小説国外
老人と海
06/01/22 15:44 | Permalink
★★★★☆
1952 ヘミングウェイ
今更ではありますが、初めて読みました。他のヘミングウェイの作品を読んだ事が無いので彼自身についてどうのこうのは言えませんが、この小説のみでは題名通り一人の老人と海との話であり、ここまでシンプルな設定で力強い話であるとは思いもよりませんでした。表面的には美しくみえる自然は本質的に人間に取って過酷なものである。
1952 ヘミングウェイ
今更ではありますが、初めて読みました。他のヘミングウェイの作品を読んだ事が無いので彼自身についてどうのこうのは言えませんが、この小説のみでは題名通り一人の老人と海との話であり、ここまでシンプルな設定で力強い話であるとは思いもよりませんでした。表面的には美しくみえる自然は本質的に人間に取って過酷なものである。
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The Alchemist
05/07/23 01:54 | Permalink
★★★★★
1992 Paulo Coelho
初の洋書のレビュー。この一年間腐るほど洋書を読んだので、やっとこの程度の小説はすらすら読めるようになった。でもまだちゃんとつかめていない表現が時々出てくるし、日本語に比べればまだ大分読解のスピードも遅いかもな。この小説は簡単にいうと、羊飼いの少年が今までの生活を捨てて夢に見た宝物を探しにいく話だが、文章の美しさと展開の面白さ、機智に富んだ言葉の数々がどれも一品である。この本ほど洋書の小説がすらすら読めたのは初めてだったので、こんなにも物語にのめり込めることに驚いた。それはこの小説で使われていた表現が比較的難易度の低い言葉で書かれていたということもあるだろう。しかし、自分はまだ日本語と英語では理解力に明らかに差があると思うので、どういう焦点で自分は小説を読んでいるのかという疑問が湧いてきた。はたして小説を読むということはどういうことなのだろう?自分は小説の何を読んでいるのだろうか?まあなんにしろ、文学において言語の壁を超える事はそうもむずかしいことではないのかもしれない。
1992 Paulo Coelho
初の洋書のレビュー。この一年間腐るほど洋書を読んだので、やっとこの程度の小説はすらすら読めるようになった。でもまだちゃんとつかめていない表現が時々出てくるし、日本語に比べればまだ大分読解のスピードも遅いかもな。この小説は簡単にいうと、羊飼いの少年が今までの生活を捨てて夢に見た宝物を探しにいく話だが、文章の美しさと展開の面白さ、機智に富んだ言葉の数々がどれも一品である。この本ほど洋書の小説がすらすら読めたのは初めてだったので、こんなにも物語にのめり込めることに驚いた。それはこの小説で使われていた表現が比較的難易度の低い言葉で書かれていたということもあるだろう。しかし、自分はまだ日本語と英語では理解力に明らかに差があると思うので、どういう焦点で自分は小説を読んでいるのかという疑問が湧いてきた。はたして小説を読むということはどういうことなのだろう?自分は小説の何を読んでいるのだろうか?まあなんにしろ、文学において言語の壁を超える事はそうもむずかしいことではないのかもしれない。
フィオナの海(Child of the Western Isles)
05/07/17 14:45 | Permalink
★★★☆☆
1996 ロザリー・K・フライ
映画にもなった、スコットランドのセルキー伝説をもとにしたゆりかごとともに海に消えた弟を捜す少女の小説。セルキーとはケルトの民間伝承にでてくるアザラシ族の妖精。
訳本は1996年に出たのがだ原書は30年以上も前に書かれたらしい。広い海とのどかさと寂しさが同居しているような田舎の町が目に浮かぶ。途中までもっと空想的で冒険的な話かなと思っていたためちょっと後半の展開に意表を食らった感じになったのだが、映画化されたことでもあるし、それならこういうストーリーだなと納得した。多分、少し前にオオカミ族の少年を読んでたからその印象が強かったのだろう。
