2005.1.16

●「王様のイス」を、作っていました.

まず見てください.先日のSnowPeak崩落以来、これが現在の私のパソコン用のイスです.

座布団5枚重ねはさすがにあまりにも安定性に欠けるので、座布団ケースに4枚+1枚にして座っています.それでも机があごの高さくらいまでしか来ません.子供が電車の窓から外を見ているような感じの姿勢です.

これは、非常にきついです.とくに、思考とか、創造とか、研究とか、そういった感じのことをイメージさせるような、いわゆる頭を使う作業には全く向いていません.ということで、イスを作ることにしました.

なんで「イスを買ってくる」という考えにならないかというと、

  1. 世の中のイスは大体作りが安っぽくてイヤだ(一枚板に見えても、ベニヤに紙を貼って、中は空洞なんて絶対イヤ).
  2. 私のイメージにピッタリのイスなんてほとんど売っていない.
  3. もし売っていても、目玉が飛び出るくらい高い.
  4. 何でも自分で作るのが好きだから.

まあ、大きくは4番ですね.で、イスを作ることにしたのですが、これが結構大仕事.

  1. 大きな作業は土日の2日間で終了したい(ただでさえ散らかっているのに、作りかけのイスの部品が部屋の中に散乱したまま1週間を過ごすのはイヤというか、ほとんど不可能だから).
  2. 材料は安くすませたい.
  3. しんどいのはイヤ.
  4. 気に入ったものを作って、長く使いたい.

ということで、まずは、使える材料の確認です.材料は近所のホームセンターで入手するのですが、再々申し上げますとおり、田舎なのでろくなものを売っちゃいない.ですから、あらかじめホームセンターに行って、どんな寸法の木材があって、1本いくらかを下調べしてきます.それから設計開始です.

さて、設計の段階では、材料の使用数や値段はもちろん、カット数をいかに少なくするかとか、組み立ての手順とか、組上がった時の誤差をいかに少なくするかとか、いろいろなことを考えに入れて図面に落としていきます.当然、私専用のイスなので、私の身体的特徴も加味します.あと特に考えたのは、

  1. 今使っている座布団が座面に入ること.
  2. 背もたれは、頭をホールド出来る高さまであること.
  3. 座面の上であぐらがかけること.
  4. 肘掛けと机の天板の高さを近くすること.
  5. 軽くないこと(っていうか、私の作るものはいつも強烈に重たい).
  6. 後々の拡張性を加味すること(既に現在、改造第1弾の構想中).
  7. イス以外の使い方も出来るようにしておく.

で、平日に図面を考えて出来たのがこんな図面です.


いつもの通り、SPF材を使って作ります.半分くらいの材料は今手元にある半端材です.側面に使う板なんて初めて使ったのは今から14年くらい前です.私が会社の寮に入った時に作った棚の棚板です.それが、関東に移動した時には机の天板になって、こっちに戻ってからは、19インチディスプレイを支えるために2枚重ねで使われて、先日の「爆風ファン」設置の際にお役ご免となって半端材になったものです.14年も前のものが今になっても立派に新しい製品の素材として使われるなんて、木材ってすごいと思います.まあ、法隆寺みたいに本気を出せば何千年でももちそうなものもありますから、14年くらいは当たり前かもしれませんが.それから考えると、技術の最先端といいながら数年で寿命が尽きていく家電製品(テレビとか洗濯機とか)は、ちょっと悲しいですね.愛着がわく前に死んでいってるみたいで.

古いもの自慢でいえば、私が17の歳で初めてバイトして買ったレッドウイングのアイリッシュセッターは今も現役です.もう何回もソールを張り替えましたが、革はしっかりしています.買った時は、まさか20年ももつとは思いませんでした.

さて、ボチボチと材料の加工、組み立てをしていきます.

