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ブル−ス・ポ−ルソン一行は、5月5日午前10時02分JR焼津駅に降り立った。 これは、ポ−ルソンが魚と魚料理が好きで、自分でも船をカナダに持っていて釣りに も詳しいというので、時間があれば焼津港を案内しますよといったことから始まっ た。セリを見たいとのことだったが、セリは夜明け時間に開始、しかも連休中に行わ れる可能性はない。セリを見るのは無理だが、それでもよいとのこと。
まずは、焼津さかなセンタ−に案内する。マグロ、カツオ、カニ、シラス、桜エ ビ、鰹節など全てに興味を示し、試食品も適当につまんではおいしいと言っている。 マグロといってもミナミマグロ、カジキマグロ、本マグロ、キハダマグロなど種類が 多い。英訳すれば全てツナである。イクラはサ−モンの卵で説明がつく。しかし、カ ズノコはニシンの卵なのだがニシンが訳せない黒坂さんでした。サバは日本語でも理 解していて「サバは大好きだ」と言っていた。とある店に、マグロが水から跳び上がって空を舞っているようなところの写真が あった。それを見て「マグロは、こうやって空を飛ぶんだよ」と説明してくれる。と にかく、店の様子をカメラに撮るなど大変な興味の示しようであった。 さかなセンタ−を一回りした後、アイスクリ−ム屋でイカスミのソフトクリ−ムを 食べる。ただの黒いアイスクリ−ムだが、三人とも口の周りが真っ黒。知らない人が 見れば「おまえら、何食ったんだ」と言われそうな顔つきだった。 さかなセンタ−を後にして、かっては東洋一の水揚げ高を誇った焼津港に向かう。 焼津港では停泊中の巻き網漁の船を見て、「この船は、こうやって魚を獲るんだよ」 と説明してくれる。 昼食場所に移動する途中、近海ものの港である石津港に立ち寄る。停泊している船 を見て「この船は、側面にある網を広げて魚を獲る船だが、何を獲るのか」と質問さ れ、こちらはそんなことまで分からない。船をよく見たら「サバ第何号」というプレ −トが貼ってある。「サバだよ」と言うと納得していた。カナダに船を持っていて漁 もするし魚料理にも詳しいというだけのことはある。魚、船、漁について、よく知っ ている。船の上でトロンボ−ンを吹いているところの写真を見せてくれる。小舟が係 留してある雰囲気はカナダに似ていると言っていた。 次に昼食場所である「舟小屋」に行く。畳の部屋に案内され、それだけでも感激し ている。昼食メニュ−は、刺身定食に太刀魚の石焼き、いかソ−メンである。刺身 は、マグロ、カツオ、イカ、ハマチなどが舟盛りの器で出てきた。大学では文化人類 学を学んだと言い、日本の食事には文化があると語り始める。フランス料理にも文化 はあるが、それは宮廷の文化である。日本の食文化は一般庶民のものだと、話は比較 文化論にまで及ぶ。出されたメニュ−を全てたいらげ、「アメリカに帰ったら、今日 の体験を友達に自慢するんだ」と大喜びしていた。 その後、私は着替えと車を家に置くため、一行を「成道寺」に連れていく。日本の 寺を見ることも初めて、部屋に通して抹茶を出す。抹茶は、以前、秋吉敏子さんに 作ってもらったことがあり、二度目だと言って感激していた。 リハ−サルが控えているのでゆっくりもしていられず、タクシ−で焼津駅に向かっ た。わずか3時間程度の焼津滞在だったが、ポ−ルソンにとっても、私自身にとって も有意義な時間が過ごせたと思う。これもスイング・ハ−ドがあってこその体験と感 謝している。
伊久美
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