聞書・清水潔
     
サンタクロースに会った100 人のこどもたちのほんとの話
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1話 見てはいけない人

あれは幼稚園のときでした。
「バカだなー、サンタクロースなんていないよ」って、となりのさくら組のケンちゃんにいわれたの。いつも、わたしのこと馬鹿にする子だった。でも、わたし信じられなかった。
 それで、確かめようとみんなが寝ているときに、ひとり暗闇のなかで目を開けて待っていた。
 眠くて眠くて、うとうとしかけたの。そのとき、「カタッ」と音がした。
 はっと目が覚めて、音の方を見ると、人の後ろ姿が見えた。そのとき、なぜか胸が熱くなってどきどきして思ったの。
「目をつぶらなきゃいけないっ!」って。そうしていたら、そのまま寝てしまった。
 朝起きたら枕元にわたしが前から欲しかったものが置いてあった。やっぱり、あの後ろ姿はサンタクロースだったんだって思ったわ。それから、みんなが「いない」と言い張っても、わたしだけは信じていたわ。
 それなのにーいつのまにかサンタクロースが来なくなった。いつサンタクロースとお別れしたんだろう?あの後ろ姿は誰だったのー。親に聞くのがなんだか恐くてずっと聞けなかった。もう誰にも聞けないわね。 
N 留美子(20歳)

 
2話 どじなサンタさん
 小学3年生でした。
「よし、今年こそサンタさんを見てみよう」と決心しました。私はベットに入っても眠らず、ずっと目を開けて
いました。
 待つってとても長く感じるんです。眠たくなったそのとき、部屋のドアをそっとあける音。
「来たっ」
 暗がりをじっと目をこらして見ると、なんとプレゼントをかかえたパパ。
「あれぇ、なんでパパがプレゼントもってんのぉ」
「あっ、あの、さっきパパ寝ようかなーって思ったら、パパの枕元にこれがあったんだよ。おかしいなー、サン
タさんまちがえちゃったのかなー」と、パパはのたまわってました。わたしも、
「やだなー、もーサンタさんまちがえちゃってー」と思って、父のことばを信じました。
         T 国子(22歳)
 
クリスマスにちなんだ、ちょっといい話をお届けします。
***
はじめに
 日本の多くの人達は、クリスチャンでもないのに、クリスマスになるとワクワクした子供のころの思い出を持っています。
 それは、団塊の世代が幼少のころに始まった日本的な行事の胸がキュッとくる思い出です。その思い出は、親と子の精神発達上とても有意義なことでした。そこで、12月になると、20歳前後の若い人から貴重な思い出を聞き書きしてきました。
 第一回の収集を1984年から始め、2000年まで毎年つづけ、さまざまな多くの話が聞けました。そのなかから100話を2007年のクリスマスまでに順次紹介します。
収集はいったん終了しましたが、それから7年経過してこの胸キュンの思い出はいまも生まれているのでしょうか。
 あなたにも素敵な思い出があることでしょう。さしつかえなければ、お聞かせください。
 そして、かつてお話を聞かせてくれた皆さん、その後の物語がありましたら、お聞かせください。


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