小説国内
西の魔女が死んだ
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2001 梨木香歩
引きこもりの少女と英国人である彼女の祖母との物語。老齢の女性に対する作者の視点と留学経験が大きく現れているであろう作品。暖かい言葉で魔法のように読者の心を包んでくれる。少女の心理の変化の過程の描き方が好きである。引きこもる子供たちに向けた作者のメッセージも含まれているだろうと思うが、少女と同じ目線に立とうとする作者の姿勢と真っ直ぐな作者の言葉が胸を打つ。
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冷静と情熱の間
★★★☆☆
2001 辻仁成、江國香織
二冊との読みました。一つの恋愛を通して2人の視点から全課程を眺める事ができるというとても新鮮な体験ができました。そしてやはり自分は男なのだと実感しました。笑
穏やかな生活と情熱的な恋愛。よく対比されるテーマですよね。そのうち機会があったら映画も見てみたいと思います。この小説をどういう風に切り出したのか興味ありますね。
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夏と花火と私の死体
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2000 乙一
これほどあざやかな短編は今までに読んだことがあっただろうか。技巧的な面とアイデアでは完璧といってもいいのではないかというくらいあざやかな作品である。十代でこんな小説が書けるなんて何て才能だろう。といっときながら★が四つなのには理由があるのだけども。もしこれを文学と呼ぶようになったら日本は終わりな気がする。
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母なるもの
遠藤周作
日本に初めてキリスト教が伝道され、土着してアニミズム等と混ざりあって形を変えてゆき、特有のマリア崇拝を作り出した当時の日本を舞台とした物語の短編集。ついさっきみた海猫にもそんな一面が現れていた。恥ずかしながら遠藤周作の著作を一冊すべて完読したのは初めてである。当時の日本におけるキリスト教について学ぶにはちょうど良い作品である。作者の物語の誘導が少々強引である気がしないでもないが、教徒の立場から考えるとこの作品にあるような見方ができるという事はうなずける。とりあえず海と毒薬くらいは読まねば・・・
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だれかのいとしいひと
★★★★☆
2004 角田光代
これまた短編集。軽い本を読むのが大分飽き、文学の研究書や実用書の方に走っていたのだが、最近また戻りだした。これも少し前に読んだ本なのだが、もうすこし知的な要素が欲しいと物足りなさを感じもしたが、角田光代はなかなか面白いところに目がいく人であるなと感じた。題にもある短編「だれかのいとしいひと」が私の好みに一番近かった。(これを題材にシナリオとコンテの練習をしようかな)一言で言ってしまえば何ともない風景で終わってしまいそうな日常だが、そこをうまく汲み取り、詩的にまとめたところがいいな。内容には関係ないが、表紙の酒井駒子の絵がいい。
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象の消滅
★★★☆☆
2005 村上春樹
結構前に読んだので大分おぼろげになっているのですが、村上春樹は短編の方が書いている量が多いのですが、私はこの本で初めて触れました。とはいっても長編でも短編でも独特な文体と雰囲気は変わらずで同じように楽しめました。特に自分は「象の消滅」と「沈黙」が気に入ったのでこの二作は読み返してみました。どちらも海辺のカフカに近い面白さがあるように感じられ、考えると、この二作にあるような春樹文学の魅力が海辺のカフカで大分洗練されたのではないかと感じました。と、そんなことが断言できるほど彼の本は読んでないのですが・・・象の消滅は不可思議なストーリーの中に不思議な喪失感を感じましたし、沈黙は自分には心に突き刺さる台詞がありました。その台詞も今は忘れてしまいましたが・・・
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阿修羅のごとく(シナリオ)
★★★★★
向田邦子
去年だったか映画化されたのを機会に原作を読んでみた。原作と言ってもシナリオだったのだが、四人姉妹の描き方、シナリオの構成がとてもすばらしかった。とはいえ、既に30年の月日が経っているため、現在とは男女の理想像や生活面での役割がずれがあるためドラマとして今茶の間で放映される訳にはいかないと思うが、ここまで深みのあるドラマの作品なんぞ今のテレビではまず目にする事は無いだろう。 といっても自分はほとんどテレビは見ないので実際のところどうなのか断言はできかねるのだが、機会があるごとに数分今のドラマをみるだけでもテレビドラマの内容はまるで色とりどりなパプリカのようで外見はカラフルだが中身は空な気がしてならない。別に娯楽に堅苦しいものは求めようとは思わないが、視聴者が見たいと思うものを見せることに終始しているようで、作品としての面白さはまるで感じられないのだ。まあパプリカの中が詰まっていても重たくて疲れるだろうな。
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蛇行する川のほとり
★★★★
2004 恩田陸