フィオナは公害のひどい街での生活がなじめず、故郷の群島に養成に行くのだが、同時に街で共に暮らしていた働き詰めの父や兄弟にうとまれていたこともあり、フィオナは心までも病んでいたのだろう。自然にあふれた田舎の地方には神秘的なことであふれていて、フィオナはそこから生きる力を吸い取って元気になっているように感じられる。街というものはそれ自体が病なのかもしれない。
1996 ロザリー・K・フライ
映画にもなった、スコットランドのセルキー伝説をもとにしたゆりかごとともに海に消えた弟を捜す少女の小説。セルキーとはケルトの民間伝承にでてくるアザラシ族の妖精。
訳本は1996年に出たのがだ原書は30年以上も前に書かれたらしい。広い海とのどかさと寂しさが同居しているような田舎の町が目に浮かぶ。途中までもっと空想的で冒険的な話かなと思っていたためちょっと後半の展開に意表を食らった感じになったのだが、映画化されたことでもあるし、それならこういうストーリーだなと納得した。多分、少し前にオオカミ族の少年を読んでたからその印象が強かったのだろう。
フィオナは公害のひどい街での生活がなじめず、故郷の群島に養成に行くのだが、同時に街で共に暮らしていた働き詰めの父や兄弟にうとまれていたこともあり、フィオナは心までも病んでいたのだろう。自然にあふれた田舎の地方には神秘的なことであふれていて、フィオナはそこから生きる力を吸い取って元気になっているように感じられる。街というものはそれ自体が病なのかもしれない。
オオカミ族の少年
05/07/11 23:12 | Permalink
★★★★★
2005 ミシェル・ペイーヴァー、酒井駒子-画
ジャケ買いしました。表紙の酒井駒子絵いいですね。中にポストカードまで入ってました。リドリー・スコットが映画化するらしく、ほんとに衝動買いしましたがよかったです。数千年前の森を舞台にした作品で、作者は考古学を学んだらしく、世界観や登場する人々の生活にリアリティがあり、テンポ早く進む物語にすっと飲み込まれてしまいました。どちらかと言えば児童書に入る本である事もあるのか、描写は少し物足りなさを感じるほど簡潔ではあるが、主人公のオオカミ族の少年トラクから見た世界が想像力豊かに描かれている。壮大な世界観と、テンポの早さが、リドリースコットの作風とよく似ている。
この作品の魅力はどこにあるだろうか?考古学的に正確で、迫力のある描写は言うまでもないが、トラクとウルフの純粋でミステリアスな関係がとても魅力があるように感じる。現在ファンタジーは魔導師が魔法を操る物語が主流であるが、原始的で野性的なこれまでとは違った趣をもつこのファンタジーが、新たなブームの火付け役となっていくのだろうか。
2005 ミシェル・ペイーヴァー、酒井駒子-画
ジャケ買いしました。表紙の酒井駒子絵いいですね。中にポストカードまで入ってました。リドリー・スコットが映画化するらしく、ほんとに衝動買いしましたがよかったです。数千年前の森を舞台にした作品で、作者は考古学を学んだらしく、世界観や登場する人々の生活にリアリティがあり、テンポ早く進む物語にすっと飲み込まれてしまいました。どちらかと言えば児童書に入る本である事もあるのか、描写は少し物足りなさを感じるほど簡潔ではあるが、主人公のオオカミ族の少年トラクから見た世界が想像力豊かに描かれている。壮大な世界観と、テンポの早さが、リドリースコットの作風とよく似ている。
この作品の魅力はどこにあるだろうか?考古学的に正確で、迫力のある描写は言うまでもないが、トラクとウルフの純粋でミステリアスな関係がとても魅力があるように感じる。現在ファンタジーは魔導師が魔法を操る物語が主流であるが、原始的で野性的なこれまでとは違った趣をもつこのファンタジーが、新たなブームの火付け役となっていくのだろうか。
あしながおじさん (Daddy Long Legs)
05/05/24 16:55 | Permalink
★★★★★
1912 ジーン・ウェブスター
今更ですが古本をたまたま見つけたので買って読んでみました。よかったです。孤児であるジルーシャは孤児院で長い年月を過ごし、18歳になった今まで子供たちの世話をしながら学校に通って暮らしていた。孤児院の生活にうんざりしていたジルーシャに月に一回手紙を送ることを条件に大学に入れてくれるという紳士が現れ、ジルーシャは大はしゃぎで大学に行くことになる。名前を明かさない紳士を「あしながおじさん」と名付けて手紙を送り続けるが・・・
