大
砲、矢、刀、槍、甲冑、そして殺陣師
リアルな合戦絵巻を支える寄居剣道連盟 |
数千人もの観衆が
見守る中、甲冑を身にまとった大勢の武者が槍や刀で
しのぎを削り、備えられた幾門もの大砲が絶えず轟音を響かせている。あたりは白く煙り、火薬の匂いが花をつく。4月11日(日)、43回目を迎えた寄居北
條まつりのクライマックスは今年も盛り上がった。
寄居北條まつり(平成5年までの名称は鉢形城まつり)は、戦後間もなく始まった。主体となったのは三鱗会(みつうろこかい)である。三鱗会は400年
前、この地にあった関東屈指の名城・鉢形城兵士の末裔が結成した組織で、祭りは先祖の霊を鎮めることと、次世代へ「史実」を継承することを目的に実施され
ている。
史実とは天正18年(1590)に起こった鉢形城攻防戦を指す。鉢形城を守るのは、城主・北條氏邦を筆頭とする3千5百の兵。対するは豊臣秀吉の命を受
けた北陸の前田利家と越後の上杉景勝ほか、浅野長吉、木村一、佐竹義宣、宇都宮国綱ら総兵5万の連合軍だった。圧倒的な兵力差である。氏邦率いる鉢形城側
は堅固な城塞を楯に食い下がるも、徐々に劣勢に追い込まれ、ついには家臣の身を案じた氏邦が、城兵の命を助けることを条件に開城。自ら戦いの幕を下ろし
た。
祭りには寄居剣道連盟も古くから関わっている。当時はメインとなるのが武者行列だったが、その中心的存在として、連盟所属の小中学生たちが剣道着姿で参
加していた。パレードはいつしか甲冑を着込んだ武者行列へと発展し、平成7年頃からは今のような観光客に訴えるスタイルに様変わりした。参加する剣道連盟
のいでたちも変化を遂げ、現在、剣道連盟隊(20隊からなる行列の三番手を進む)は、鉢形城守りの主力部隊として活躍した「寄居十六騎隊」に扮し、毎年凛
々しい甲冑姿で祭りに臨んでいる。今年、大将を務めたのは寄居成心館館長・清水都留吉氏だった。 |
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「河原での合戦は、最初は皆どう動いていいか
わからず立っているだけでした。それが数年前に、殺陣師(たてし)の方に演技指導していただくなどして、戦いもだんだんリアルになってきたんです。我々の
隊では16名中、合戦に参加する8名は五、六段の有段者から選ばれています」
合戦で使われる武具はもちろん偽物である。槍の先にはスポンジがついていて、実際に相手を突くことができる。目をガードするプラスチック製のゴーグルも
必須アイテムのようだ。突かれたときや切られたときにその場に倒れるのは、チャンバラごっこにおける作法の踏襲である。小学生の頃からこのお祭りに参加し
ているという清水周二さん(41歳)は、
「自由な戦いは童心に帰るようで楽しいですね。最初は和やかでもテンションが上がって喧嘩になることもあります」
と言って笑う。
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