至って近代的な作り。
雨は凌げるわ、くつろげるわで、またイスに座って一眠りしてしまった。
館内に設置されたエキシビジョンには、ビョークのミュージックビデオが頻繁に流されていて見入ってしまった。
雨の平日はホントに客も少なくていい。
でも俺が寝ながらよだれを垂らしていたのは多分見られている。
疲れてんだよ。
館内のショップは、BEAMSくらいしか覚えてないけど普通でした。
一応、一つだけ入った店はヴィレッジバンガード(東京にも結構ありますね)。
ここの雑貨系はホント良いもんばっかです。
結構ここのチェーンも拡大してるのか、そういえば浜松にもあった。
シールなんかを買って、自転車に張り付けました。(weezer)
そして次なる目的地は「哲学の道」。
これは絶対行かないといけない、と思った。
何故「哲学の道」なのかというと、
かつて世界的な哲学者・西田幾太郎がこの道を思案に耽りながら歩いていたからなんです。
2kmに渡って、桜の木が植えられているので春なんかは最高らしいですが、
俺にいわせりゃ「哲学といえば冬だ」ってな感じで、今が敢えて旬。
期待に胸膨らませつつ、哲学の道へ足を運ぶ俺。
そこへふと気づくと、なんとドミノピザが!
おお、こんなところに・・・・。
なんたる偶然か。
そういえば小腹が空いたような気がする。
只今の時間は午後3時半、アイドルタイム(暇な時間のこと)だし忙しくもないだろう。
ここはサイドメニューでも、社割で買うしかない。
俺はカウンターへ乗り込んだ。
「すいませーん。」
奥からクルー帽子の男の人が走ってくる。
「いらっしゃいませ!ご注文で?」
「はい、あの、実は自分もドミノで働いてまして。社割でサイドだけ買いたいんですけど」
「えっ!はい、社割ですか・・・・少々お待ちください。」
竹田と名札に書かれた男の人は、社員の人に問い合わせに奥へ走っていった。
暫く待つと、男の人はカウンターに戻ってきた。
「あのー社員コードとかわかりますか?」
男の人はちょっと申し訳なさそうに俺に聞いた。
この社員コードという奴はクルー全員が持つ8桁の数字で、通常ヘルプなどで他店に行かないとまず使わない。
それだけあって普通、クルーは覚えてないのだが俺はヘルプに良く行くので覚えていた。
「○○○○○○○○です。」
男の人はコンピューターに俺の社員コードを打って、確認を取り始める。
ちょっと困った様子だ。
「あのー○○○○○○○○で合ってますよね?」
男の人が再び俺に聞いた。
「ええ、間違いないです。」
どうやら関西方面で俺の社員コードは通用しないみたいだ。
んー困った。こうなったらアレしかあるまい。
「何なら唱和しますけど?(笑)」
「えっ!いやいや結構ですよ。そこまで知ってるならクルーに間違いないですから。」
「あ、そうですか?」
むしろちょっと残念。
「じゃあ何にしましょうか?」
改めて男の人が俺に注文を聞いた。
「んー、じゃぁ、チキチキでお願いします!」
「ドリンクなんかは?」
「あ、いえいえ結構です。」
「はい、それでは262円になります。」
俺は代金を渡した。
「じゃあ、10分少々待っててください。」
ドミノピザ出町柳店。
まさか、こんな唐突に現れるとは。偶然って素晴らしい。
待っている間、出町柳店の外観やバイクをデジカメに収める。
ここのバイクは自店と違って全てのバイクが二輪だ。
メニューも見てみる。
自店にはないがランチセットもSピザも出町柳店にはある。
配達エリアの表を見て衝撃を受けた。
普通、東京だと「○町○丁目」や「○○北○丁目」などだが、ここのエリアにそれはない。
全て旧町名なのだ。
(例→河原町23・円山町569・早稲田鶴巻町967)
更に、何だこれは・・・・・
同じ町名が幾つもある・・・・。
訳わからん。良くこんな町の作りで配達できるな・・・・。
「お待たせしました。」
今度は社員の人がドアから出てきた。
「はい、こちらチキチキになります。」
これで帰るのももったいない・・・・折角だから。
「あの、ここ、クルーノートとかありますか?」
思い切って聞いてみた。
「はい、ありますよ。」
「折角だから書いていきたいんですけど・・・いいっすか?」
「はい。どうぞどうぞ!」
やっぱりドミノは優しい。
「おじゃましまーす!」
店内に入る。
「どうも、こんにちは。東京の吉祥寺店からやってきましたー。」
俺は奥の休憩室へ向かった。
休憩中の男の人がいた。
「どうも!失礼します!」
ここから楽しいドミノタイムが始まった。
休憩室にいた男の人は通称「黒縁メガネさん」。
関西らしい愉快な人で話が尽きない。愛媛出身。
カウンターに出てくれた男の人は「竹田さん」。
なんとこの人、昔、俺が良くヘルプに行く目白店で働いてたそうで、二人で目白店トークを心行くまでした。
竹田さんは元慶応ボーイで、今は京都大学に通っている。
俺には到底叶わぬ世界だ。奈良出身。
続いて現れたのが、まだドミノを始めて3ヶ月という、同い年の「イナミくん」。
俺のiBOOKに興味を示すなど、同い年はやはり親近感がある。広島出身。
更に続いて現れたのが、A-MIT(社員代理)の「中河さん」。
これまた生粋の関西人で一番陽気な人だった。A-MIT始めてまだ2ヶ月とか。
中河さんは「旅」という言葉に一番興味を示した。
中河さんは旅にでたいらしい。俺が来たことで何か「高まった」と言ってくれた。
更に更に続いて現れたのが、「渡辺さん」。
一見普通そうに見えるが、かなり良いつっこみセンスを持っている。
実際、渡辺さんの発言が一番俺の中でヒットしていた。コンピューターは強いらしい。
皆が仕事に入ってしまい、俺は店を出ようとした。
「あとでまた戻ってきーや!晩飯くらいおごったる!」
中河さんが出る間際に言った。
「マジっすか?じゃ、哲学の道行ったらまた戻ってきます!」
嬉しい一言だった、遠慮なく俺は戻ってこようと思った。
「哲学の道」
おお、なんて趣のある散歩道なんだ。
俺は自転車を手押しで歩き出した。
雨はすっかり止み、地面はぬかるんでいるものの、とても気持ちがいい。
道幅は思ったより狭く、人が三人交差したら、一人は川に落ちる。
人が全然いないのが良い。途中でギターも弾こうと思った。
右手には桜並木、左手には小川、たまに京都らしい家屋も顔を出す。
実に静かで、思索に耽るには持ってこいだ。
西田幾太郎の気持ちが解った気でいた。
これからどっちへ向かおう?
