18日目(1/26) 琴平〜観音寺(香川)

起床9:00。
ホームレスのおじさん二人が隣で話していたので、
俺は眠ったフリを暫くしていた。
おじさん達が行ってしまうと、
俺は起きあがった。
琴平駅はおばさんの集会場と化していた。
こんぴらさんへ行くべく、俺は早々に駅を立ち去った。

マックか何かあればいいんだけど、
この辺りは喫茶店ばかりしかない。
折角だからそれもアリかな、と思い喫茶店探しを始めた。
なんとなく外見のおぼつかない所が多く、
無難なあたりを狙ってアーケード街の中にあった「ハニー」に入る。

夜はスナックをやっていそうな店内。
カウンターに座り「モーニングを」と常連ぶる俺。
おばあちゃんやら仕事前のおじさんが多い。
モーニングはトーストにコーヒー、サラダ、ゆで卵が出てきた。
結構腹が減っていたので少々物足りなかったが、
雰囲気でお腹一杯になった 。

こんぴらさんにいざ、と思ったのだが、
この荷物を背負ってではやはり厳しい。(推定重量18kg)
何せ、このこんぴらさん、
石段が800段近くあることで有名なんだから、
このバカ重いリュックを背負ってでは、その疲労は計り知れない。
皆、御利益というのもあって杖をついて登っている。
若者には必要ないと思うが。
結構、「荷物預かります」といった看板が見受けられる。
お土産屋にそういったところが多く、
一定の金額のお土産を買ってゆけば預かり金は無料となる。
俺は何もわからずかなり廃れたお土産屋へ荷物を預けた。
おばあちゃん一人で店をやっていて、
店の中は、ウサギ小屋臭かった。

杖も借りて(実際使ってないが)いざ出発。
序盤128段目くらいまでは、
両脇に土産屋が立ち並び、その中には「籠屋」なんかもあった。
人を乗せて上の方まで籠で運んでくれる。
籠を持つ二人のおじさんの表情は本当に辛そうだった。
200段目くらいまで来ると、
神社の入り口のようなものがあった。
まだ「謹賀新年」だ。
この辺りから、両脇に立ち並ぶ「金壺百萬圓 ○○(名前)」の柱。
失礼だが、
神社に100万だか120万だか、そんな大金を奉納する人の気は知れない。
100万なんてあったら、
リッケン(ギターです)買えるし、←現在ではもうマイギターですね。
更に中古で車なんかも買えてしまうし、
下手したら更に、大それた飲み会が開けてしまう。
このこんぴらさんがどれほど伝統ある神社なのかは知らないが、
俺に言わせれば、「飲みたい処」でしかない。

「景色がいい」=「飲みたい」
「多少の無理を伴う」=「飲みたい」

と、言ったように(笑)
まぁこんな事言ってる俺はきっと社会人の方々から
非常識だとかバカだとか、言われるのだろうが
その通り、スイマセン。

半分石段を登り終えたあたりに来た。
金色のプロペラ
が訳分からない。
灯籠や辺りに生い茂っている木々が美しい。
一つの木の大きさが半端ではない。
今日は残念ながら曇っていて、
木々から差し込む木漏れ日なんかはない。
どうやらここ、こんぴらさんのイメージ色は黄色のようだ。
「幸せの黄色いお守り」は売れ筋、800円。
一番高いお守りなんか2万もする。
「カーエンブレムお守り」
とか変な物も含め、種類は豊富。

暫くして最後の石段が出てきた。
登り切ると、京都の「清水寺」のような絶景。
つーか清水より凄い気がする。
只、やはり曇ってるのが残念だ。
境内では尺八の音が鳴り響き、
絶景を目の前に多くの観光客が集合写真を撮っている。
お守り売り場もなかなか繁盛している。
俺は、境内の賽銭箱前に立った。
3つ願い事をした。
一つはトシたち浪人生の受験の成功を。
あと、二つは自分の安全と幸福とを願った。
賽銭は、意味があるのかないのか(?)20円である。
結構長い間、目を閉じて願っていたので、
いつの間にか後ろに数人並んでいた。

お守り売り場前。
黄色いお守りくらいなら買っても良いのだが、
お守りごときに800円だすのもシャクなんだよな。
「お土産」って風に考えればいいのか悪いのか。
でも結局買わなかった。
下ろうとしたら、遂に雨が降り出した。
急いで下り始める。
他の観光客も皆、一斉に下り始めた。


はぁ、何か荷物持ったままでも登れた気がした。
旅を続けてきた俺の足腰は案外丈夫なようだ。
荷物をお土産屋に取りに帰る。
意外とガメついこのおばあちゃん、
最初は「何か一つ買ってくれればいいから」と言ってたのに
「あ、もう一つ買ったら預かり金無料にしてあげる」と
一つ選んだ後にもう一つ選ばされた。
結局二つ買う羽目になってしまった。

おのれ、流石・・・観光地だ、
お土産戦争もそう楽ではないように思われる。

さて出発と、雨に濡れながら走り出すと、
商店街の出口に酒屋があった。
やっぱりお土産と言えば・・・・・地酒
帰ってからみんなで飲みたいし、何か1本買っていくか!
酒屋に入ると、新作の地酒がすぐに目に飛び込んだ。

