Gran Turismo 4


Sony Playstation 上で動作するドライビングシミュレーターの金字塔。
その最新版、Gran Turismo 4 は、予想以上の出来だった。


写真はニュルブルクリンクを疾走するBMW M3 GTR

97年にGran Turismoというタイトルが発売されてから7年。
全世界で3600万本以上が売れたタイトル。
2004年12月28日、遅れに遅れて4がリリースされた。



公式サイト

ある程度やりこんで、大体のところがわかって来たので、レビューのようなものを書いてみる事にした。

まず、Gran Turismoをご存知でない方の為に、簡単に解説してみようと思う。

Gran Turismoはプレイステーション上で車の挙動を物理的に演算することでシミュレートするという、実はありそうでなかった発想で作られたソフトウエアだ。
それまでのいわゆるレースゲームなどは、直線はこんな感じ、コーナーはこんな感じと言うプログラムを切り替えながら、それらしく見せかけていたに過ぎないのだが、Gran Turismoの開発者達は、実際に運転する事の楽しさをプレイステーションで表現したかった。その為には車の動きを解析し、個別のデータを物理シミュレートする為の自動車物理シミュレートエンジンを開発し、入力に対する車の動きを可能な限り実車に近づける努力をした。結果、Gran Turismoは、それまでに類例のないソフトウエアとなり、その点で凡百の類似ソフトと一線を画す事となった。
結果としてGran Turismoは世界的なヒット作となり、シリーズ2では海外の車両も大量に収録されるようになり、内容も充実したものであった。
やがてシリーズ3作目から、プラットフォームがプレイステーション2になり、物理シミュレーションの精度と速度、それにグラフィックのクオリティーは飛躍的に向上した。
ロジクールと共同開発した専用ステアリングコントローラーは、USB接続でフォースフィードバック機能が付き、フロントタイヤの接地感などがフィードバックされるようになった。
この時点で、かなり精巧なドライビングシミュレータになったのだが・・・・
しかし、当然のごとくまだ問題点は残っており、開発側もその問題を認識していた。
1から3までは、ほぼ同じ物理エンジンで車を走らせていたのだが、どうしても実車の挙動とのずれがあって、実在のサーキットを、実車で走らせた時と、ほぼ同じ条件の仮想現実世界でのタイムが同じような数字にならなかったのだ。
3までは、実在のサーキットがほとんど収録されていない理由はここにあった。
そして、シリーズ4作目にして、車の挙動を計算する物理エンジンが新しくなった。
これにより、実際のサーキットを走る実在の車と、仮想現実のサーキットを走る仮想現実の車のタイムはほとんど変わらないレベルに来た。
今回、4では50以上のコース が収録されているが、世界各国の実在のサーキットが多数収録されるようになった理由も、まさにそこにあるのだ。
そして収録車種 は650車種以上。
車を手に入れ、レースに出場し、賞金で車のパーツを買いながらステップアップして行くと言う部分がゲームらしい部分だが、基本的には車を運転する事自体が目的のソフトだと言っていい。
最初は車も満足に買えないし、数あるライセンス試験を規定タイムでクリアしなければ、出られるレースも少ない。それでもしばらくやり込んで余裕が出来れば、好きな車を購入し、改造し、セッティング(パーツを交換する事により、車高、バネレート、ダンピングレート、スタビライザー、トーイン、キャンバー、ギヤ比、ファイナル、ブレーキバランス、LSD、4WDのトルク配分、トラクションコントロール、ダウンフォース等が調整可能)し、好きなコースを好きなように走る事が出来る。実在のサーキットでタイムアタックに興じるのもいいだろうし、パリのジョルジュサンク通りをゆっくりとドライブするのもいいだろう。その景色は非常にクオリティーが高く、リプレイを眺めるだけでも楽しい。
また、ダートコースやスノーコースも再現されており、Gr.Aのラリーカーで、SSを走り抜けるような楽しみもある。
また、今回のGT4からは、車の写真を撮影するフォトモード が追加された。
撮った写真をUSBメモリー経由でパソコンに取り込んだり、対応プリンター でプリントする事が出来る。冒頭の写真も、リプレイデータを撮影したものだ。



↑こんな風に、風景の前に好きな車を置いて撮影する事も出来て、絞りやシャッタースピードなど、かなり実在のカメラ並みにいじる事が出来る。撮影シミュレーターと言ったところだろうか。


標準のコントローラーでも、もちろん走らせる事は出来るのだが、ドライビング体験としては、ステアリングコントローラーを使用した方が、何倍も濃密な体験になる。
ステアリングコントローラーについては、Gran Turismo 4(以下GT4)の発売と同時期に、次世代のGT FORCE Pro が発売された。これは従来のGT Forceよりもフォースフィードバックの為のモーターの容量を大きくしてフィードバックの量を増やし、ステアリングのロックトゥロックも1回転程から2.5回転へと増やし、より実車に近いフィールが得られるようになった。おそらく、フィードバックのアルゴリズムも書き換えられているはずだ。そしてブレーキペダルの踏力も、きちんと踏み込むほどに重くなるように作られている。
極めつけは専用コクピット まで販売されている事だ。