恩田陸の著書は初めて読みました。かなり人気の高い作家ですが、一冊読んだだけでどうしてそういわれているのかがわかった気がします。作品への読者の引き込み方が鮮やかです。この本は3つのシークエンスにわかれていて、それぞれ別に文庫化もされていたのですが、それを合わせた酒井駒子の表紙の単行本が販売されている事を知りそちらを購入してみました。ちょっと背筋がゾクっとする気分を味わいながら、深い余韻を残させる面白いストーリーでした。なによりこの読みやすさがすばらしいですね。
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スプートニクの恋人
★★★★
2001 村上春樹
村上春樹の小説は型にはまらない独自の世界観を作り上げているものがよくあり、その世界観を読んでいて共有出来るところがすごいなと思います。(といいつつも私はスプートニクについて全く知らなかったりと比喩を自分の感覚でおぼろげにつかんでいるだけですが)村上春樹の小説は思春期〜青年期の少年を主人公としている場合がほとんどなので、他の登場人物と主人公との距離の捉え方や物事を考える過程に自分と近い物を感じるからなのかもしれない。これは女性だと全く違った捉え方をするだろうと思う。普段から自分がもっている世界の捉え方や心理的な感覚を共有出来ているなと感じる点では、自分の中では唯川恵の小説と似たようなものでもある。
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水曜の朝、午前三時
★★★★★
2001
蓮見圭一
…結局のところ、人は誰でも小さな世界に生きているのです。そこがよき世界であれば幸いですが、そうでなければどうすればいいのでしょう?そして、もしそこが個人の努力や決断では抜け出すことのできない場所であったとしたら?実を言うとこれから私はそのことについて書こうとしているのです。(本文引用)
この本を読んでいてまず思ったのが作者は本当に男なのかということ。小さな描写や表現の仕方がとても上手です。主人公の直美の生きてきた中で感じたこと、体験した事が鮮明に浮かび上がってくる気がします。ただ、告白テープの最後にくるまで、直美が彼女の人生を語る中でどのような結論に向かっているのかがわからず、作者の文才のためか、文中のいろいろな印象的な表現に気を取られているうちに物語をちょっと見失ってしまっていたかなと感じます。まあ、人生を通して人が変わらないでいるわけはありませんし、思い出話しなんてあちこち話が飛んでいってしまうものではありますが。
人は皆ちっぽけな世界に生きている。確かにその通りだと思う。直美が市の直前に吹き込んだテープには痛いほど感情がつめられている。だからこそこんなにも心にこたえるのだろう。
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肩ごしの恋人
★★★★
2001 唯川恵
なかなか面白い本だったと思う。主人公である二人の女性、萌とるり子を中心に話が進められていくが、二人の心情の変化がよくわかるストーリーだった。恋愛小説というよりは恋愛観小説といえるほど、萌とるり子が恋愛に対しどう向き合っていくかを中心に描かれていた。
この本を読んでまず思ったのが女性の描き方が生き生きとしていて、リアリティがあるという事。そして、作者の主張が強いというか、この本を通して作者が「私はこう思うのだが皆はどう思うのだろうか」という問いを投げかけているようにも感じ、読者が作者の考えを理解して、自分の考えはこうだという事を考えさせるように作られているのではないかと感じた。この本の面白いところはどこかといわれると、ストーリー自体に特別な面白みはないし、文学的な面白さもそれほど感じられなかったのだが、むしろ作者は恋愛に対するスタンスを大人っぽく、魅力的に描くことによって読者の共感を誘うことを念頭に置いていたのではないかと思った。実は自分がこの主題で一つストーリーを作ろうと思っていた事がこの本でベストといっていい形で描かれてしまっていたので、ネタが一つへって少し悔しかった。
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となり町戦争
★★★☆☆
2005 三崎亜記
なるほど、面白くまとまってる話だなとは思いますがそこまで絶賛されるほど面白いものだろうかという疑問も。確かに自分のような若い世代が潜在的に感じ取っている戦争の意識というものをうまく描写できているかもしれないとは思う。(少なくとも作者が描こうとした感覚を共感できる。)でもそこまで「すばらしい!」と叫べるほどの衝撃は受けなかったなあ。
この小説はまずとなり町と行政主体になって戦争を行うというアイデアがいい。戦争の全貌と実態が見えず、身近で戦争が起きているはずなのにとても遠いところの出来事のように感じる主人公の当惑が滑稽に、あざ笑うかのように描かれている。堅い行政側の職員たちとそれとは対称的な取りつく島もない主人公の噛み合なさがまたいい。
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斜陽
★★★☆☆
s25 太宰治
今更ですが、このコーナーは読んだ本順にコラムを書いてるのでいろいろな年代のものが不規則に並びます。「没落貴族の家庭にを舞台に、真の革命のためにはもっと美しい滅亡が必要なのだという悲壮な心情を、四人四様の滅びの姿のうちに描く。」(背表紙より)この本を読んで第一に感じたのは太宰治は流行作家だったのだなということ。戦後という時代の変わり目に生きた人々にとって多くの共感を呼んだのだろうとは巻末の解説を読んでわかるのだが、登場人物が生きていた時代をうまく想像できないのでほとんど共感できなかったというのが率直な感想だろうか。まず疑問なのがここでいう「革命」とは何かということ。作中では「道徳革命」という言葉が出ていたが、かず子の社会通念に大しての反抗なのか、それとも政治的にいう革命に対するメッセージなのか?広辞苑によると「従来の被支配階級が支配階級から国家権力を奪い、社会組織を急激に変革すること」とあるので、上の二つは根底では類似したものなのかもしれない。太宰治の略歴を読むと、驚くほど登場人物に自己が内在されているのがわかり面白い。