この小説はほとんどがジルーシャがあしながおじさんに送った手紙でしめられているのですが、この毎回送る手紙が、彼女の視点からみたちょっと辛口なユーモアにあふれていてとても面白いです。作者が子供たちによせる愛情、そして現在でも新鮮に感じられる個性的なユーモア感覚が合わさって胸がいっぱいになりますね〜。私はちょうどジルーシャと同じ年頃なので共感しやすかったのですが、ジルーシャのような些細なことの中に面白さを見つけるという感覚やひたむきな向上心がだいぶ自分から失われている気がするのでいい刺激になりました。この本に出会えて純粋によかったなと思っています。
1912 ジーン・ウェブスター
今更ですが古本をたまたま見つけたので買って読んでみました。よかったです。孤児であるジルーシャは孤児院で長い年月を過ごし、18歳になった今まで子供たちの世話をしながら学校に通って暮らしていた。孤児院の生活にうんざりしていたジルーシャに月に一回手紙を送ることを条件に大学に入れてくれるという紳士が現れ、ジルーシャは大はしゃぎで大学に行くことになる。名前を明かさない紳士を「あしながおじさん」と名付けて手紙を送り続けるが・・・
この小説はほとんどがジルーシャがあしながおじさんに送った手紙でしめられているのですが、この毎回送る手紙が、彼女の視点からみたちょっと辛口なユーモアにあふれていてとても面白いです。作者が子供たちによせる愛情、そして現在でも新鮮に感じられる個性的なユーモア感覚が合わさって胸がいっぱいになりますね〜。私はちょうどジルーシャと同じ年頃なので共感しやすかったのですが、ジルーシャのような些細なことの中に面白さを見つけるという感覚やひたむきな向上心がだいぶ自分から失われている気がするのでいい刺激になりました。この本に出会えて純粋によかったなと思っています。
ダ・ヴィンチ・コード
05/04/28 16:57 | Permalink
★★★★★
2004 ダン・ブラウン著
養老孟司じゃないけどほんと世界中で売れている理由も分かるなと思います。ここまで作り込まれた小説は久しぶりに見た気がします。ま、読んでる冊数自体少ないのですが^^;
なんでも聖杯伝説という近年のキリスト教に関する研究のなかではほっとな話題を元にした小説らしいのですが、そんなことは全く知らなくても楽しめます(というかこういう話題を知らない人の方が楽しめるのかも)。ずいぶんと大胆な内容だなと読んでいて思ったのですが、実際に研究されていることや実在する団体が元になっている部分がほとんどでそれをまとめ上げた作者の努力と執念が感じられます。
この本の作者の意図として、歴史上とられてきた男性の(社会的な)女性に対する意識の問題を取り上げることがあったのではないかと思うのですが、私はこの本で取り上げられていた宗教上の女性観は好ましいと思いません。(これはまた別の機会で)
トムクルーズが主演で映画化されるらしいのですが、この小説自体そのまま映画にしても大丈夫なくらい映画的な要素が多いなと感じました。実際ここまで成功したこと自体、作者のもくろみの一つだったのかもしれません。モナリザのほほえみに作者のしてやったり顔が重なる気がします。
2004 ダン・ブラウン著
養老孟司じゃないけどほんと世界中で売れている理由も分かるなと思います。ここまで作り込まれた小説は久しぶりに見た気がします。ま、読んでる冊数自体少ないのですが^^;
なんでも聖杯伝説という近年のキリスト教に関する研究のなかではほっとな話題を元にした小説らしいのですが、そんなことは全く知らなくても楽しめます(というかこういう話題を知らない人の方が楽しめるのかも)。ずいぶんと大胆な内容だなと読んでいて思ったのですが、実際に研究されていることや実在する団体が元になっている部分がほとんどでそれをまとめ上げた作者の努力と執念が感じられます。
この本の作者の意図として、歴史上とられてきた男性の(社会的な)女性に対する意識の問題を取り上げることがあったのではないかと思うのですが、私はこの本で取り上げられていた宗教上の女性観は好ましいと思いません。(これはまた別の機会で)
