ポスターカラーの知識
デザイン用の絵の具と言えばポスターカラーとして、デザイナーのシンボルのようにデザイナーの机の上に並べ
られたポスターカラーも最近では、全色そろえている画材店もあまり見かけなくなりました。これは1976年アップ
ルコンピューター(MAC)が登場し、1984年ごろになると日本でも普及するようになり、デザイナーがポスターカ
ラーを使用せず、ほとんどの仕事をMACで行っているためポスターカラーが売れないためです。1980年代後半と
もなるとデザイナーのシンボルはMACとなり、現在では原画・版下はMACで制作し圧縮して印刷会社に送信入
稿するため、ポスターカラーは使用されなくなってきました。 現在デザイナーのシンボルと言えばMAC・adobe
(イラストレター・フォトショップ)と言える出しょう。
ポスターカラーは、5年ぐらい前までは全国の中学校でよく使用されていたものです。現在は学習指導要領では
「材料・用具の生かし方として,水彩絵の具を基礎とし,その他ペン,パステル,ポスターカラー,色紙などがある。」
とされています。本音を言えば、IT教育としてデザインに取り組めと言いたいのでしょうが、ほとんどの公立中
学校では、財政難や無理解からハード・ソフトとも無く現在に至っている。現在では中学校で使われるのは水彩絵
具で、ポスターカラーはあまり使われなくなってきています(はずです。)。現在の中学校学習指導要領ではスケ
ッチの指導が明記されてますが、デザインではスケッチをスキャナで読み取りイラストレーター(コンピューター
ソフト)上で加工すれば良いのですから、ポスターカラーをむら無く塗るといったテクニックは、現在プロのデ
ザイナーでも出来ない人もいるそうです。
ポスターカラーの歴史を見ると、ポスターカラーは日本で考え出されたものです。完全な不透明、安価、安定し
た品質を持ったポスターカラーは、1925年図案用絵の具として文房堂から製造販売が始められました。この文房堂
でポスターカラーの製造をしていた伊藤一三氏が1950年10月新たに絵の具会社「ニッカー絵具製造所」を設立し、
それまでポスターカラーには使用されたことがなかった高級な顔料を使用し、ポスターカラーの製造販売を始めま
した。大阪でも同じころ、松村健三氏が「ターナー色彩株式会社」を設立しポスターカラーの製造販売始められて

ニッカーポスターカラー ターナーポスターカラー チューブ入りのポスターカラー
います。ポスターカラーは当時、印刷の原画や版下を制作するのに使われ、図案家(グラフィックデザイナー)を
目指す人たちが、デザインの勉強のために使用しました。高品質のポスターカラーの販売エリアの関係から関西と
関東では使用するメーカーが違っていたようです。(実際、70年代ポスターカラーについて書かれた本に出てくる
ニッカーのポスターカラーは関西では販売されていなかったようです。)
1970年ごろになると美術大学(芸術大学)、専門学校、高校の図案科などでデザイン教育が盛んになってきまし
たが、関西の学校と関東の学校では使用するポスターカラーは違っていたようです。
ポスターカラーは、現在でもニッカー、ターナーの2社は60色程度を販売しています。ポスターカラーを使うに
は基本である「ムラ無く塗る。」練習をすることになります。使用する紙は、ケント紙が良いでしょう。このポス
ターカラーをぬる練習には、個人差がありますが多量のポスターカラーが必要なため、費用がかなりかかります。
また、中学校の美術の授業では、ポスターカラーの質により成績に影響がでる場合があるため、一般に美術の教師
はニッカーかターナーを使用しているはずです。同じ人が作品を制作した場合を考えると、色数を多く持っている
ほど良い作品が作れる可能性が高くなります。ポスターカラーには、ビン入りとチューブ入りの物がありますが、
1970年はターナーのポスターカラーはガラスビン入りでした。数年後現在のようなプラスチックのビンになりまし
た。チューブ入りは、ポスターカラーが、中学校などで使われ出した頃から登場したと思います。
参考文献
「ポスターカラーで描く」菅沼 完 美術出版社
「驚異のポスターカラーテクニック」南雲 治嘉 著 MPC