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Missing
★★★☆☆
2001 本多孝好
本多孝好の著書はFine Daysに続き2作目。大体この人のスタイルは分かってきました。自分は「瑠璃」が一番入りやすかった。ありきたりではあるんだけど、ちょっとした描写で引き込まれてしまいます。その引き込まれてしまうちょっとした言葉が自分にとってのこの作家の魅力であるような気がします。こういう話女性はどう読むんですかね。男性からみた女性像って気がしなくもないな。「彼の棲む場所」なんかも心理の描写にリアリティがあってぞくっとしますね。
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海辺のカフカ
★★★★☆
2002 村上春樹
村上春樹の本は初めて読みました。簡単にいってしまえば家出した少年の成長物語なのですが、それにしてはずいぶんと奥深く大人びたストーリーになっています。深く掘り下げられた話題が多く、難解ではありますが、作者の考え方が面白く、また展開や物語の誘導の仕方が鮮やかで読む人を飽きさせません。まだ理解できていない部分もままあるので、少し期間をあけて再読してみようかと思います。
村上春樹は本を執筆するとき、1日に原稿用紙10枚のペースで習慣的に、また、頭の中で展開していくストーリーについていくように書き進めるのだそうです。それから自分は絵コンテを描きながらストーリーを練り上げていく宮崎駿の作法を思い出したのですが、宮崎駿は小説を書くという感覚に近い感覚で映画を制作しているのかもしれません。もう一読してからもっと掘り下げて感想を書こうかと思います。村上春樹の著書をこれからもっと読んでいこうかな。
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天使のラストメッセージ
★★★☆☆
2004 松原 ななみ
看護婦(士)をする上で幾度か人の一生の最後に立ち会った作者が、患者やその家族との患者が天に旅立つまでの出会いから得た心のメッセージを綴った作品。
詩の部分は言葉からストーリーが掴みにくく若干分かりにくい気がするが、作者が看護婦(士)としての経験を通して感じたことが赤裸々に語られているので現場で患者と対応している作者の心情がありのまま伝わってきた。人生の転機にはドラマはつきもの。特に死は本人にとっても生き続ける側としても永遠の別れ。そこに居合わせる看護婦(士)はたとえ赤の他人の死であっても、患者の生の中でも最も劇的なドラマのある瞬間に立ち会うことに、また人の死に否応なく頻繁に接するため精神的につらい仕事であるとつくづく感じました。
いつ死が襲ってくるか分からない中でその時を意識せずに暮らすのではなく、死を常に意識しながら自分と向き合って生きていくことの大切さを学べた気がしました。
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精霊のいた街
★★☆☆☆
2004年 早坂真紀
自然を子供の純粋な感性で描いた作品。三人の別々の境遇の少女の自然の捉え方、精霊との出会いを描いている。この三人の少女は都心から離れた片田舎に住み、家が隣同士。千春は病気がちで窓から雑木林を見て過ごし、涼子は日々ピアノの稽古に追われ、香菜は東京が好きで今住んでいるところにうんざりしている。
大人になるにつれていつも橋を渡る川、近所の小さな草原、家の裏の雑木林などに目を向けることもなくなり、神秘的なものを感じることもなくなってしまうものだが、子供の時に自然と接して感じたことをいろいろ思い出させてくれる話だった。角度を変えて物事を見ようとすると、どんなことでもそうだがいろんなものに気づき、また、見えてくる。あの感受性が豊かだった時に戻りたい。笑
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FINE DAYS
★★★☆☆
2004年 本多孝好著
FINE DAYS、イエスタデイズ、眠りのための暖かな場所、シェードと四つの短編集。自分はシェードが一番好きだ。恋愛小説であることに代わりはないが、どの短編も出会ってからかなり時間が過ぎ去った後に感じた、つらさ、悩み、空しさ等の感情を中心に話が進んでいる。シェードは以前に愛する婚約者を亡くした女性と、その女性に思いを寄せる男の話だが、男は、その女性が亡き婚約者を思い出すような遠い視線をすることにつらさを感じている。その女性は自分が居なくとも幸せになれたこと、自分に対して寄せる思いは自分だけのものではないこと、それに対する男の苦悩がよくわかる。沈んでいた心にぽっと小さなろうそくの火がともるそんな小説だった。
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電車男
★★☆☆☆
このコーナーの初めてのコラムがこれですか・・・といいたくなってしまう。
今までには描かれることの無かった恋愛の形を描いた本。読んでいて新鮮味があり、あつくなる本だった。結構引くけど。
自分としては読んでいてかなり疑問がのこる。赤の他人に自分の大切なことを打ち明け、それをいかにも親身になって相談にのるかのように相手をする。このこと自体が自分にとっては信じられないことだ。
気軽さ、手っ取り早さ、人とコミュニケーションをとることの煩わしさ、浅い人間関係。インターネットなど、顔の見えない人に対して、人は何を求めているのか、それが自分には理解することができていないと思う。
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