news from nostalghia.com

註:いくつかのハイパーリンクは、Nostalghia.com のオリジナルに連結しています

2006年2月1日

Sean Martinのタルコフスキーに関する本がもうすぐ出版される(1 月か2 月) 。出版情報などはここ。この気取らない258 ペー ジのポケットブックは彼の商業映画からあまり知名度のないTV、ラジオ、舞台の仕事まで、膨大な情報が収められている。映画学校時代の作品と実現しなかった企画も含まれている。英語でこれまでお目にかかったことのない目の覚めるようなトリビアがそこここに見つけられる。タルコフスキーの7.5作の一つひとつが粗筋、製作過程の詳細に関して注意深く論じられている。私たちが長年かけて獲得した知識がここにはすべて埋め込まれている。マーティン氏は序文にこう書いている。「私のアプローチが分析に関わるのは部分的でしかない。タルコフスキーの映画に内在する神秘が自ずと語るからだ。そして彼の映画は究極のところで解答不可能なものだ。私たちが変わるにつれて変化する映画なのだ。」マーティン氏はまさにこの本でその原則を守っている。タルコフスキー文献はこれがなければ完璧とはいえない。amazon.comならここ

必携のタルコフスキー文献というと、ロバート・バードの「アンドレイ・ルブリョフ」に言及するのを忘れてはならない。読み応えのある本、映画の歴史的文脈、その波乱に満ちた製作過程を英語で十全に論じたものである。「アンドレイの受難」と「アンドレイ・ルブリョフ」の場面毎の相違が詳しく論じられ、タルコフスキーが実はどちらの版を好んでいたのかが最後に明らかになる(と私たちは思う)。この90ページには多くの洞察が詰め込まれている。いくらか抜き出すと「ブレッソンのように、タルコフスキーは映画を目に見えないものを描く修練にした。不可視のものは、観客を媒介として枠組みを超えた形でしか形をとりえないものである。この革新的様式の基礎は、他者が関心を寄せたところで進行中の出来事を中断させるカメラの使い方である。それによって主体の絶対的観点が崩されるのである。(原著68ページ)「今見たばかりの夢が時には、論理的にはその原因となる出来事で終わるように(たとえば、夢の中で犯罪をおかして、クライマックスでパトカーのサイレンが鳴る。ところが現実には窓の外でパトカーがサイレンを鳴らしていたと気づく)、イコンもまた時間が結果から原因へと逆流できる空間なのである。「アンドレイ・ルブリョフ」にはそういう逆転がいくつもある。最も興味を引く例が第2エピソードの磔刑のシークエンスである。・・・」(原著77ページ)これは重要な著作であり、お勧めである。


2006年1月31日

今年は武満徹没後十年である。武満さんはタルコフスキーがとても好きだった。タルコフスキーのために書いた曲もある。その曲がトランペットの名手ハーデンベルガーを迎えて紀尾井ホールで演奏される。5月19日20日の2公演。詳しくはこちら。 紀尾井シンフォニエッタ
紀尾井シンフォニエッタのインデックス


2003年4月9日付け情報から

4月4日は、アンドレイの71歳の誕生日になるはずだった。イワノヴォ在住の特派員が次のレポートを送ってくれた。

差出人: エフゲニー・ボルゾフ
受取人: Nostalghia.com
日付: 2003 年4 月09 日水曜日
題目: ロシアで行われたアンドレイ・タルコフスキー回想会

親愛なるジャンとトロンド 、

イワノヴォとユーリエヴェッツで、アンドレイ・タルコフスキーを回想する例年の催しが先週開かれたことをご報告いたします。その皮切りとして、4月3日に、タルコフスキーの偉大な遺産をテーマとした会議がありました。 彼の妹のマリーナがこのイベントに参加して、兄の数々の想い出を私たちと分かち合いました。 翌4日にユーリエヴェッツに参加者は集合して、さらに多くの話を交わし、地元の美術館で『ノスタルギア:20年前』と題された写真展を楽しみました。しかし注目を集めたのは、記者会見でした。そこで マリーナ・タルコフスカヤが彼女の新刊書"Tarkovsky について" (560頁、Dedalus 、ISBN 5-93154-003-2) を提示しました。 2巻本の回想録です。実は、第1巻は、1989 年に出版される彼女の前の本の改訂版です。第2巻は、それぞれのプライヴェートなアーカイブからとられたエピソードと写真を新たに集成したものです。アンドレイ・タルコフスキーの友人、同僚およびファンがこの本に約50編のエッセイを寄せています。アレキサンドル・ゴルドーン (マリーナの夫でありアンドレイの同級生) 及びナタリア・ボンダルチュク(「ソラリス」で主演した) も、タルコフスキーと一緒に仕事をした想い出を記している。