イスの側面を作る部品です.今回のイスでは、一番強度を要求される部分であり、また、精度も必要です.この部分がいい加減だと、全体がガタガタになってしまいます.
板は当然そっているので、木工用ボンドを塗ったあと、ハタガネでがちがちに固めて接着します.お互いの板のそりをお互いが矯正し合うようにします.
左右の側面板の張り付けの様子です.奥に見えるのは、先日崩落したSnowPeakのイスです.
側面板に背もたれを固定するフレームとなる柱を接着します.これもそりが出ないようにハタガネを使います.作業をする場所がないので、廊下を作業場にして組み立てています.
背もたれの板を取り付けるための柱を接着します.そりを打ち消すために、左右の柱を一緒にしてハタガネで固定しています.
座面の板を固定する柱を取り付けます.一応、水準器を使って水平を出しています.
水準器、水平です.
ここで一気に作業が進み、背もたれの板と、座面の板がつきました.イスの形になってくると、子供たちが「王様のイスみたいやー」といって喜んで遊んでいました.しばし作業中断です.
飽きっぽい子供がいなくなったところで、脚を取り付けます.ハタガネを使っていますが、ここはネジ止めです.ネジ止め最中にでも1mmでもズレが生じると、ガタガタのイスになってしまうため、ネジしめ前にハタガネで固定しています.
手すりの板を付けると、イスの形はほぼ完成です.
座布団を置いてみました.測ったようにすっぽり収まります(実際測って作っているんだから).
あまりに大きいのでこれくらいさがらないと全体が写りません.
パソコンの前に設置すると、こんな感じです.
さてここで、背もたれの裏に、真鍮製のこんなフックを取り付けて…
いつも脱ぎっぱなしにしている通勤用のダウンジャケットを掛けます.
同じく側面には、通勤用のデイパックを掛けます.そういえば、このデイパックも10何年も使っていますねぇ.
右手側面にはテーブルタップを固定します.半田付けなんかをする時に半田ごての電源を取るのに便利です.
左上からはフレキシブルタイプの照明がつくようにします.いままでは半田付けなどの作業をする時に、手元が暗くなって困っていた(歳のせいで目も弱くなっている)のですが、これでばっちりです.
ここで、ちょっとした問題というか特徴ですが、このイスは非常に重たい.多分15Kg位はあるので、一度設置すると、移動するのは大変です.ところが机と肘掛けのすき間は10cm位しかないのです.このままではイスへの出入りが出来ないのですが…
私の机はスライド収納式なので、机を収納して、イスから出ると.普通はイスを引いて立ち上がりますが、うちの場合は机を引いて立ち上がると.逆になってしまいました.

こうやって見ていくと、いかにも計画通り、何の間違いもなく、理路整然と誤差の発生もなく作業が完成したように見えますが、そんなことがあるわきゃ〜無いでしょうが.なんだか木の向きが逆だったり、ネジをしめ込んでいったら木が割れてしまったり、まあ色々なことが起こります.でも、私のポリシーは「基本は現物合わせ」.出来てしまったものはしょうがない.それに合わせて完成予想図を適当に変更しながらの作業です.ということで「図庫」の図面とは微妙に違うものが出来上がってしまいました.

また、誤差が出そうなところは最初っからいい加減にしておく、という手もあります.例えば…

座面を取り付けるための柱ですが、よく見ると、おしりの部分がはみ出しています.ここは垂直に対して斜め4度カットという難しい部分です.座面の先端をmm単位で合わせようと思ったら、おしりの部分のカットをピッタリ正確に行うのは至難の業です.多分、東急ハンズの木材加工コーナーでも無理でしょう.
でも、完成品はちゃんと斜めカット出来ています.完成してからノコギリで切ったんです.こんなふうに、ボンドで接着してからとか、完成してから現物合わせで切った箇所は6カ所くらいあります.細かいところでは、彫刻刀で削って微調整をしたところもあります.本職ならきっとカンナかノミで仕上げるのでしょう.本職が彫刻刀で削っていたらシャレになりません.けれど素人には素人だけに許された技があるのです.

そんなこんなで出来上がったイスですが、座り心地は至極上々.これでさらに優雅なパソコンライフを送れること間違い無しです.

しかし、この巨大なイスを入れるスペースを確保するため、ただでさえ混沌としていた部屋の中は、さらにゴチャゴチャになり、しかも、新たに増えた半端材の置き場やら何やらで、イスの後ろ側、部屋の半分はほとんどゴミだめ状態になってしまいました.何とかせねば.

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