パイプフレームで組まれたコクピットは、スパルコのバケットシートがマウントされ、ほとんど冗談かと思えるほどだが、場所と懐に余裕があればぜひ欲しいと思う。
置くには畳一帖分のスペースを占有してしまうだろうが、より現実に近づく事は間違いない。
ただしテレビも目の前にマウントしなければならないだろうが・・・・・

テレビで得られる情報だけでは、視角が狭すぎると感じる事もあるだろうが、その気になれば6台までのPS2をLANで接続し、マルチモニター化する事も可能である。三面マルチ画面でのレビュー もあるが、ぜひやってみたい。しかし置く場所と費用は頭の痛い問題ではある。
もちろんLAN接続したPS2、6台を使って、6人まで同時に走行する事が可能だ。
残念なのはインターネットでの接続が封印されている事だろうか。これはGT5に期待したいところ。

私自身、20代の頃は愛車スカイラインで、首都高や峠道を非合法な速度で走り回っていた口だが、実際にGT4で車を走らせてみると、その挙動はかなり実車に近い。
車に乗る人ならわかるだろうが、車を走らせると言うのは視覚情報だけではないので、その点に違和感があるのは確かだが、慣れてくれば視覚情報だけでも、車の挙動をある程度つかめるようになって来る。ただ、Gを体が感じてアクションするより、わずかに操作が遅れるのが難点だ。
もっとも、ルマンに出ていたようなプロトタイプレーシングカーの挙動なんて、現実には知る由もないわけだが、そう言う体験も出来る。
収録サーキットには、かのフランス・サルテサーキットも含まれており、耐久24時間レースの設定もある。つまり自宅でルマン24時間が楽しめるわけだ。3人くらいで交代しながらドライブするのもいいかもしれない。ニュルブルクリンク耐久24時間もあるが、いずれにしろ神経がへろへろになるのは確実と思われる。残念なのは、時間の経過による日照の変化が無い事。24時間と言うからには、昼と夜は再現して欲しかったと悔やまれるが、これは将来的に盛り込みたいとのことだから、今後に期待しよう。

そしてもうひとつ、GT4から追加された機能に、B-Specモード と言うものがある。
これは、運転自体をAIがして、プレイヤーはAIに各種指示を出して走らせると言うものだ。
どうしてもライセンスに受からないとか、耐久レースをやっている暇がないので、寝てる間に金を稼ぐとか、単純に見ていて面白いとか、ともかく勝手に車が走る。
最初は、自分で運転しないなんて、と思ったのだが、これが結構面白い。
AIもたまにスピンしたりミスも起こす。対戦相手もAIだが、やはりコースアウトしたりミスをする。
実際にこういう楽しみ方もあっていいなと、やってみて納得した。

「所詮ゲームだろ」と考えるのはもっともだと思うのだが、車と言う身近な存在だからそう思えるのではないだろうか?例えばジェット戦闘機とか、月着陸船など、現実に触る事の出来ないものなら、わかってもらえると思う。実際どちらも、シミュレーターでシリアスな訓練を行ってから動かすたぐいのものであり、実は車も、Cカー等のレーシングカーやWRCのラリーカーを走らせる事は一般にはあり得ない事なのだから、それが自宅でリアルに、しかも安価に楽しめると言うのはすごい事だと思う。
GT4を購入してから、初めてニュルブルクリンクを走った時、正直怖かった。
道幅が、ちょうど日本の峠道の2車線くらいで、そこを時には200km/h以上で駆け抜けると言うのは、本当に恐ろしいと感じた。筑波サーキットは自転車の耐久レースで走った事があるが、コースはまさしく筑波サーキットそのものであった。車はすべて、デフォルトでトラクションコントロールとスタビリティ・マネジメント・コントロールが利いているのだが、これをすべてカットして、一番グリップの低いタイアに履き替えて走れば、いかに実車に忠実な挙動を示すかが感じられると思う。
GT4はTV画面の向こうに広がる、アナザーワールドなのだ。
車で走る事が好きな人は、手に入れて損は無いと思う。
最近一式買い込んだ人 がいるが、本体とソフトとステアリングコントローラーまで買っても、せいぜい5万でお釣りが来る。実車で遊ぶ事を考えたら、得られる体験に比較しても安すぎると思う。


ニュルブルクリンクのジャンピングスポットをクリアするBMW M3 GTR

今後、実際に走らせているところのムービー等も紹介して行きたいと思う。



投稿日時: 火 - 2月 22, 2005 at 10:27 午前          

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