イベントについては添付した写真を見てください。

敬具

エフゲニー・ボルゾフ

添付写真:
[アレクサンドル・ゴルドーン | マリーナ・タルコフスカヤ | マリーナとナタリア・ボンダルチュク | 集合写真 | ブックカバー]

アレクサンドル・ゴルドーンが「殺人者」に出演していることを覚えている読者も多いだろう。マリーナの素晴らしい1989年の本から取られたゴルドーンの「タルコフスキー点描:学生時代」を参照されたし。
All photos above are (C) Eugene Borzov/Nostalghia.com — All rights reserved.


2003年3月20日付け情報から

[タルコフスキーの]弟子のひとりなのかと訊かれたら、3回「いいえ」と私は言う。私は彼の元で学んだことがない。私は彼を偶像視したことがない。そして、私は彼の仕事を引き継ぐことは決してないだろう。なぜならば、芸術家はひとりひとりが自分自身の道を進まなければならないからだ。彼が行った道は、彼の道でしかありえない。彼は自分自身の森を見つけだして、そこで木と草を刈って自分の空き地をつくった。自分のコンパスに従って、北を目指すためだ−死に向かって。別に並はずれたことがここにあるのではない。ロシアのだれもが自分自身の道を行くのだ。少なくとも内的な信念を持っている者ならば。

「魂においてすべてのロシア人は、「森に道を切り開く」ものだ。ある者は意気揚々として、ある者は嫌々ながら。我々の全員がタイガを進むかのように、人生の道を踏み分けていき、その途上で恐ろしい犠牲を捧げるのだ。そして偶然ベリーと日光とやわらかな草のある空き地に来ると、我々はすぐ正気を失い、憂鬱になり、約束の地の探索をあきらめてしまう。蠱惑的に素朴な幸運が我が目に現れたその場所に二度と帰らず、新たな茂みを探し、死の森で新たな試練を越えていく旅を…

アレクサンドル・ソクーロフ「死、陳腐な平等をもたらすもの−タルコフスキーに関して」から


2003年3月10日付け情報から

スタン・ブラッケージが亡くなったという悲しい知らせが入った。ブリティッシュ・コロンビア洲ヴィクトリアで、感染症の治療を受けていた病院で、8日に体調が急変して、3月9日午後に亡くなった。マリリン・ブラッケージが付き添っていた。8日にマリリン・ブラッケージにこう言ったという。「素晴らしい人生だった。生は偉大だ。」


2003年3月8日付け情報から

イタリアで、待望の写真集が発売された。すでに手に入れた方も多いだろう。Luce istantanea ISBN 88-87478-54-6 (26ユーロ)はタルコフスキーがロシアとイタリアで、ポラロイドカメラで撮影した写真を、おそらく原寸でポラロイドそのまま再現したものである。都合60葉のポラロイド写真が掲載されている。さすが芸術の国イタリア! 趣味と審美に満ちた本造りである。トニーノ・グウェッラが序文を書いている。 編集者のひとり、Laura Geronazzo は英語が堪能なので、彼女をとおして購入することが可能である。アドレスは、laura.gero@ultreya.it である。見本として掲げたカバーの写真は、「ノスタルギア」撮影当時のものだ。太陽の光と硫黄の光が融合したものだと、私は夢想する。

