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8 スターウォーズの故郷 | |||||||||||||||
●砂漠の虚構の村 塩湖ショット・エル・ガルサの蜃気楼を堪能した私達の4WDは、ガイドのアルフの先導で砂丘の中の舗装道をひた走る。1時間ほどすると、小山のような砂丘のふもとに忽然と不思議な町のような村のような集落の建物群が現れた(写真上)。 中にはいると無人。中央の通りを歩くとすぐに村の裏手に出た。そこでこの村が木と泥で外観だけを造った張り子の村落だと気がついた。ジョージ・ルーカスが、映画「スターウォーズ」の第4部作番外編の撮影のために作ったセットだった。映画の主人公ルークの父、ダース・ベイダーの故郷がこの村なのだ。 私たちが砂漠に忽然とあらわれた村落を訪れたとき、撮影隊は映画の最後のシーンを別のところで撮っている最中だと、ガイドの説明があった。そこには撮影中のため関係者しか近づけないという。そして、驚愕したのは、私達が1時間かけて走ってきた道路は、この村を建設するためだけに砂漠に造ったという話である。何十億円も道路だけにかけている。その道路も数年で砂漠に飲み込まれるだろうという。 「スターウォーズ」がチュニジアで撮影されていたことをこのときに知った。映画の第一部と三部で、帝国の襲撃を逃れた二体のロボット、R2—D2と人形ロボットC・3POが降り立った砂漠は、チュニジアのそれだったのだ。 砂族にロボットが捕まって、ルークの叔父に売られるシーンや「ルーク!」と呼ぶ声に主人公がかけよる叔母の家は、マトマタにある。 ●マトマタの穴ぐら住居 蜃気楼を私達が見た塩湖の東側に、最大幅80キロ、最長200 キロという北アフリカ最大の塩湖(ショット・エル・ジェリド)がある。この塩湖を南北に直線で貫く国道を、50度C越す真夏の炎天下、南下し、さらに百キロほど南下するとマトマタに着いた。 ここは荒れた丘陵地帯で、地元の人たちの住居が特殊なので観光客を引きつけている。その家の造りとは、地面に月面クレーターのような大きな穴を堀り、穴の側面に横穴をいくつも掘ってそれぞれ部屋としている(写真下)。12〜13世紀ごろ、北アフリカの先住民ベルベル人が、侵入してきたアラブ民族から身を隠すために造ったのが始まりとされている。 この穴ぐら住宅は、夏は強烈な日差しを避け、冬は保温性にすぐれているため、実際に暮らしてみて住みやすいということが分かり、進んで穴ぐらに住み着く人が増え、村にまで発展した。いまでもこの住居に住みつづける人もいる。 穴ぐら住宅を大きく造成してホテルとして利用しているところもある。その 1軒のホテル・シディ・トリスの酒場は、「スターウォーズ」のルークとオビワンケノビが、アルコンの船長ハン・ソロとチューバッカと初めて出会ったところだ。いまも酒場は営業中。映画の人気で西洋人の若い観光客で、映画のシーンのようにごったがえしていた。この酒場は、この辺りでは唯一英語が通じる場所だ。日本円で1000円ちょっとで泊まれるが、ドミトリーで、シャワー、トイレ共同なのが難点。私達は昼食だけの滞在であったが、そのとき注文した土地特有の揚げ物は体験するだけの価値がある美味しさである。 マトマタからさらに南下するとクサール・ハッタダという小村がある。この村に、穀物などを保管する倉庫と集会場として使われていた不思議な泥の重層建造物がある。ここも映画のロケ地となり、ルークの故郷の風景として撮影された。 チュニジアは、特異な風土の魅力に加え、治安の安全、安い労力と物価、高教育などの理由からか、ハリウッドを始めとした西洋の大作映画の撮影に、これまでもしばしば利用されてきた。「インディージョーンズ、失われたアーク」の撮影も、スピルバーク監督はチュニジア南部の砂丘を使って撮影している。 チュニジアのもう一つの魅力は、ヒットした映画の疑似体験が、簡単にできることだろう。映画好きな人には、見逃せない土地である。 |
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