トムクルーズが主演で映画化されるらしいのですが、この小説自体そのまま映画にしても大丈夫なくらい映画的な要素が多いなと感じました。実際ここまで成功したこと自体、作者のもくろみの一つだったのかもしれません。モナリザのほほえみに作者のしてやったり顔が重なる気がします。
MOON PALACE
05/04/14 16:59 | Permalink
★★★★☆
Moon Palace Paul Auster著 1997 新潮文庫
この話の主人公M.S.フォッグは両親を失い伯父に育てられた。その伯父も大学在学中になくなり、絶望から自分の人生を放棄していた。生計を立てられなくなった所を友人に助けられ、キティー・ウーという女性と出会い、エフィングという車いすの老人の元で奇妙な仕事をすることになった。そこから偶然に自分の出生の謎に出会っていく、とても不思議な話であった。
ムーンパレスとは在学中にアパートの向かいにあった中華料理やの名前である。この話の舞台となった時代はちょうど人類初の月面旅行がなされたときで、フォッグにとってこの「ムーンパレス」という名の料理店に神秘的な何かを感じていた。以来、彼の生活の生活のそばには常にこのムーンパレスがあった。この本を読み終えて、彼にとって月という存在はなんだったのだろうか?ちょうど月面旅行という歴史的な快挙を人類が成し遂げた時期であったため、彼にとっては未知の夢の世界でも、現実として近くに存在する普遍的世界のどちらでもなかったのではないか。それは実体がそこにあるとわかっていても決して自分が行くことはできない世界であり、絶望の中にもつい夢を見てしまう憧れの様な存在であったのではないか。つまり、彼自身にとって月は明確に定義できるものではなく、実体がつかめず、無意識で追い求めてしまうものであって、漠然とした自分を引きつける存在であったのだと思う。小説の最後に「それ(月)が闇のなかにみずからの場を見出すまで目を離さなかった。」とあるが、この部分に、すべてを失ってしまったが、これから新しい人生を生きようとするフォッグの強い意識が読み取れると思う。
自分はこの小説の中でフォッグのエフィングとのやり取りの部分が一番好きなのだが、自分にはエフィングのような人生をしっかりと見据えた権威ある強い老人に憧れがある。いつか自分が表現したいと思っている人間像にとても近かった。
深く余韻の残るいい青春小説だった。
Moon Palace Paul Auster著 1997 新潮文庫
この話の主人公M.S.フォッグは両親を失い伯父に育てられた。その伯父も大学在学中になくなり、絶望から自分の人生を放棄していた。生計を立てられなくなった所を友人に助けられ、キティー・ウーという女性と出会い、エフィングという車いすの老人の元で奇妙な仕事をすることになった。そこから偶然に自分の出生の謎に出会っていく、とても不思議な話であった。
ムーンパレスとは在学中にアパートの向かいにあった中華料理やの名前である。この話の舞台となった時代はちょうど人類初の月面旅行がなされたときで、フォッグにとってこの「ムーンパレス」という名の料理店に神秘的な何かを感じていた。以来、彼の生活の生活のそばには常にこのムーンパレスがあった。この本を読み終えて、彼にとって月という存在はなんだったのだろうか?ちょうど月面旅行という歴史的な快挙を人類が成し遂げた時期であったため、彼にとっては未知の夢の世界でも、現実として近くに存在する普遍的世界のどちらでもなかったのではないか。それは実体がそこにあるとわかっていても決して自分が行くことはできない世界であり、絶望の中にもつい夢を見てしまう憧れの様な存在であったのではないか。つまり、彼自身にとって月は明確に定義できるものではなく、実体がつかめず、無意識で追い求めてしまうものであって、漠然とした自分を引きつける存在であったのだと思う。小説の最後に「それ(月)が闇のなかにみずからの場を見出すまで目を離さなかった。」とあるが、この部分に、すべてを失ってしまったが、これから新しい人生を生きようとするフォッグの強い意識が読み取れると思う。
自分はこの小説の中でフォッグのエフィングとのやり取りの部分が一番好きなのだが、自分にはエフィングのような人生をしっかりと見据えた権威ある強い老人に憧れがある。いつか自分が表現したいと思っている人間像にとても近かった。
深く余韻の残るいい青春小説だった。