光

独自情報

イメージフォーラムで公開中の「ノスタルジア」は、いよいよ3月7日(金)が最終日! まだニュープリントをご覧でない方は、ぜひお見逃しなく。


NHK BS2 と衛星劇場でタルコフスキー映画の放送予定があります。


NHK BS2
「ノスタルジア」
3月8日(土曜)深夜0:45〜2:52

2:53〜4:30 (ミハウ・レシチロフスキー監督・脚本)タルコフスキー・ファイル in 「サクリファイス」

衛星劇場で、「惑星ソラリス」が放送されます。


2003年2月19日付け情報から

国際タルコフスキー研究所(パリ)所長シャルル・H・ドゥ・ブラントから、Nostalghia.com にEメールが届いた。

第1回火の精神国際映画祭のウェブサイトは ここです。『ノスタルギア』に出演したオレーグ・ヤンコフスキーの「消えないロウソクの撮影風景」が特に注目される。


11月22日付け情報から

The DVDBeaver が Criterion の 「ソラリス」DVD を入手し、豊富な比較イメージとともに 第一印象を記している。どうも、このDVDは最高らしい...ちなみに、このDVDには私の名前も記されているとトロンドが知らせてくれた。ユーソフやボンダルチュクと並んで…身に余る光栄である。


11月16日付け情報から

タルコフスキー写真展がロシア映画博物館のサイトで開催中である。今まで未見のタルコフスキーの演出中の写真がたくさんアップされている。是非お勧めしたい。写真展はロシア語のセクションにしかないが、英語のセクションもある。 美術部門にロマージンによる『ソラリス』のデザイン画がある。(Nostalghia.com には別のロマージンのデザイン画がある。ロシア映画博物館の館長はナウム・クレイマンで、Criterion が発売する『ソラリス』や『イワン雷帝』の協力者である。


11月9日付け情報

映画監督の David Tausik が次のエピソードを教えてくれた。


To  : Nostalghia.com
From: David Tausik
Date: Wed, 30 Oct 2002 15:07:14 EST

モスクワで映画を撮っているとき、アンドレイ・タルコフスキーのなかなかいい話を耳にしました。 彼の作品を私がどう感じているのかをまとめる助けにもなりました。Haunted Symphony というタイトルの ロジャー・コーマンの映画を撮っていました。1870年代のセットで、映画には火がたくさん出てきました。 蝋燭、たいまつ、暖炉、生け贄にされる農民たちーモスフィルムスタジオの、今にも燃えてしまいそうな 古い音響ステージでセットが組まれました。スタジオマネージャーはそこの古株でしたが、私がすきあらば火を点けて、スタジオを燃やすような狂人じゃないのかと、心配しているようでした。私の通訳がいくら言っても納得しなかった。私はとうとう彼と面と向かうことになりました。彼はこんな告白をしました。

1971年にタルコフスキーが、誰にも許可をとらずに、まさに同じ音響ステージから(ソラリスの)ロケットを打ち上げて、火事になり、スタジオが全焼しそうになった。それで神経が参ってしまったことがあった。

鎮火して、 消防車が全車帰った後でも、タルコフスキーは謝らなかったそうです。彼は、それを「芸術家の権利」だと感じていた。

これこそ、私が理想としながら、なりきれない人間像です。スタジオのことは全く気にしない。 大衆が私の作品を分かってくれるかどうか、心配しない。あらゆる点で一歩も妥協せず、 資金がとうの昔に尽きて、プロデューサーが首をくくったというのに、 20ヶ月ぶっ続けで映画を撮る。