「少林寺拳法」

・・・・・。
・・・・・。
修司にピッタリだ!
あいつには、このリュックも借りたし、
なんと言っても、あいつ今、少林寺拳法にハマってるしな。
イタダキ。直ぐさまレジへ持ってゆく。
と、意外に配送料金が高い。
コンビニで出した方が安いな、と思いお持ち帰りにしてもらった。
割ってしまわないかが心配だ。
外の雨は一向に止む気配もないままだ。
俺は善通寺市へ向けて自転車を走らせていた。
この酒も早く送ってしまわないと走るのに邪魔だ。
しかし、やはり割れないように包装しなくてはな。
コンビニじゃ包装するものなんか買えそうにないし、
何かロジャースとか、ドンキみたいのはないか、
と思った矢先、あったよ。
何か今にも潰れそうだけど、「ザ・プロ」。
きっと何かあるだろうと中に入る。
つーかいつのまにか善通寺市入ってた、全然気づかなかった。
とりあえず、何とかなりそうだったが、
包装できるもの(プチプチとか)はなさそうだったので、
店内100均コーナーでソフトケースとスポーツタオルを購入。
これでグルグルに巻いて出すしかない。
「ザ・プロ」の横に中華料理屋があった。
餃子定食・・・・・・300円。
行くしかない。


その中華料理屋は家族で運営されていた。
いきなり10歳くらいの女の子が「いらっしゃいませ」と出てくる。
俺は入り口近くのテーブルに一人で座らされた。
店内は工事現場の作業員らしい人が多い。
注文は同い年くらいの女の子が取りに来た。
俺 「あの、おもての看板に餃子定食ってありましたよね?あれを。」
店員 「餃子にライスとスープのみになりますが、宜しいですか?」
俺 「はい、全然構わないです。」
これだけを頼む人は余りいないのだろう。
餃子にスープ、ライスで十分だ。
餃子定食が10分ほどして俺のところに運ばれてきた。
これで300円は安い。
コンビニだったら餃子しか買えない。
俺は先ほど買った100均の品で酒を包みながら、餃子定食を食べた。
厨房には父、母と思われる人が調理をしている。
他に女の子が5人。
何かこういう店は東京にはない気がする。
みんな家の店の手伝いなんか嫌だろう。
こんな微笑ましい店はないと思う。
まぁ俺が「家族だ」って勝手に決めつけてるだけなんだけど。
あんな小さい女の子が働いてるなんて家族だからとしか考えられない。

そして、餃子定食を食った俺は再び雨の中走り出したのだが、
200m程走ったあたりで、ガストを発見してしまい、
ついつい、雨だし仕方ない、と妥協気味に入った。
ガストを逃す手はない。この時、時間は12:40。
お腹一杯なのでデザートとして、あんみつを頼んだ。
勿論ドリンクバーセット。
あんみつを食べながら、いつもの作業、PCを開き日記編集。

15:00、就寝。
やっぱり眠かったらしい。
21:00、起床。
コーヒーを一杯飲んで出発する。
21:30になってガストを出たが、まだ雨は止んでいない。
ガストから少し行ったところのミニストップで
日本酒「少林寺拳法」を我が家宛に送った(着払い必死)
雨が一時止む気配を見せた為、
傘は買わずに小雨の中を走り続けた。
善通寺市を抜けた先にある、
観音寺市についた頃、雨は少しの間止んだ。
23:30頃、観音寺駅付近を通り過ぎようとした時、
この旅、始まって以来の大嵐が俺を襲った。

これはヤバい!
と全力で走り
最初に見えたローソンに俺は駆け込んだ。
(結構ローソン発見までに時間がかかったのでビショ濡れ)
ひとまずトイレを借りて、中で軽く着替えて、リュックや寝袋を拭いたりした。
更にビールとつまみを買い、ローソンの下、ドシャ降りの夜空を見上げながら
一杯やりつつ雨が弱まるのを待つ。

泉からメールが来た。
東村山で殺人事件があったらしい。
しかも現場は俺が良く飲みに行く公園のすぐ近くだ。
俺も現場の前を通った事があるはずだ。
犯人は中学生、被害者はホームレスだという。
あの平和な東村山にまさか殺人事件とは、信じがたい出来事だ。
夏の時期なら俺がその付近で飲んでいてもおかしくない。
例えば、俺らのグループが事情聴取されたとして、
きっと警察は「俺ら(未成年)が飲酒をしている」ことに対して注意しない。
もし俺達の供述が重要な手がかりになって犯人が捕まったとすると、
金一封が出ることは間違いない。
その金一封がまた「未成年の宴会」によって消えていくと思うと笑えた。
そんな時は流石に「国家権力バンザイ!」という言葉で乾杯をしそうだ。

そんなメールのやりとりをしていたのだが、
一向に嵐は止む気配がない。
傘を買ったところで、これでは間違いなく進むことはできない。
ローソンの手前にはガソリンスタンドがあった。
休むならあそこしかない。
これ以上の前進はもう危険だった。
次第に雷まで鳴り出した。
今日はあまり走ることができなかった。
ガソリンスタンドの下に寝袋を敷いた。
屋根があるにも関わらず、風に乗って雨が入ってくる。
俺は寝袋に潜り込んで目を瞑った。
雨が寝袋を打ち付ける。
明日には晴れていて欲しい、
ひた走って松山まで行ってしまおう。