13日目(1/21) 岡山〜津山(岡山)

誰かの声がする。
「ここ7時には人が集まるから、はよどいてな?」
ダイエーのおばさん
に注意されて俺は起きた。

起床7:00。
そういえば、所持金が尽きてしまっている。
銀行行って金おろさんと、ネットカフェどころか朝御飯も食えない。
銀行はまだ開いていない。
雨もまだ降り続けているし、寒い。
困ったな。
早く開いている銀行はないものか・・・・。
コンビニATMもこの辺りには全くない。
俺はダメとわかっていても、銀行探しにでた。
結構銀行の数はあるのだが、やはり全て開くのは8:45。
困ったぞ。

探し回って一時間が経った。
あと、45分か・・・・。
早くしてくんないかなー、と思っていたら、開いているところを発見してしまった。
「トマト銀行」
恐らく岡山にしかない銀行だ・・・。

ともかく助かった、トマト銀行。
名前の恥ずかしさは敢えて気にしないが、感謝する。

その足で俺は(マックも飽きたので)ウェンディーズに向かった。
実はウェンディーズに入るのは初めてだ。
今じゃどこでも朝のセットてのはあるんだね。
照り焼きバーガーセットを頼んで、ドリンクはホットコーヒーにした。
だって「おかわり自由」
これで昼までゆっくり日記を書けるってなもんだ。

俺はコーヒーを3回おかわりし、少し眠りにもつき、11:30を回った頃だった。
そういえばこの先の進路もきめていない。
もう、ここまで来たら、このまま四国にむかっちまうか・・・。
山越えは雨の中だとキツいしなぁ。
砂丘はでも絶対見たい。
ここは天気に任せるしかないか。
俺は携帯で鳥取、岡山の天気を調べた。
岡山は、今日の夕方にはもう晴れになるみたいだ。
鳥取は、と・・・・・・・・

え?

マジか?

雪??

?!

!!!!

明日、なの?!!!!


俺の中で渦巻く凄まじい衝動。
つーか、行くしかないじゃないの!!!
砂丘にだよ?!砂丘に!!!

これはこの時期に旅してなきゃ見れない!
幻想的な風景を思い描く。

自転車で行ったら間に合わない!
仕方ない、これはな、少しくらいの金は仕方ない。
砂丘に、これに勝る物、今はなし!
電車使うしかねえ!自転車がどうのこうの言ってる場合じゃねーっつの!

俺はもはや我を忘れていた。
すぐさま、携帯で鳥取行きの電車を調べる。
安く行くと、約4時間。
2回の乗り換えをし、鈍行で進む。
津川で乗り換え、そして智頭で乗り換え、鳥取に着く。
今日中に着いて、明日の夜には再び岡山に戻ってきたい。
今日の夕方、17:40の終電に乗り込むことにした。(終電早っ!)

急遽の決定に俺は興奮冷めやらぬまま、昨日見つけたネットカフェ「LIT CAFE」へ向かった。
日替わり弁当のセットでお会計は\760。
しかも会員証まで作ってもらった。
でも、多分もう来ることはないんだよね・・・・(苦笑)
内装はかなり高級感溢れていて、店員さんも上品な女の人ばかり。
俺はLANケーブルを借りて、いざHPの更新!
なに、繋がらないぞ・・・・。
iDISK(Macのサーバースペースに接続する)が起動しねー!
俺は訳が分からず、俺のITの師匠yj(注8)にメールをした。
yjは「多分今サーバー、ダウンしてる」という。
確かにこれはそうとしか考えられんな・・・・・。
折角ネットカフェを見つけたのに、くやしい限りだ。
俺は、自分のHPの掲示板に書き込んだり、色んなサイトに飛びつつ、
弁当を食いながら、時間をつぶしていた。

ネットをしていると時間の流れが早い。
もう時間は17時になっていた。
俺はそろそろと充電も完了した携帯と、iBOOKをしまい、荷物を背負った。
自転車をJR岡山駅へ向ける。


岡山駅に着くと、俺は自転車を折り畳む。
切符は鳥取まで2500円程度。
自販機では買えない。
俺はみどりの窓口に回ったが、かなり並んでいる。
まずい、これでは間に合わない。
俺は、とりあえず改札を通る為に、一番安い切符を買い鳥取で精算することにした。
改札を通ろうとする。
自動改札ではない、ちゃんと人が立っている。
俺が通ろうとすると・・・・
「君、これ(自転車)、何かケースないの?ないと通せないよ」
時間は17:30。
時間がない。そんな事は知っている。しかしケースなんぞない!説得あるのみ!
「すいません、ないんですよ。どうにかお願いします!」
俺は懇願した。
「何処まで行くの?」
「鳥取です、あの17:40のに乗らないと間に合いませんよね?急いでるんです」
駅員はまだシブる。次第に他の駅員も集まってきた。
「これさぁ、言われたことない?ケースがないとダメって?」
他の駅員が言った。
「ありますけど・・・東京の方じゃいつも乗せてもらってたんです。」
駅員はまだまだ通してくれない。
「じゃぁさ、ちゃんと用意しないとダメじゃない。 そうやって楽な方へ流れちゃいかんでしょ。」
俺は段々腹が立ってきた。
「何でもいいんですね?何か袋に入れればいいんでしょ(怒)
「ん、あぁ。何でもかまわんよ。お客さんの服汚したりしなきゃ大丈夫だから。」