これこそ真の芸術家だ。それがタルコフスキーだ。私は彼に脱帽する。

David


10月28日付け情報

ジョルジュ・ポンピドーセンターで行われたタルコフスキー回顧イヴェントの一部が、読者によって報告されている。

Nostalghia.com 様
2002年10月29日火曜
テーマ:ヴァレリー・メレッス

こんにちは、回顧展のすべてが終了し、成功でした。映画は各々、3回上映され、毎回100人ほどがチケットが手に入らずに、涙を呑みました。座席数は315です。正直言って、タルコフスキーの日記を読みながら、モスクワならそういうことが起きるかなと思いましたが、この眼でそれが今でも起きているのを目撃するのは、驚嘆すべき事です。ロシアのフィルムのプリントは良好でしたが、『ノスタルギア』と『サクリファイス』はひどかった。私が最後に見たのは、『鏡』で、すばらしいTHX音響でとびきりのプリントでした…ええ、そうだと思います。とにかく、劇場を出る観客の目には涙がありました…
[]
パリの『タルコフスキー円卓会議』でヴァレリー・メレッスは『サクリファイス』の経験を次のように語りました。最初から彼女は深い感動をおぼえていたようで、自分の体験を語りながら泣きだしてしまいました。
今思うと、私は自分の人生で一度だけ自分がストラディヴァリウスだったのです。[...]スウェーデン映画研究所はアンドレイに、フランスから資本が出ているからフランスの俳優を雇う必要があると、伝えました。彼はパリに出かけて、ジュリア役の女性のオーディションをはじめましたが、ひどく落胆してすぐにスウェーデンに舞い戻りました。

フランスの女優なんか御免だ、フランスの女優さんは口紅を塗って、ニンジンを食っている! 

彼はそう言いました。しかし製作の人たちは法律で絶対必要なのだと頑強に言いはって、彼をパリに送り返しました。その頃、私はオーディションのことを聞きつけて、受けてみようと心に決めました。ですから、私はすっぴんで、行きました。アンドレイ・タルコフスキーは何も言わずに、私の前に座っているだけです。だから私たちは3分くらい黙っていました。長い3分でした。そういうことがありました。

それで気がつくと私はセットにいました。いろいろな言語が飛び交っていました。私は何とか英語で意思疎通をしました。スクリプトを読んで、私はセリフがないので、がっかりしてしまいました。それで、撮影の初日に、アンドレイにそのことを訴えました。

OK、君にモノローグをあげるよ! 

彼は約束を守りました、ある日私のところにやって来て、こう言いました、

さあ、これが君のセリフだ、ちゃんと覚えろよ! 私は必ず約束を守るんだ。 

もうひとつ私がお話しできるのは、なぜ彼が細々した指示はするけど、全然説明をしないのか、私が時々まごついたことです。しかし結果はスクリーンに映し出されました。私がテーブルを整えるシーンがそういう実例です。彼は言いました、

やるとき、もう少し前屈みになって

心の中で私は思いました、私の役はせなかにこぶがあるのかしら? 台本にそんなことは書いてなかったと思うけど…? しかし、実は、そうすれば私がフレームにきちんと入ったのです…

彼は私が今までに出会ったもっともけた外れの人間でした。私はいつまでも彼を愛します。

2,3細かい点は忘れたかもしれませんが、おおよそ彼女はこんな話をしました。                                     

パリの友人より


次の2枚の写真はイヴェントを、我々のパリ通信員Michael Lelloucheが、理想的とはとうてい言えない撮影条件下で、撮ったものである。左:アンドレイ・アンドレイエヴィッチ、両脇にワジム・ユーソフとシャルル・H・ドゥ・ブラント(話している姿)。右:ワジム・ユーソフと通訳

Photos 2002 Nostalghia.com/Michael Lellouche ― All rights reserved.


10月24日付け情報

ギリシア、アテネでタルコフスキー会議が開催される。[ Announcement ]シンポジウムには、タルコフスキーの生涯の写真展、タルコフスキーの映画のデザイン、ポスター、衣装の展示が含まれる予定である。 アテネの映画館でタルコフスキーの映画が上映される。


10月22日付け情報

2002年10月22日

モスクワのタルコフスキー研究所とアテネのビザンチン美術館と国際文化関連教会は、「アンドレイ・タルコフスキー:人間、自然、神」と題する国際会議を組織している。会議場は、アテネのビザンチン美術館で、2002年12月6日から8日にかけて開催される。 [Call for Papers ]会議の内容は出版される予定である。


10月19日付け情報

パリの友人が、ポンピドーセンターで行われた本日の円卓会議のあらましを報告するメールを送ってくれた。

Nostalghia.com様
Date:     2002年10月19日土曜
Subject:  タルコフスキー円卓会議

こんにちは

私はパリのジョルジュ・ポンピドーセンターで今日行われたアンドレイ・タルコフスキーに関する 会議のお手伝いをしました。出席していたのは、「アンドレイ・タルコフスキー研究所」の シャルル・H・ドゥ・ブラントとアンドレイ・タルコフスキー・ジュニアの2名、数名の批評家、2人の哲学者、女優のヴァレリー・メレースでした。それから、タルコフスキーの日記に霊感を受けてVisa Tarkovskiという新しい芝居を書いた話をした俳優と作家がいました。 また客席には、ラリッサの最初の子どものオルガがいました。

