2003.12.5
●coregaがはぜた!
coregaがはぜた!
久しぶりに、ちょっとショックを受ける出来事でした.
Giga Dualの実力を調べる意味もあって、少し負荷をかけた状態でのことでした.
高負荷時の使い心地を試すため、年賀状を作っていたのです.まず、クラッシック環境でIllustrator 8.0を起動して、曲線パスをいくらか書いて、そのパスに沿って文字を流し込んで簡単なイラストを作りました.それをPhotoShop CSで読み込んで(印刷用なので、解像度は720dpi、ちょっと高めです)、iPhotoを起動して子供の写真をPhotoShopに取り込んで、トリミングをして合成して輪郭線にぼかしをかけたりして、全部で8レイヤーくらい、80MBくらいのファイルサイズでした.ここまでの作業は特にストレスもなく、快適に動作していました.で、ファイルを保存した後で、ためしに印刷をしている途中に、異変が起こったのです.
作業のバックではずっとiTunesが音楽を流していました.プリンタが「ヒーヨン、ヒーヨン」動作していました.その時のCPU負荷率はほぼ200%に達しており、エプソンのプリンタユーティリティってけっこうアホな作りになっているんだなと思っていました.
突然、画面がブラックアウトし「No Signal」の表示.プリンタが動作停止.CPU負荷率がずっと高かっただけに、「ついに来るものが来たか〜」と思ったのですが、伊達に電気屋を10何年もやってはいない.電気品のトラブルへの対応は時間との勝負.iTunesの音楽が聞こえる.ってことは画面が出ていないだけでCubeは生きてる?多分.なら、coregaのCPU切換機の異常か.切換機を見ると、CPU1が使用中のはずなのに、CPU2の方のLEDが点いている.CPU2にはDOS/V機がつながっており、電源はOFF.じゃあ画面が出ないのは当然.ただ、CPU1のLEDも中途半端な明るさで点いている.これはちょっとおかしい.でも、Cubeの無事な画面が見たい気持ちが先走って、反射的にCPU切換ボタンを押してしまった.そのとたんに…
バ〜ン!
あぁ、聞き慣れたイヤな音.あの湿った感じの破裂音は電解コンデンサの破裂音.ということは、原因の第一候補は異電圧の印可.このままでは弱いところから連鎖的に破壊が進む可能性がある.iTunesの音楽はまだ続いている.私は左手でCubeをひっくり返して、右手で電源コードを引っこ抜いた.他に電源が入っているのはプリンタとUSBハブ.異音は?、無い.異臭は?、する.難燃性の材料が無理やり焦がされたような臭いがする.基板かモールドが焦げている.煙は?、coregaから煙が出ている.いや、これは蒸気だ.多分、電解コンデンサの電解液が蒸発している.coregaはケーブルがごっそりと付いているので、重さで移動しないように、強力な両面テープで机に固定してある.私は両手で力いっぱいcoregaを机から引きはがした.そして、ACアダプタからの電源ケーブルを引っこ抜いた.これで恐らく一段落付いただろう.破壊はどこまで進んでいるのだろうか.Cubeは無事か.Giga Dualが原因なのだろうか.
とりあえず、coregaをバラしてみることにしました.バラしている最中にも、筐体の中から「カラカラ」と音がします.モールドが割れているのか、基板が欠けたのか.それにしても強烈にくっさい.異臭に気が付いて、家族も集まってきました.幼稚園に行っている上の子は、ハンカチで口を押さえながら、しゃがんで歩いています.「煙が出て臭い時にはこうしろって、幼稚園の避難訓練で習った」と言っていました.訓練が実践で役に立っています.
| corega分解の図.基板は2枚構成で、1枚目の基板でICが焼損していました. | |
| 2枚目の基板を見てちょっとビックリ.電解コンデンサが、完全に爆発しています.コンデンサの内容物が飛び散っています.こんなに激しい爆発を見るのは初めてです. | |
| ケースの内側にも電解コンデンサの内容物が飛び散っています. | |
| カラカラいっていた原因はこれ.電解コンデンサのアルミケースでした.変形はほとんどありません. |
これだけ派手に爆発していれば、くっさいのも当然です.電解コンデンサの位置はACアダプタの直近であるため、外部電源の1つ目のパスコンだと思われます.つまり電源系に異電圧がかかってパスコンが飛んだということでしょう.しかし、coregaの電源系は結構複雑です.CPUが2つつながるようになっているのですが、それぞれのUSBバスから、バスパワーをもらって動作することが可能になっています.そして、ACアダプタを接続した場合は、セルフパワーで動作します.そして、セルフパワーの場合は、4つあるUSBバスにバスパワーを供給することが出来るようになっています.つまり、電源系が4つもあるんですね.これじゃ、どこが原因だか特定することは、ほぼ不可能でしょう.とりあえず、coregaの内部を詳しく観察して、原因特定の手がかりがないか調べてみることにしました.
ということで、かなりの勢いで爆発しています.異電圧源として考えられるのは、CubeのUSBバスか、coregaのACアダプタかですが、Cubeの動作テストをしたところ、本当に幸いにも、故障箇所はありませんでした.Giga Dualのせいではなかったわけです.
となると、疑わしきはACアダプタ.こんなもの壊れたなんて話は聞いたことがないのですが、一応テスターで出力電圧を測ってみると、約7V.背中にはってる仕様によると、5V出力のはずなのに、変ですね.試しにACレンジで計ってみると、AC18Vくらいをメータが指しています.ただに、このテスターは本当に古い、原始的なものなので、本当にAC18Vが出力されているとは限りません.こういう時に「家にデジタルオシロがあったらなぁ」と思うのです.本当に3年か5年に1回くらいの割合で、オシロが家にあったっらいいのにと思うことがあるのですが、そんな頻度でしか使わないものを買っておくのももったいないし、でも、無いと困る時には本当に困るんですよね.で、考えていても何もわからないので、ACアダプタを分解してみることにしました.