鳥取へ行こうと思っていたのだが、出町柳店の皆の話では日本海側に自転車で行くのは無茶らしい。
雪も降るし、断然気温が違うとか。
特にそんな中、山で一泊などとなれば、軽装備な俺の格好では命に関わる。
大阪方面へ向かってから鳥取へ行くか?
少し遠回りになるが折角だから色んな所を見て回りたい。
大阪・神戸だな。そこから北上しよう。
大丈夫、俺なら死なないはずだ。(爆
でも、本当に危険だったらどうやって行こう?
諦めるのか?絶対鳥取だけは行きたいのに。
とりあえず大阪まで行って考えよう、とりあえず妥協だけはしたくなかった。
ギターを弾いていると、日が暮れ、辺りは真っ暗になった。
どうもスッキリしない感じだ。
さすが哲学の道だ、と、哲学なんてどうしようもないもんだから。
飯をおごって頂く前に風呂は入っておきたい。
かなり冷えてしまった。
今日の銭湯はまたしても「るるぶ京都」頼りで「香の湯」。
とにかく広い。風呂の種類が豊富。
銭湯が二階まであるってのは何か気持ち悪かったが、
「美人の湯」というやつは良かった。
重曹入りの風呂で、入ると皮膚が微妙に溶けてるような感じで程良くスベスベに!
何で男湯に「美人の湯」なんだよ、とは思った。
おかげでスッキリした。
時間はもう午後10時。早く行かないと。
どういうことか出町柳店は10時閉店、東京では考えられない。(2003年現在では関東でも10時閉店の店は多いです)
もうクローズ作業が始まっていた。
店のライトは消灯し、店内も穏やかに。
中河さんの仕事がなかなか終わらなくて時間は日付も変わって0時半になっていた。
その間の皆との会話は良く弾んだ。
京都まで殆ど人と接せずにやってきたが、やはり久々に仲間に出会うと嬉しいものだ。
中河さん、黒縁メガネさん、渡辺さん、イナミくん、竹田さん、俺の六人は、
出町柳店で何かがあったときはココへ来るという、お好み焼き屋「ちゃばね」へ。
「ちゃばね」の人もいかにもな関西人で陽気で心地がよい。
みんな少し酔いだして店員さんに、
「安くて、お腹にたまって、ボリュームのある、できれば更に美味しい物って何かありますか?」
などと無茶苦茶困らせる質問をして、店員さんは、
「安くてお腹にたまってボリュームのある、しかも美味しい料理ですか・・・・」
「お願いします(一同)」
店員さんは困ったあげく、
「女の子がここに(頬を指さす)チューでもしてくれたら、どうにかしちゃうんやけどなぁ。」
我々の中に女の子はいない。
「良し、誰かチューしたれ!」
中河さんが言う。
「いやいや、女の子じゃないと嫌やから!」
店員さん勿論嫌がる。
「しかたないっすね。特別に通常料金でお好み焼き、ジャンボにしましょ!」
「マジっすか!?(一同)」
「是非お願いします!」
店員さんは笑いながらオーダーを取る。
お好み焼きをメインに、イカや焼きそばを皆でたらふく食い、ビールも飲み、午前4時というところで店を出る。
俺はみんなにおごってもらってしまった。
出町柳店の皆さん、ホントに優しかったです。
改めて、ドミノ最高、万歳!
俺はお礼を言い、(ホントは誰かの家に泊まっていけ、とまで言われたのだが遠慮した、ありがとうございます)
昨日と同じ、京都御苑のあたりまで寝床を探しに。
皆、帰り道にまた寄ってくれ、と言ってくれました。
是非、寄らせてもらう事にします。
只、時間があったらになってしまう。まだわからない。(実際には行けませんでした...)
しかし俺はまたいつかここへ戻ってくることを決意し、ほろ酔いで気分良く自転車をこぐ。
そして京都最後の朝を迎えた。