幼年期のテディ


30年以上前、両親にねだるオモチャと言えば
同世代の少年が欲しがる車や戦車で無く恐竜や怪獣ばかり。
父にせがむお出かけと言えば遊園地よりも上野の博物館。
薄暗い館内で眺めた復元の数々は何度見ても飽きることはありませんでした。
何と言っても家に持って帰れないのだから仕方がありません。
小学4年の頃、科博のワークショップで恐竜の模型をスケッチして
学芸員の人に褒めてもらえた日曜日の夜は
日曜洋画劇場を見ながら両親に得意げに話したものです。

家族で囲む団らんのすき焼きを食べずに眺める
鍋に満ちたすき焼きの汁に荒れ狂う大海のイメージを重ね
盛られた肉やシラタキを山に見立てていました。
年が離れて育ち盛りの兄達による略奪で
刻々と変わるその大地、そして広がってくる海。

たかがすき焼きですが食べるコトより脳内で行われる天地創造
そんな誇大妄想に心躍らせていた少年でした。
アンタ食べずに何をしているの?と聞かれ
すき焼きが海と山みたいでスゴイんだ!
そう答えた僕に当然ながらマンマは訝しんでいました。
オンナと言うのはロマンが無いと思ったのはこれが最初でしょう。

思春期になり当然ながら興味は
見たり触ったりすることの出来ない恐竜から
見ても楽しい、触っても楽しい女の子へシフトしました。
しかしながら、思うに好みのレディは博物館の恐竜の標本よろしく
見るまでは許されますが触れるコトを許されない人ばかりでした。
そこでこう思ったのです。
そうだ!標本を沢山触れる学芸員になろう!
女体評論家、テディ・クックスウエルの素地はこのとき形成されたはずです。
そして人並みに運動をし、人並み以下の勉強をしやがて大学へと進みます。

20数年前、大学生の頃、恐竜造形作家の荒木さんのお宅を訪ねた時に
初めて見せてもらった"The Rise of Life"
と言う本の衝撃は今でも忘れません。
John Gurcheと言うイラストレータの描いた太古の世界
それはスミソニアン協会の博物館の柱に
彼が生命進化と言うモチーフを素晴らしい構成と画力で描いた芸術でした。
それらの絵を抽出したのがその本だったのです。
当時はアマゾンなど無いので今は無き
銀座のイエナで購入したのを憶えています。

当時の夢は卒業後フランス外人部隊に入隊すること。
僕らの世代、良くあることですが落合信彦や大藪晴彦の読み過ぎでした。
フォーサイスは良かったなあ。J.C.ポロックも。
あ、話がそれましたね。
仲の良かった友人は卒業後インディアンになると息巻いていました。
彼の就職希望蘭には
第一希望インディアン(スー族)
第二希望インディアン(ナハボ族)と書かれていて
小生と二人学生部に呼ばれこっぴどく叱られたのは良い思い出です。
全く救いようのないバカガキでした。

就職活動を控えた時期に当時のガールフレンドと話しをしていて
卒業後どうするの?と聞かれ
「フランスに行く」と意気揚々に答えたら
「フランス??何しに行くの?」との問い。
「ん?フランス外人部隊に入る」と言った途端
帰ってきた言葉は「あなたねえ、」それから3時間説教を受けました。
フィジカルエリートでは無いのと根性無しが相まって
3時間2分後には外人部隊入隊を断念。
就職先を探すことになるのです。