みなみのしまキャンプ
....H4.12.30富山
朝9時、目が覚めて水を飲む....「あ〜 頭がいて〜よ〜」
昨日、近くの友人宅で飲みすぎたのだ
むかつく胸をなでながらワゴン車にキャンプ道具と着替えを放り込み、ルーフのサイクル
キャリアに自転車(ロードレーサー)を載せ 出発...
コンビニでおにぎりとジュースを買い、国道41号線を南に走らせる
まだ二日酔いで頭痛がして食べる気にならないのでジュースだけ飲んだ
雪降る数河高原、飛騨高山を通ってゲロ下呂ということもなく、気分もだんだん良くなっ
てきた...そして陽も出てきて明るく暖かくなってきた
あと2日で年が明ける...道はさすがにすいている
正月休みにどっか行きたい...
どうせなら寒い北陸から雪の降らない温かいところでキャンプしたい
で....富山から遥か南の三重県の志摩に行くことにした訳である
岐阜市、四日市、津、伊勢、そして志摩...遠いなぁ...
目的地、英虞湾(あごわん)の登茂山(ともやま)キャンプ場に着いたのが夜の7時を過ぎ
ていた
管理棟へ行ってみると管理人どころか誰もいない...正月休みのようだ
それでもキャンプサイトへ行ってみると明かりが一つだけ見える
今日、東京から来たという愛想のいいカヌーイスト2人だ
軽く挨拶を交わし、そそくさとランタンを付けてテントを立ててシュラフとマットを
中に放り込み、缶ビールを開けてお隣を振り返ると、な、なんという礼儀知らず、
真っ暗、もう寝てやがる...まだ9時前なんだぞ....寂しいじゃないか...立ったまま缶ビールを
ごくり...つまんない...疲れたからもう寝る
31日 朝、目覚めさわやか、テントを出て大きく伸びをした...とても天気がいいしそれほど
寒くない
さて朝メシだ ...インスタントラーメンとロールパンとコーヒー...お隣もごそごそ食ってる
話しかけるとヤッパリ気さくな連中で、これからカヌーで英虞湾の島々をまわるのだそう
だ
オレも自転車で英虞湾を一周するんだと言ったら「じゃまた夜に...」と大きなザック
(フォールディングカヌー)とパドルを持ってニコニコと海へ下りていった
オレも着替えて自転車にまたがりニコニコとこぎだした
風はさわやか、ペダルをこぐ足も軽い....まずは大王崎灯台へ向かう
大王町は漁師町だ干物などの店が並んでいるがほとんど営業していない...今日は大晦日な
のだ
灯台までは車ではいけないが、細い急坂を原付きバイクのおばさんがエンジンをうならせ
て登っていく
それにつられてオレも自転車で登っていく...道幅は2m位、脇にはみやげ屋、上まで距離が
短くて助かった
断崖絶壁の大王崎灯台、下を見たら足が震えた...ヨシ!初日の出はここで拝むことにしよう
(その時はそう思った)
さてと、また自転車にまたがり...今度はブレーキレバーを握りしめ、腕を伸ばし、サドル
をお腹に抱えるようにして今来た坂をゆっくり下りた
次は安乗(あのり)灯台へと走り出す
普通の道を走っていたつもりが、堤防の上だったり、ゴルフ場の中だったり、墓場、狭い
民家の庭や路地を抜けてようやく「おいら岬の〜灯台守は〜...の安乗灯台」に着いた
白く四角い綺麗な灯台である...しかし、駐車場が有るのが不思議だ
細く迷路のような あの道をはたして車は上がってくることが出きるのか?
案の定、灯台から下る途中、車が上がってきた...オレは自転車に乗ったまま塀に捕まり張
りついた
ゆっくりすれちがう...彼女を乗せた若いドライバーの顔に「こんなトコ来るんじゃなかっ
た...帰りはどうしよう」と書いてあった
ハンドルにしがみついた彼の背中とおもいっきりねかせたソアラのシートの角度は80度は
あっただろう
さて、国府(こう)から志摩では一番にぎわっている鵜方を左に折れて橋を渡って 賢島
(かしこじま)へ....
この島は大型リゾートアイランドというようなところで、ホテル、水族館、ゴルフ、テニ
スなどのスポーツランドに遊覧船などなどいろいろ有るようだ
そこでオレはというと、高級リゾートホテルに入り、ラウンジの豪華トイレで気持ちよく
排泄し、そして速やかに自転車にまたがり、身も心も軽やかに「さよなら〜賢島ぁ〜」と
また鵜方に向けてぺダリングしていく
ティシューペーパーの箱を小脇に抱えてなるべく息をしないで入るキャンプ場のトイレと
BGMが流れる清潔な高級ホテルのウォシュレット付きトイレ....う〜む
鵜方を抜けて横山の展望台へ登っていく...ところが展望台の手前の坂がこれまたキツイ!
勾配15%は有りそうだ...自転車での登りに関して根性もプライドも無いオレはすぐに下り
て押して登った...いや...まだま走らなければならないのだ...足のためにこれは賢い選択で
は...いや、そうに違いない...絶対そうだ!....まだ着かないのか?....この坂、結構長いなぁ...
