起きたそこはガスト。
俺はドリンクバーで寝ずにいようとコーヒーばかり飲み続けるのだが良く寝る。
店員さんにしてみりゃ迷惑なんだか、注文取らない分楽だから良いのか知らないが、ホントいつもお世話様です。
朝方、店を出る俺に向けられる店員さんの視線は「頑張って」とかそういったものじゃなく、
至って「やっと出るのか」といったような。
たまに寝てる時に、聞こえてしまいます。
「あの人、いつまでいるのかな?(笑)」
「ちょっとウケるよね(笑)」
全然ウケない(怒)
の様な会話が。ホントすいません。
と共に多少込み上げる、憤慨。
やる気あんのか貴様ら。
そんなで今日も朝を迎えトボトボとガストを出る俺。
姫路は目前だ、ここは大きな分岐点でもある、ゆっくり思案に耽りながら先へ進む。
昼過ぎ、街の風景は突然都会になる。
ショッピングビルもあれば、アーケード街も続いている。
俺はアーケード街に入り、ゆっくりできるところをを探し、何往復かした。
めぼしい場所としては、ロッテリアかミスドか・・・何かパッとしない。
何件か100均が見あたったな、そろそろシャンプーも無くなりそうなので買っておいた方がいいかもしれない。
俺は100均としては余り珍しくない店に入った。
それらしいコーナーを探し2階へ上がる。
結構色んなものがあるせいで、他のものに目がいってしまう。
そういやギターケースに何か書きたいと思ってたんだよな。
ポスターカラーがいい。
流石だ。何でもある。
俺はポスターカラーの赤か黄色か迷った。
黄色の方が目立つかな、とりあえず買っておこうと思った。
ん、チョーク?
チョークかぁ。何か地面に落書きってのもありかな。
色んなとこの電柱とか地面に、HPのアドレス書いていくとかな・・・・ふふ。
どうせ100円だしな、買っておいて損はないさ。
と、チョークまでカゴに入れてしまう。
あとは・・・・・と、おやおや最近の100均は地図まで売っているのか。
こりゃ買っておかないとまずい。
地図は都道府県別になっている。
今持っている「関西道路地図」には四国が少ししか載っていない。
鳥取は大丈夫だが、広島の方はギリギリで途切れてしまっている。
その辺を考慮して、「広島」と「愛媛」を手に取る。
徳島、高知は寄れるかわからないからなぁ・・・・。
俺は地図二つをカゴに入れた。
やっとシャンプーを見つけた。
旅行用っぽい、シャンプー・リンス・ボディーソープがセットになったやつ。
そして3階に上がる。
工具系のものやら園芸用品が並んでいる。
自転車整備の工具も売っている。
そういえば・・・・何か自転車前輪のブレーキのボルトが緩んで利きが悪くなっていた。
緊急整備用のレンチをカゴに入れる。
あと、ブレーキ音がうるさいのでオイルもカゴに入れておく。
こんなもんだろう、これ以上は無駄遣いだ。
俺はレジへ向かい会計を済ませると、デパートのトイレを探す。
デパートのトイレは広くて、着替えたり、電源を頂いたり、今日はギターに落書きしたりと便利この上ない。
まぁ、その間ノックも何度かされる訳だが、俺は無視。
お金も使わないし、マックより便利です。
只、トイレという排便行為を行う場所な訳ですから、人から見れば「汚いよ糸菌」と思われるのも仕方ない。
トイレの中で坦々とギターケースに落書きをする俺。
落書きを終えてデパートの中を歩き回る。
特に何を買いたいわけでもないので外に出てみると、この旅で初めて見るストリートミュージシャン。
まだ若そうだ。
母校の軽音部の後輩に似ている。
二人組で、結構人気があるように見える。
女子高生達が通りかかっては彼らの前に立ち止まり、曲が終わると話しかけられたりしていた。
また常連みたいな女子高生もいる。
仲良さそげに彼らとトークを交わしている。
俺が彼らの目の前を横切ると、歌ってる途中にも関わらず俺の方を気にかけていた。
回りにいた女子高生も、「何だろう?」ってな感じで俺の方を見ている。
