最近の若手俳優を多数起用したNHK大河ドラマの影響からか、若い世代の人でも歴史物ファンが着実に増えているようですね。私の妹も最近歴史物に関心を持ち出して、何かよい本はないか?と聞いてくるので、純粋な歴史物ではないのですが、この本をお薦めしました。前にこのブログでもご紹介した「四日間の奇蹟」の著者による新作ということで、泣かせワザにも期待して買った本です。あまり書き込んでしまうとネタバレしてしまうのですが、この本の感想を書こうとすると、どうしてもネタの部分に触れずにはいられないので困りつつ書きます。現代に暮らす主人公が、平治の乱から源平の合戦を経て鎌倉時代へと変遷を遂げようとする動乱期にタイムスリップしてしまうという設定で、本来はSF小説の部類に属するものかもしれません。

しかしながら、朝廷・天皇性の弱体化・武家の登場・貴族社会の凋落・寺の武装化といった社会制度の大きな変遷理由等に関する解説がわかりやすく、改めて歴史の勉強にもなりました。
また歴史上の人物では一番好ましいと思っていた巴御前が主人公とあれば、これはもう読むしかない!という気分になり、どんどんと物語の中に引き込まれていったものです。そして、夫である木曽義仲の心情の変化も丁寧に書き込まれていたため、すっかり惚れ込んでしまいました。
ところで、本のお勧めについて語っているときにふと妹がもらした感想ですが、「なんで歴史物って、主人公の据え方が変われば、悪人と善人のキャラが極端に変わるのやろ?」と。
確かに面白い感想であり、それは歴史物だけに限ったことではなく、あらゆることには明確に善悪つけがたいというか、ある者は正義として成すことが、必ずしも万人を幸福にするものにはならないという真実にふれる言葉だと感じています。
再び本書の感想に戻りますが、SF小説でありながら、そういう設定であれば話のつじつまが合うと感じるほどリアリティのある物語になっており、ひょっとすると現実にこの先私という人生もどこかで途切れて、別の過去もしくは未来の人物の生涯に差し替えられる宿命を負っていないだろうか?という不安を感じたりもしてしまいました。
とにかく歴史を学び、また運命・宿命といった哲学的なテーマをも考えさせてくれる名著でありました。
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文責:ちえママ