昨日の夜中に松山市街のガストへ入った。
眠りにつき、朝がやってきた。
俺は殆ど寝ずに、何かを必至になって書いていた。
ドリンクバーをここまで活用する男もそういまい。
メニューもモーニング用に切り替わってしまった。
俺は、スクランブルエッグプレートを頼んだ。
トーストに、スープまでおかわり自由になってしまった。
遂に俺は出発する。
ガストを出たのが9時40分。
そのまま、松山観光港へ向かう。
あぁ、この道のりが終わりになる。
とても短い、でもとても長い、旅だった。
また同じ生活が始まるとは思えない。
もう二度と、あの生活はもどってこないような気がした。
俺の中で、もうあの生活は消えてしまった。
同じでも、けしてもう、「同じであるはずがない」ように感じるのだろう。
終われない、終われないけど、迎えてくれる人がいる。
ここで一旦、終わりにしたいのだ。
泉は、明日、広島にやってくる。
以前から1月の終わりくらいに広島に来る気でいたのだ。
俺は、間に合った。
目の前に松山観光港、広島へのフェリーが出る、その場所がある。
時間は12時47分。
丁度2分前に広島行きは行ってしまったようだ。
次の広島行きは、14時15分、15時45分とある。
俺は15時の方に乗ることにした。
まだ時間はある。
まだ松山にいたい。
それに、コンセントがある。
充電できるじゃないか!
思いの丈をぶちまけるように充電するぞ。
俺は窓際のイスに座り、充電をしながら(堂々と)、海を眺め、寝て、日記をかいて。
長い長い、旅を思い、良く自転車なんかでここまで来れたものだ、と。
自分の力で、来た。
思い立ったあの瞬間の、「夢の中」ではもうない。
俺は確かに現実を帯びた世界に身を寄せて、
海を眺め、思い、今、ここにいる。
良かった。
夢の中ではないのだ。
しかし此処が夢でない確証は掴めない。
「夢と共存する事」を俺は知ったのだ。
夢と対当に生きる、それが出来るようになった気がするのだ。
時間が高速で流れていく。
あっという間に、俺は船へ乗り込むその時を迎えた。
最後の県へ足を踏み入れる、このフェリー。
広島。俺の、この旅の、終着になろう。
絵に描いた様な、何て言うか、
現実的でない美しさの夕陽が、現実に、目の前で沈もうとしていた。
船内はテレビとエンジンの音しかしない。
テレビには、愛媛の民放が流れている。
そして、松本零司が何やら語っている。
さらにDAFT PUNKまで特集されている。
中年ばかりしかみていないので、松本零司は分かってもDAFT PUNKはわからんだろ。
俺だけが恐らく期待して見ていた。
その瞬間、
誰かがチャンネルを変えた。
俺は怒らないよ。
だって、こんなに夕陽が綺麗なのに、怒っても仕方ないだろう?
俺は窓の外の、夕陽と浮かぶ島々に、釘付けだった。
何で、波ってあるんだろ。
月のせいだってのはわかるけど、それって何も分かってないって事。
何で、空を綺麗だと思う俺がいるんだろ。
あぁわかんない事だらけだ。
何もわからない。何もわからない。
俺は、この旅で、「わからない事」をわかった気がする。
「わからない事」が「わかり得る事」でもあったし、
「わかってはいけない事」でもあるし、何より「わからない事がわからない」。
分かったようで、一番分かってない。
何もわからない。
何もわからないんだよ。
しかし、それが全てを知っている事でもあるかもしれない。
それに 、自分の事は、分かる。
呉港についた。
工業地帯の風景がすさまじい。
眼前を覆う巨大な3台のタンカー。
東京は、こういった、物の生産風景みたいのを取り払い、実に美しく都会を築きあげている。
ここの方が、呉の方が、現実味がある。
自然を破壊してる事が、そのもの事態が実に露わで良い。
東京は幻だらけだ。
呉港を出発したこのフェリーは30分少々でもう広島に着くこととなる。
俺は出発の準備をする。
物悲しい。準備。
外はもう暗い。
フェリーはエンジン音を立て、岸にその巨体を寄せた。
着いた、広島。
自分を褒め称える。
でも、帰るまでが旅。
遠足だってそうだ。無事に帰らなくちゃいけない。
長いような短いような、だったけどもうすぐ帰るよ。
広島港から自転車をこぐこと約30分。
広島駅前。
俺はさっき広島出身の友達から情報を仕入れた。
「夜中のパルコ付近は絶対近づくな。絶対カツアゲされるぞ。」
だそうで、夜中になる前にパルコへ向かった。
明日は広島を身軽に行動したいので、鞄か何かを買いたかった。
それに、タワレコがあるのも気になった。
最近CDを聞いていない。
広島パルコ新館6階、
無印良品にて、何とも良い感じのナイロンキルティングトートバッグ1900円で購入。
タワレコにて、素晴らしいバンドを見つけた。
俺の好きなUKロック。
THE ELECTRIC SOFT PARADE。
ちょっと気分が今にあってて買おうかと思ったのだが、今買うと、
パンパンに膨れあがったこのリュックの中で
ケースもCDもバッキバキに砕け散る事請け合いだったので止めた。
帰ったら買う。
パルコを出た俺は、そろそろ夕食の時間だと思い、
この物にありふれた広島で夕食処を探す。
直ぐ見つかった。
そういや四国には牛丼屋が極端になくてね。
吉野屋で、大盛り食った。
いやいや久々の牛丼は五臓六腑に染み渡る。
と、そんなところで、風呂探しと、坦々と広島を回り続けていた。
風呂探しにも、もはや慣れた手際が何とも言えない、成長したな俺。
そして見つけた銭湯はかなり繁華街のド真ん中、「音戸温泉」。
確かに温泉のようだ。
地下850mから堀り上げた塩化ナトリウム泉。
繁華街のド真ん中なだけあって、また入れ墨のおじちゃんとかがウヨウヨしてんのかと思ったら、
かなりネクタイだらけ。
足臭い。
ホントに臭い。
四方八方、足裏臭で塞がれた。
そんなイケてない温泉、皆さんも広島に来たら是非どうぞ。
その下に丁度良く、コインランドリーがあった。
洗濯も暫くしてない。
これが最後かとも思いながら、洗濯機に汗にまみれた旅の服をブチ込む。
このコインランドリー、真下にキャバレーが会って、
ここに通うおっさんやら、
従業員の姉ちゃんが俺の前を行き来しまくってる。
俺はランドリー内でギターを弾いていたので余計に目立ったし、
服を脱いだり着たりしてるので皆変な目で見ていた。
そんな中、突然外で凄い雨音が。
外へ出てみると、直ぐにその雨は雪に姿を変えた。
雪がシンシンと降る中、見知らぬ街でギターを弾き、洗濯物が乾くのを待つ。
乾燥機が止まると俺は直ぐに服を着て、外へ出ようとしたのだが、
一行に雪が止まない。
困った。
困った。
ファミレスに行って夜明かしをしようと思ったのに、
目の前にあるその店は、
「好きです つぼ八」
またですか。
岡山県津川に引き続き俺にまた「一人大衆居酒屋飲み」をやれと。
やりますとも。
(ホントは行きたくてしょうがなかった)
そして、俺は、ある事に気が付いた。
俺が旅に出た理由。
「夢の中にいるみたい」だから。
分かってたんだと思う。
でも、今、改めて気づいた。
他にも、理由なんて、沢山あったんだ、って事。