俺はコンビニでコーヒーを買ってきて、少し彼らから離れたところに座り込んだ。
どうやら一段落したようで、何やら打ち合わせをしている。
そこで俺は彼らに近寄った。
「もう終わっちゃうの?」
彼らは驚いたように、「いえ、まだやりますよ!」と言った。
「人気あるんだね、さっきから女の子に囲まれてばっかじゃん?(笑)」
「そうなんすよね、何かお客さん女の子多くて(照)」
明らかに俺よりはギターが巧い様だった。
というか俺なんか高1からギターを始めたのに彼らはまだ高1だという。
彼らは「ぷるーと」、ここは京阪姫路駅の駅ビル前である。
軽く話した程度で別れてしまったが、高1で、あの頑張ってる姿は印象的だった。
彼らの感想ノートに俺は一言書いて、そして去ってきた。
その後ちょっと観光気分で姫路城に行くことにした。
姫路城は大きい。
今まで見てきた城の中でも一番の大きさだ。
何と言っても天守閣が凄い。
遠くから見てもその大きさは一目瞭然。
少し小さい城だったりすると「何処に城があんだよ」ってくらい市街地から見えない。
俺は自転車で城内の広場に進入した。
まばらに犬の散歩をしてる人が目に入る。
城内に入りたかったのだが、もう時間は17:30を回っている。
既に城内は閉まってしまい、ライトアップが始まっていた。
仕方なく人気のない場所を探していたら、蔵の前に出た。
人は殆ど通る事がないので、ギターでも取り出してみた。
この旅始まって以来、2回目くらいの熱唱を試みた。
たまに人が通り過ぎていく。
観光らしいような人たちが通り過ぎる。
俺は姫路城のライトの下で、日が暮れ、夜が更けるまで歌い続けた。
もう辺りは真っ暗で人気が全くなくなってしまって少し心配になった。
「もしかしたら、門が閉じられているのでは・・・・・」
と、ちょっと焦った。
焦ったら、ついでに激しい尿意が俺を襲った。
まずい、トイレは何処だ。
この寒空の下だと、尿意を我慢するのにも限界がある。
蔵のある広場をダッシュで駆け下りる。
人はいない。
自転車にまたがりトイレらしいもの目がけて一直線。
あぁ。やばい。何故冬ってこんなにも突然尿意が爆発するものなのか。
トイレが近づいてきた。
自転車を激しく乗り捨て、トイレに突っ込む。
「あぁーぁぁぁぁぁぁ(素)」
危機一髪である。間に合った。
小さな幸せに俺は包まれた。
すぐ近くで犬(?)の遠吠えがして心臓が止まりそうになった。
これは犬というより、野犬かオオカミってな感じの遠吠え。
恐い・・・・。
俺は用を済ませると、そーっとトイレから顔を出す。
うなり声がする。
おいおい、まさか近くにいんの?
俺は意を決して自転車まで走ると、直ぐにまたがり猛スピードで走り出す。
同時に犬(?)の罵声が飛び交う。
ダッシュで逃げる。
姫路城から出ると、アーケード街に俺は戻った。
腹が減った。
とはいっても、この辺に吉野屋とかないし、仕方なく駅付近のロッテに入ることにした。
照り焼きバーガーセットを頼んで、二階にあがる。
コンセントの見あたる場所は・・・・・ない。
残念。
窓際の席に腰を下ろす。
女子高生が異様に多い。
俺は変な目で見られてる。
旅帳を取り出し、今日今までにあったことを記していく。
携帯を惜しげもなく使い、話しまくる制服の輩がかなりうっとおしい。
無言で食を進める。
隣に女子高生の連れの男子学生がやってくる。
それから程なくしての出来事だった。
いきなりアーケード街の屋根をつたって来た変なオヤジが、窓の外に立っていた。
学生たちがそれを見て大爆笑している。
おっさんは、何やらジェスチャーで窓を開けてくれと頼んでいる。
俺は無視した。
すると隣に座っていた学生たちが窓を開けだした。
おっさんは変な荷物を持って、ロッテリアに侵入する。
おっさんはいきなり何かを話し始めたが、何を喋っているのかさっぱりわからない。
こいつ、日本人か?