しかし、意外なことに、一番興味を引いたのはワジム・ユーソフでした。彼は個々の映画に触れながら、アンドレイ・タルコフスキーとの共同作業について、幅広く楽しそうに語りました。

アンドレイ・ジュニアは2つの完全な回顧上映を告知しました。11月のヴェネチアと1月のフィレンツェの回顧展です。それからアンドレイがポラロイドカメラで撮影した写真のすべてを含む本が出版されます。数点はすでにラリッサの本で見ることが出来ます。 [これこそ推薦書 amazon.fr でまだ入手可能―Nostalghia.com ]この新刊書は当面イタリア語で出版されるが、フランス語版がそのうちに出版される予定であると彼は言いました。

パリの友人より


10月1日付け情報

10月1日に、注目の抽選会がカルガリーで行われた。結果、日本からの当選者はなし! 私も応募したのですが… 1等、スウェーデンの羊飼いの娘の夜明けの歌のCDRと『サクリファイス』パンフレットとさらにおまけが、カナダ、トロントの住人に、2等賞と3等賞が、上記のCDRとパンフレットのコピーで、スウェーデンとチェコに送られた。しかし、大変な反響で、Trond は大喜びでした。皆様ありがとうございますということです。次回こそ、CDRを当てましょう。


9月30日付け情報

タルコフスキー生誕70年の回顧上映が、東京、渋谷にあるシアター・イメージフォーラムで10月19日から11月29日にかけて、42日間行われる。詳しくは、タルコフスキー映画祭のサイトを見てください。武満徹インタビュー、滝本誠氏の論考、年譜、解題、タイムテーブル、トークショー、関連文献や催しが、イメージ豊かに網羅されていて、充実している。劇場紹介のページもある。また、会員サービスもある。会員になると、格安で映画祭を楽しむことが出来る。問い合わせに対して、次のような返事がさっそく届いた。

> 会員になると、チケットが廉価になるそうですが、それは、今度のタルコフスキー映画祭でも有効なのですか?

> 有効です。 年会費2,000円なので通常料金1,800円だと3回見ると元が取れます。 今回の映画祭では当日1,500円なのですが、4回見れば元が取れます。 映画祭は10プログラムなので、絶対おすすめです。

また、「ノスタルジア」あるいは「ノスタルギア」も上映され、しかもニュープリントだ! つまりタルコフスキーの全作品を包括上映する、見事な企画だと評することができる。



9月21日付け情報

「サクリファイス」でタルコフスキーが加工利用した「羊飼いの娘の夜明けの呼び声」が2.2 メガバイト mp3 オーディオトラックで公開されている。
このトラックを含むCDRやスウェーデンで出た「サクリファイス」の英語パンフレットの抽選会が、10月1日にカルガリーで行われる。皆様、投票は済みましたか? 今から出すなら、速達でしょうか? パンフレットの内容の訳の一部は、ここにあります。
また9月16日情報ではパリ、ポンピドーセンターでの大規模な回顧上映のニュースも出ている。


8月8日付け情報

ニューヨーク、リンカーンセンターのウォルター・リード・シアターでタルコフスキー生誕70年回顧上映が、9月13日から17日まで、行われる。『ローラーとヴァイオリン』を含む全8作が複数回上映されるだけでなく、ミハウ・レシチロフスキーとクリス・マルケルによる2本のドキュメンタリーも上映される。なお5作がニュープリントで、『アンドレイ・ルブリョフ』は205分のノーカット、ディレクターズカット版による上映である。

タルコフスキーが大衆的な人気を獲得しているとはいえないアメリカで、これだけ立派な催しがあるのだから、タルコフスキーの評価が非常に高い日本はそれだけの催しを期待したい。 日本でも秋に映画祭が予定されているらしいが、是非ともこの205分の版で上映してもらいたいものだ。さらに詳しい情報はこちら


