弟の誕生日


生きていれば三十九歳になる。

あいつが逝ってから、もう20年だ。
俺より小さくてひ弱でとろかったから、小さい頃はずいぶんいじめられていた。
どういうわけか高校に上がると急に背が伸びて俺より大きくなって、ボクシングジムと極真空手の道場に通い始めた。身長183cm体重60kg。腹筋は見事に割れていたっけ。
二輪の限定解除の免許を取得し、750ccのバイクに乗っていた。
もう誰もやつをいじめられなかったし、なによりやつは優しい心の持ち主だった。
たまに家に来ると、ずっと犬を抱いていたっけ。

俺は許せなかったが、やつは親父を許すと言ってた。
もしも困って訪ねて来たら手を貸してやるかも知れないと言ってた。
毎日の様に木刀で小突かれていたにもかかわらずだ。
やつが死んだ時、おやじが保険金の相続に関する委任状に判子を押す条件として、一銭の養育費も払わなかったくせに300万よこせと言ったのにだ。
親父に会ったのはそれが最後だ。
もう二度と顔も見たくない。

だがきっとやつは親父を許すだろう。
そういうやつなんだ。
生きていたら、息子達のいい叔父さんだっただろう。

俺はお前の分も頑張って生きているからな。

投稿日時: 日 - 3月 27, 2005 at 10:19 午後          

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