かなり怪しい。
窓を開けるこの学生たちも信じられない。
学生たちはカラカい半分でおっさんと話を始めた。
おっさんは相変わらず何を言っているのかわからない。
学生たちはジェスチャーを理解して何とか話している。
たまに微妙な日本語がおっさんの口から出てくる。
何かおっさんは、「包丁が」どうのこうの言っている。
包丁?
何か急に危険な気がしてきた。
おっさんの鞄を見ると、包丁らしいものが入ってるように見える。
学生たちは何もわかってないのか?
俺は「このままココにいると危ない」と察知し、とっさに荷物を抱えた。
何事もなければよいが・・・・と思いつつ、ロッテを後にした。
あれは一体なんだったのか?
通報とかした方が良かったのかな?
さっきの出来事が頭から離れず、俺はそれでも動いていた。
もう時間は10時を回っていた。
まだ明日に向けての進路を決めていない。
体力を回復するためにも銭湯へ行くことにした。
銭湯を当てもなく探していく。
鳥取との分岐点へ向かいながら銭湯を探す。
あたりを見渡しながら、ゆっくり、ゆっくり・・・・・あ、あった。
東京じゃこうは簡単に見つからないだろうなぁ・・・・。
少し大通りから路地に入ったところに見えた銭湯。
銭湯は2階にあった。
自転車を置いて、階段を上る。
番台のおじさんは常連にしか挨拶をしないような人みたいで
俺にはなんの言葉もかけなかった。
360円払い、無言で男湯に入る。
あぁぁ、またかよ。
また入れ墨のお兄ちゃんが・・・・。
「入れ墨入ってる人はお断り」って書いてあったでしょ!
「帰れ!」なんて言える訳がありませんし。
殺されますね。
なかなか良い湯だった。
入れ墨のお兄ちゃんも早々に帰り、俺は着替えた。
体重計に乗ると、旅を始めた頃から4kgも減っていたことが分かった。
そういえば、足の筋肉もだいぶついたような気がする。
腹もかなり引き締まった。
おじさんが入ってきた。
おじさんは着替え途中に、俺に話しかけてきた。
相変わらずのトークだったが、おじさんは俺の今日の晩御飯を気にかけてくれた。
ロッテで食べていなかったら、ありがたくおごってもらったが、今日のところは遠慮しておいた。
おじさんに礼を言って、俺は銭湯のロビーのソファーに座った。
大きなテレビが置いてある。
ニュースがやっている、もう時間も23:30を回っていた。
天気予報だ。
岡山、鳥取の方は、明日明後日と雨だという・・・・。
こいつは危なかったかも知れない。
何せここから国道29号線で鳥取へ北上するとあとは山ばかりだ。
今日ここで天気予報を見ていなかったら鳥取へ行くところだった。
明日の夕方頃から雨が降る。
岡山の方へ、ひとまず向かっておいた方がいいのかもしれない。
岡山まで行っても鳥取へ行くルートはある、国道53号線だ。
俺は立ち上がった、岡山へ向けて出発する。
国道2号線へ出る。
相生というところで、南に下り国道250号線に出るつもりだ。
国道2号線をそのまま行くと、山を突っ切ってしまう。
夜の山は冷える。
下れば海沿いで平坦な道のりだ。
そのつもり、だったのだが・・・・
どうやら相生を見逃したようで、そのまま2号線を突っ走り山の中へ来てしまったらしい・・・・。
さ、さ、寒いなぁあぁ。
やばいだろ。耳が痛いよ・・・。
早く、コンビニ、コンビニー!!!
・・・・・・・。
・・・・・・・。
なんで30分走っても、40分走っても、コンビニ一つないんでしょう?(怒)
ガソリンスタンドはこんなに沢山あるのに。(怒)
何?自転車をバカにしてんのかい。ちくしょー!(怒)
かなりグチりっぱなしで、坂道を上り・・・・下り・・・・。
ヒッチハイクでも試みようかと思ったが、どうやら一休みできそうだ。
ファミマがあった。
ドライブインの食堂(もう閉まってるけど)もあった。
もう限界だ。この寒さでは体力が持たない。
今日はここで寝るとしよう。
ファミマでカレーうどんを買い、食堂の下に寝袋を引き、食べる。
温まったところで、俺は寝袋の中に入り込んだ。
寒いけど、疲れの方が大きくて、直ぐに眠ることができた・・・・。