大きさに対する重さや出力仕様(DC5V2.1A)から、スイッチング方式であることは明らかです.しかし、完全密閉型で、ネジ穴も見あたりません.ケースを割ってみると、接着剤で固定されていました.故障した時に直すということは考えられていないようです.そして、内容を調べるうちに、電気屋の私としては、常識を覆されるというか、カルチャーショックというか、とにかく、結構衝撃的な事実を見ることになるのです.
電解コンデンサの寿命は、通常1000時間とか2000時間とかです.ACアダプタなんて24時間コンセントにささっているものですから、1000÷24=42日.たった40日程度で寿命が来るのです.
しかし、これは、仕様上の使用温度範囲の最高温度で使った場合のことで、アントニヌス様だかアレニウス様の発見した法則で、温度が10℃下がると寿命が2倍になるという法則があります.
使用していたコンデンサは全て105℃品だったので、室温25℃で使用した場合、寿命は105℃と25℃の差が80℃なので、2の8乗倍、つまり、256倍に伸びます.ということで、42日だった寿命は実は42日の256倍である10752日、約29年になります.これだけ持てば十分ですよね.という具合に、電解コンデンサの寿命は非常に短いのですが、使用温度との差でアレニウス様の法則を使って、実質の寿命を伸ばしているわけです.
ところがです.使用環境との温度差で実質の寿命をのばしている電解コンデンサが、熱くてたまらない放熱板に接着されているのです.電解コンデンサなどの大きな部品は振動に弱いため、シリコン樹脂やボンドで機械的に固定することは良くあることですが、よりによって放熱板に固定するなんて、非常識もはなはだしい.ちょっと普通では考えられません.
放熱板は熱くてたまらない部品を冷やすためのものですから、普通はとても熱くなります.今回のACアダプタは完全密閉型でしたが、多分、55℃くらいにはなっているでしょう.電解コンデンサは105℃品でしたから、その寿命は105℃と55℃の温度差が50℃なので、1000時間の2の5乗倍、つまり、32000時間、約1300日、大体3年半で寿命が尽きます.こりゃちょっとどうしようもないですね.
そのほかの機器が全て正常に動作していることからも、今回の爆発の原因は、ACアダプタの故障がcoregaに異電圧を印可し、最終的にコンデンサの焼損に至ったと結論付けしました.
しかし、製品として売っているものにも、あんなにいい加減な作りになっているものがあるなんて、ちょっとショックです.何を信じて商品を選べばいいのかわからなくなってしまいます.
私のGiga Dualも1週間やそこらの動作試験でOKを出すのはどうかと、考えさせられる出来事でした.
ついでに、10年くらい使っていたテレビの調子が悪くなったので修理に出しているのですが、メーカから連絡があり、基板上の電解コンデンサが劣化して液漏れをおこしているので、基板ごとごっそりと交換しなければならないということでした.
なんか、電解コンデンサにたたられているような感じです.
2004.12.25
追記.
コレガから回答がきました.最初は「破損した商品を送ってくれ」といわれたのですが、「爆発した電解コンデンサが臭くてたまらないのですぐに捨ててしまって、現物は無い.私のホームページに詳細な写真が出ているのでそれを見てわかる範囲で回答をして欲しい」と連絡したところ、2日ほどで回答がきました.大手メーカとしては、結構ひょうしぬけするほど迅速な対応です.回答内容は次の通りです.
●回答
日頃より弊社製品をご利用いただきありがとうございます。
ご回答が遅れまして、誠に申し訳ございませんでした。
実物を拝見しておりませんので頂いたURLでの情報に基づく推測になる ことを予めご了承ください。
ACアダプタ分解写真から、ツェナーダイオードが破損してスイッチングが 出来なくなり、異常電圧を出力したものと想定されます。
ACアダプタの異常により、本体電源入力用電解コンデンサの定格電圧を 超えた電圧がかかり、コンデンサは破裂、内部回路に高電圧が回り込み、 耐性の弱い部品(今回はU11A)が破損したと想定されます。(異常原因は不明)
本件同様の故障の発生を防ぐために、部品品質の再確認を早急に行うと ともに、生産工程上の品質管理の見直しを行い、安定した品質で製品を ご提供できるよう努めてまいります。
お忙しい中詳細な報告を頂きましたお礼と共に弊社製品でご迷惑を おかけした事をあらためてお詫びいたします。
一見、そっけないような回答ですが、大手メーカとしてみれば、ずいぶんと丁寧というか、簡単に自社製品の非を認めています.下手なメーカにかかると、製品を分解した時点で、あとは「知らぬ存ぜぬ」で通す会社もありますから.多分、ツェナーが壊れることは事前にわかっていたのでしょう.同様の不良が何件も出ているのでしょう.ですからこんなに簡単に、写真だけで原因が説明できるのだと思います.
この不具合の根本原因はACアダプタの品質にあると思います.そういう意味では、コレガが外注にACアダプタを生産委託する際に、サンプル品のチェックや、相手先の工場監査、部品を固定する際の工作指示などをしっかりやっていなかったことがコレガの落ち度ということになるでしょうか(だいたいコレガって自社工場を持っているんでしょうか).
ということで、決着しまして、今は、PrincetonというメーカのCPU切換機を使っています.コレガって名前が結構気に入ってたのですが、今後は製品を買うのをちょっと躊躇するだろうと思います.