フンッ...こんな坂、自転車ナンカで登れるかい!...とブツブツいいながら押して登った
ついに展望台だ!...美しい英虞湾、すばらしい、絶景、すごい!...筆舌に尽くし難いのでこれ
以上書きません
帰りの自転車に乗っての下りはメチャ怖かった...ブレーキをかけながらゆっくり下る...
ジャックナイフは得意だが、ここではやりたくない
国道へ戻り、浜島へ向かう緩いアップダウンを走る...気持ちいい
浜島へ着いた....腹が減っている....どこかで何か食べなければ....
通りがかりの地元の人に聞くと、選択の余地無し...この日、やっているのは一軒だけ...
その店に入る
数人の客が伊勢えびを食べている...というか...格闘しているとしか見えない
伊勢えびはヒゲが長くて大きくて迫力があるが、そのわりに食べるところが少ない
造りはいいが焼いたのや汁物は身離れが悪くて食べにくい...自転車で疲れているのにそこ
までしたくない
メニューに目をやり迷わず「赤身茶漬け」を注文、続いて「あっぱっぱ貝」、「鰹のへ
そ」、そしてビール
...ホントはビンボーなのだ...
ちょっと遅い昼食を済ませて浜島港へ行く...対岸の志摩半島の先端の御座へ定期船で渡る
のだ
船賃は大人350円、自転車450円...ムムッ ちょっと腑に落ちない...自転車を担いで乗る
と、アレレ
なんと お客はオレ一人だけ...800円で貸切り、オレだけのためにこの船は出航するのだ
なんだか浮かれて船長(運転手)にいろいろ質問をしたりした...迷惑そうだったがキッチリ
短く答えてくれた
15分位で御座に着いた...もっと乗っていたかったなぁ〜
御座港にはたくさんの大漁旗を揚げた漁船が何隻も停泊していた
旗の数で友人の多さが解るとのこと...写真を撮っていると船からおじさんが降りてきて
自慢げにそう言った
なるほど、旗のすみに送り主の名前が書いてある
そのおじさんの船には旗が六つしか上がっていなくて、その内の二つは「ほにゃらら発動
機」、「ナントカ造船所」と書かれてあった
御座から和具を通って波切(なきり)、そして大王崎へ、この間16Kmぐらいあるのだが
なにも無いところなので書くことが無い
そう言えば、小さな商店街の金物店で割箸とスプーンを一本買った
汗かいた、疲れた、汚れた、風呂に入りたい...というわけで銭湯を探した
大王町の八百屋で聞くと、N温泉というのがあるらしい...聞いたとうりに言ってみると、
そこは建物が朽ちていてとても営業しているようには見えなかった
となりの家の人に聞くと「やっとるヨ..」.....キラリと光るおばあちゃんの目にウソは無い
ようだ
思い直して戻り、ぼろぼろの戸を開けようとすると鍵がかかっていたようだが上だけ
ギギィっと斜めに開いた
するとその奥から声が「5時からだヨ〜」、隙間から覗く中の様子も外観に劣らずスゴイ!
時計を見る...5時に10分前........うぅ〜む..........................................迷.......った....
話のタネに入ろうかとも思ったが、想像しただけで鳥肌がたった...体が拒否している
...ヤメタ!
するとスーッと力が抜けた...この間かなり肩に力が入っていたようだ
今日の疲れがドッと押し寄せてきた...もう辺りは暗くなってきた
とにかく、キャンプ場へ向かった...キャンプ場から手前約2Kmのところにホテルがある...
今朝、出発したときは全く縁の無いところだと思っていたけど...ダメで元々...
思い切って風呂だけ入れてもらえないかとお願いしたところ...5分位待たされてOK!
やった!うれしい!
どうせ入るならと、大急ぎでキャンプ場まで着替えを取りに行った
当然、そこからホテルまでは車だ...頭を下げながらフロントで料金を払う
なんと入浴料500円でタオル一式、石鹸、シャンプー付きのすばらしい大浴場だ!
さっきの入浴料280円で、タオルと石鹸持参、入ると別のモノで汚れるかも知れない
ボロ銭湯に入らなくて良かった
大きな湯船に足を伸ばし、今この時が、今まで生きてきて一番幸せなような気がして思わ
ず湯船の向こうまで平泳ぎをしてしまった
風呂から上がってロビーで一服...そしてまた大王町へ向かう...冷えたビールを買いに...
さて、キャンプ場に着くとカヌーイストの二人は焚き火で鍋を煮ていた...そこで、オレは
ご飯を三合炊いて夕食、そしてそのまま焚き火を囲んで酒宴となり、オレは自転車での
英虞湾一周の話、彼らは英虞湾の島々の話、そして能登半島一周タイムトライアル、
那珂川の川下り...などなど
話も一段落したところへ突然、闇の中からフェイドインしてきた怪しいおじさん(目つきが
怖い)が、面白そうだから仲間に入れろと言った
船を持っていて一人で釣りに来たそうで...ビールを勧めると、もう1本飲んで来たから
いらないと言う
それにとても無口なので、また かってに飲んで食って盛り上がった
しばらくすると、おじさんはテントじゃ寒いだろうからおじさんの小屋に泊りに来いと
しつこく言うので「じゃぁ もう少したったら行きます」......で、おじさんは帰った
ところが、また話がはずみ、それから2時間近くたってしまった
「えぇ?ホントに行く気だったの?」
「もう寝てるかも知れない」
「もし、ヤクザだったら...」
「でも約束したヨ」
「................................ 」
「とにかく行ってみよう」
ランタンを持って三人それぞれシュラフをもこもこ抱えて闇の中を.......小屋があった...