俺は近くのコンビニへ走った。
「すいません!あの、何かでかい袋・・・・ゴミ袋かなんかあったら頂きたいんですけど。」
店員は無愛想だ。
「ないよ。ない。」

くそっ。
時間がない!もう17:35
ダメか、何か方法はないものか・・・。
俺はもうムチャクチャをやっていた。
改札の前で見せつけるように、おもむろに寝袋を取り出し、それで自転車を巻き付けた。
恥ずかしいし、かなり適当だが、もうこれしか方法がなかった。
「もう時間ないよ。」
駅員が無表情に言葉を発する。
俺はいらだっていた。
「わかってます!」

どうにかできた。
「これでいいですか?!」
駅員は無言で頷いた。
俺は見栄えの悪い自転車を担いで、猛ダッシュする。
まずい17:39だ。
津山行きは・・・・・16番ホーム?!
一番向こうじゃねーかよ!!!
もう人目など気にせず、汗だくでダッシュしていた。
間に合うのか?

16番ホームの下に着いた。
階段を駆け上がる。

電車は既に行ってしまった後だった・・・・。


「くそっ!」
俺は叫んだ。
自転車を放り出し、崩れ落ちる。
とにかく腹がたった。
とにかく腹が立って、虚しくて、座り込んでいた。

「楽な方に走るなよ」だ?
ふざけるな、あんたらが中途半端なのがいけないんだろうが。
そんなこと言うなら、JR全線で取り決めておけよ、
「ケースに入れてない折り畳み自転車は、あらゆる場合に於いても乗車はできません」ってよ。
そんなに曖昧だから、こっちも大丈夫なのかって思っちまうんだ。
信じられねー。

虚しさに明け暮れていると、次の津山行きがやってきた。
・・・これに乗っても、鳥取には着けない。
でも、乗っておくしかないか・・・。仕方ない。
俺はトボトボと電車に乗り込んだ。
津山まで一時間半。


眠りから覚めると、もう津山に着いていた。
慌てて電車を降りる。
はぁ・・・どうしようかな・・・。
改札まで来ると再び言われた。
「自転車、ケースに入れてねー」
もう自転車を包んでいた寝袋はしまってあった。
「わかってます、すいません。」
怒る気力もない、もうウンザリだ・・・。

時刻表を見てみると、やはりここから先の電車はもうなかった。
まだ19:40だ、どうしよう。
この辺にファミレスとかがあるとは思えないしな・・・。
俺はとりあえず町を見て回ることにした。


行けそうなのは「元気です つぼ八」くらいか・・・・。
ホント、今日は仕方ない事続きだが・・・仕方ないのだ。
俺は意を決して、「一人居酒屋」に挑む。
「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」
俺は人差し指を立てて「1名で(苦)」と言った。
「カウンターでも宜しいですか?」
「えぇ、大いに結構です。(苦)」 ←ホントにこう言ってみた。

俺はカウンターの端に座った。
ん、やった。コンセントだ。
落ち込んでいたのだが少し元気が出た。
メニューを手に取ると、直ぐさま店員が来た。
「お飲物はどういたしますか?」
「あぁ、この大関辛口の熱カンと、あとキムチ鍋を。」
「はい、かしこまりました」 プッ。(振り返り様)

・・・・・プッ?

プッ、と申されましたか?

気のせいですよね。

とはいえ・・・・

俺の、この異様なオッサンぶりには店員の方でも注目の的だ。
更にiBOOKを開いてしまった俺をもう誰にも止めることは出来ない。
店員がソーっと俺の方を窺っているのが分かる。
しかも、明らかに俺のことを遠くで話している。
・・・・・やはり変か??
この津山という片田舎の居酒屋で、

いかにも未成年に見える旅人風の小僧がギターを担いでやってきて、
惜しげもなくiBOOKをひけらかし、
熱カンとキムチ鍋でしっぽり一杯やっているのは

変なのか??


・・・・・他の客からの視線も熱い
冷たすぎて熱い、その視線。
でも、変人扱いは慣れてる。

体も温まってきて調子に乗りだし、続いて生中、更に熱カン二合を。
すっかり酔ってしまい時間は閉店時間の0時に近づいていた。
お会計は2000円以内に収まった。
たまにはこれくらいの贅沢もいい。

さっきまでヘコんでいたのがウソのように俺は上機嫌になっていた。
店を出ると、寒さは感じなかった。
自転車をこぐ足も軽い。
素晴らしいぞ、酒の力!
よーし鳥取まで、あとはチャリで行ってやるー!!
俺はノリに任せて、山へ向けて突っ込んでいった。


(注8)yj
→ まさしく、わいじぇい。