Clubman1988.8 P29より

◆進化する単気筒。グース完成まで
 ここにある冒頭の写真を見て御存じの方は、かなりコアなシングルファンだ。一応説明すると、このバイク、当然グースでもなく、ジレラ・サトゥルノでもない。ヤマハSRをベースとしたシングルレーサーである。
 掲載してある雑誌はキャプションにある通り、Clubman1988.8。記事によると、この革新的フレーム構造をもつSRレーサーがTSOS@SUGOに現れたのは86.9.22とある。設計者は「萩原直起」氏。ジレラ・サトゥルノの設計者でもあり、グースのデザイナーである。

 
Clubman1988.8 P29より

「一見頼りなげなパイプフレームで構成されたこのシャシーは、実は高い剛性を獲得しており、その軽さとあいまって高密度なコーナリング能力を備えていた」
 「エンジンは一見ダイヤモンドタイプに見えるフレイムに抱きかかえられているにすぎない。つまりクランクケースはストレスメンバーとしての役目を負わされていないのだ」(以上Clubman1988.8 P29より)

 この写真を古本屋で見つけた時はさすがに驚いた。インターネットでグースのオーナーたちから、グースのデザイナーとジレラ・サトゥルノのデザイナーが同じ人だとと教えられてはいたものの、発見の衝撃で背筋がぞくぞくした。絶対的な証拠を手に入れて、永年心の中でつかえていた何かが氷解した気分だった。
 この写真を見て感じることは、やはりオリジナルは美しく凄みがあるということ。車体の基本構成やシルエットからグースはその血統を受け継いでいることがわかる。このSR改を頂点に、サトゥルノとグースは三角形の底辺2点を形成している感じだ。このSRからサトゥルノはサトゥルノなりに、グースはグースなりに進化していることが見て取れる。グースの、スーパーグースやRとは異なる完成系がここにもあると自分なりに発見できたことが嬉しい。

 ある雑誌でグースのことを「ジレラ・サトゥルノのコピーじゃん」と答えていた人がいた。ボクもグースを見た時、やはりそう思ったものだ。しかし、実際はそうではなかったのだ。サトゥルノもグースも、同じ設計者の目指す理想の具現化にすぎず、どちらがコピーという問題では全く無い。しかし残念なのは、雑誌がジレラのコピーであるようなことを記事として伝えてしまったこと。ClubmanにしてもBikersStationにしても、このグースの原形のことやサトゥルノとグースの関係を正確に伝えようと思えばできたはず。おかげで、原点であるこのSRの存在を知らず、中途半端な知識でグースを見ていたボクはすごく損していたような気がした。ジレラに対する無意味な引け目は、この雑誌の記事を見るまでなかなか氷解しなかったのだから。

 その後、このSR改がどうなったかは知らないが、まだどこかに現存するならぜひ見てみたい。ナンバープレートを取得して公道を走ることもいまでは可能なはず。いや、それとも夢は夢のまま終わらせておくべきか。

 

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