何故、この作品にこだわるのか? 何故、この写真に惹き付けらるのか? 何度も自分の心に問いかけ、その回答らしきモノが見えたのが、実は今朝方である。自分で自分の心が読めない、いつもながらのおバカな私です。作品の完成度が低く、写真のセレクトも間違っていた。インターネガからのプリントにも満足していなかった。この作品自体のコトも、当時の僕には理解出来ていなかったようだ。昨日までの私は、「第五福龍丸」に出会ったのは偶然だと思っていた。ロケ地に夢の島を選んだ時点でそれは必然だった。出会うべくして出会ったと知った。父がひとりで卒展を見に来てくれた。それを素直に喜べなかったのは、作品が完成していない後ろめたさからだと解った。「ちょうの写真」、使用したサンプルが良くなかったので、近年撮影したものと差し替えた。「卒塔婆の写真」、以前モノクロで撮影した同一シーンの背景と差し替えてある。作品全体の色調も整え、34年目にして、私の卒業制作のための秀作「 Dolls 」はここに完成した。プリントは断念する。モニターで見るほうが、この作品には似合っている。「父さん、見て下さい。やっと卒業できました。」
カメラ:Asahi Pentax SP、SMC Takumar 28、55、200mm。 フィルム:Kodac Ektachrome Infrared Film。
「第五福龍丸」に出会った時、カメラにこのフィルムが入っていたのは、幸いと言うべきだろう。学生らしく、露出違いの、このワンショットしかない。周囲にフェンスはあったようだが、捨てられ忘れられたようにしか見えなかった。この船に関する知識をほとんど持ち合わせていないにも関わらず、意図的なモノを感じてしまうのは写真の成せるワザである。タイトルを「Dolls」としたため、この写真は展示をためらっている。
人形の背後に建つ洋館は、旧近衛師団司令部庁舎跡。当時は閉鎖されたまま廃墟となっていた。
ワンステージ数百カットもの写真を、僅か数時間で処理する能力はまさに驚異である。このソフトの出現で真のデジタル写真の時代が来たと言っても過言ではない。暗いステージでの撮影も ISO3200 の感度があればちっとも苦にはならないし、ノイズがここまで低減できれば言う事なしである。もちろん f 2,8 絞り開放のシャッター優先撮影、手振れ防止機能付きのレンズである。彼女達のエネルギッシュなステージをこれほど表現できたのは、高価な機材と優れたソフトのお陰である。
DATA : Fuji Finepix S3Pro Soft : Adobe Lightroom