明かりが付いている
コンバンワと言って中に入ると、おじさんはこたつに丸まって寝ている...ムクリと起きて
「遅かったのぉ〜 まぁ炬燵に入れ」
室温は外と変わらない...ストーブは壊れている...おじさんはすぐまた寝た
三人で炬燵に入り持ってきたバーボンを飲んだ...しかし寒い...焚き火が恋しい
オレはテントに帰ろうと言ったが義理堅い(怖がり)の二人は聞き入れなかった
寒い...飲んだ...寒い...飲んだ...気がつくと、とっくに元旦だった
朝、泊めてもらったお礼を言ってテント場へ...おじさんはとても寂しそうだった
カヌーイスト二人は風邪をひいてしまった...オレはヒドイ二日酔いだ
コーヒーとペットボトル半分のウーロン茶を胃に流し込み、自転車でキャンプ場の先に
ある真珠の養殖場へフラフラ〜っとこぎだした
正月休みなので養殖場の入口にはロープが張ってあり、立入禁止の立て札が...
そこで自転車をおいてロープをまたいで歩いていった
入口のところから養殖場までは坂になっていて帰りに自転車を押してまた戻ってくるのが
いやだったのだ
下りていくと小屋が三棟、そこからすぐ海、大きな筏みたいなのに板が渡してある
その下には真珠貝が、たぶん....その向こうには細い棒で組んだ升目が綺麗に並んでいる
磯の香りが強烈に鼻をつく...それは小屋の脇にたくさん積んである布袋だった
中を見ると、真珠貝がたくさん詰まっている...日差しを浴びてキラキラ光っている
思わず、一つ取り出してよく見る...綺麗だ、と 裏を返す...ゲッ 付いている海藻の中に
フナムシやらウジなどが、うじゃうじゃうごめいている...ギョエー! この袋の中はみんな
コレか〜?
昨日の酒が逆流しそうになった...見なきゃ良かった...慌ててキャンプ場へ逃げ帰った
今後、真珠を見る度にあの強い磯の香りとたくさんの布袋を思い出すだろう
午後になっても気分が悪く自転車ツーリングは中止、車で行くことにした
鳥羽、二見の夫婦岩、伊勢の内宮(外宮は込んでてヤメタ)など見て回った
フーン、観光地なんだなぁ、正月なんだなぁ...二日酔いで回ったせいか印象が薄く書くの
がめんどうなので、これらは省きます
赤福を三個買った
キャンプ場に戻り、簡単な夕食をすませ、食器を洗い、焚き火のところへ行くとまた酒が
飲めるようになっていた...懲りないヤツ
今夜はカヌーイスト二人にさらに三人(中国人の男女二人と国籍不明の日本人男)が加わ
り、またまた宴会になった
そこへまた無口な寂しがりやの酒の飲めないヤクザがやってきて、釣った赤い魚二匹と
カレイを二枚置いて行った
それを椅子のそばに置いといたら、茂みから行きなり猫が飛び出してきて、あっと言う間
に大きいほうの赤い魚をくわえて逃げて行ってしまった
感動した...忘れていた「野性」というモノをあの猫は思い出させてくれた
それに、みんなが釣ったわけでも無いので、誰も惜しいとは思いませんでした
それをきっかけにあとの三匹の魚を焼いてみんなで食べる...二口、三口、ムムッ...
一人を除いてみんな顔を見合わせる...苦い...しかも舌が少しピリピリする...慌てて吐き出し
た
国籍不明の日本人男以外、みんな首をかしげる
そして、納得のいかない顔の男を尻目にその毒魚は、無口な寂しがりやの酒の飲めない
ヤクザに見つからないように、穴を掘って埋めた
そのあと、もしかしたらフグを食った魚かも知れないとか、真珠の成長促進剤のせいだ
とかいいながら、酒を飲んだ
さっきの猫の行く末を案じて、また飲む...誰かの陰謀だといっては、飲む
そのうちに、中国語、ロシア語、英語などが飛び交い、通訳を交えて盛り上がる
気持ちイイ〜 ワハハハハハ 楽しい〜 ワハハハハハ
(翌日、家に電話をすると、きわめて個人的で不本意な急用で東京に行くことになり、
またまた頭はフラフラ、東名高速道路は 超、大渋滞、もうヘトヘト、目ん玉グルグル.....
その日にたどりつけずに神奈川辺りのサービスエリアで車中泊になろうとは、
この時 知る由もない)
そして、ワハハハハ Yahoo ! と真珠の里 奥志摩の夜は更けてゆく
おしまい