8月9日付け情報

いつもお世話になっている Sight and Sound が2002年のトップテンを発表した。イギリス映画界の趣味と志向をうかがわせる興味深いものだ。

批評家が選んだ監督トップテン

1

オーソン・ウェルズ

1

アルフレッド・ヒッチコック

3

ジャン=リュック・ゴダール

4

ジャン・ルノアール

5

スタンリー・キューブリック

6

黒澤明

7

フェデリコ・フェリーニ

8

ジョン・フォード

9

セルゲイ・エイゼンシュテイン

10

フランシス・フォード・コッポラ

10

小津安二郎

監督が選んだ監督トップテン

1

オーソン・ウェルズ

フェデリコ・フェリーニ

3

黒澤明

4

フランシス・フォード・コッポラ

5

アルフレッド・ヒッチコック

6

スタンリー・キューブリック

7

ビリー・ワイルダー

8

イングマール・ベルイマン

9

マーティン・スコセッシ

デヴィッド・リーン

ジャン・ルノアール

監督トップテン

1

オーソン・ウェルズ:市民ケーン

コッポラ:ゴッドファーザーとゴッドファーザー part II

3

フェリーニ:8 1/2

4

リーン:アラビアのローレンス

5

スタンリー・キューブリック:博士の異常な愛情

6

デ・シーカ:自転車泥棒

スコセッシ:レイジング・ブル

ヒッチコック:めまい

9

黒澤:羅生門

ルノアール:ゲームの規則

黒澤:七人の侍

批評家トップテン

1

オーソン・ウェルズ:市民ケーン

ヒッチコック:めまい

3

ルノアール:ゲームの規則

4

コッポラ:ゴッドファーザーとゴッドファーザー II

5

小津:東京物語

6

キューブリック:2001年宇宙の旅

エイゼンシュテイン:戦艦ポチョムキン

ムルナウ:サンライズ

9

フェリーニ:8 1/2

10

ケリー、ドーネン:雨に唄えば


8月10日付け情報

RusCiCo から発売予定のストーカーDVDをめぐって

8月6日ニュースフラッシュは、Image Entertainmentのウェブサイトが発売予定のRusCiCo 『ストーカー』 DVDに関して、2.35:1の画像比率を持っていることを表明するという事実について、手短に論評した。つまり、これは Image Entertainment のデータベースの単なるエラーとした。確かに、これは正しい説明といってもよいのだろうが、しかし、テルアビブのDVD製造会社であるSolaris Digital社の創設者でありCEOであり、Nostalghia.comの長年のアドバイザーである Alex Aspは、『ストーカー』の画像比率の問題をもう少しはっきりさせてくれた:

私の記憶が正しければ、Philip Yermash ( ゴスキノのボスで、アンドレイの不倶戴天の敵)は、『ストーカー』の第1版を「ワイド・フォーマット」映画だと言っていた。「ワイド・フォーマット」は、ロシアでは70ミリのプロセスのことだった。(SovScope ではない)。

ところが、『ストーカー』が製作に入った頃に、ソ連のフィルムスタジオは、70ミリのカメラ、及び、その結果生じるネガの使用を中止した。その代りに、フィルムは、35ミリのネガ( SovScope )にアナモルフィック・ワイドスクリーン・プロセスで撮られ、そして、最初の封切りのためのプリントは、70ミリで現像されて、劇場で映写された。従って、例えば、黒澤の『デルス・ウザーラ』、コンチャロフスキーの『シベリア物語』、ダネリアの『ミミノ』(Mimino) などは、70ミリで上映されたが、本物の70ミリ製作の6チャネル・ステレオのリミックスはなかった。従って、それらのプリントの音声トラックは、オリジナルのモノラル・ミックスだけを含んだ。何たる技術の浪費であろうか。

1970年初頭に、新しいシステムが生まれた。それは、Universalny Format Cadra (Universal Frame Format )と呼ばれた。これは、基本的にスーパー 35 ( 曲面)プロセスとして今日知られているものである。このシステムでは、穿孔と穿孔の間のネガのスペース全てが撮影に使われる。約19掛ける30ミリ、すなわち、約1.58:1の画像比率の穿孔サイズになる。この映像は、最終のプリントで、映像のトップから、構成され刈り込まれる。このように、所望のリリースプリントに関して、16ミリ、または、35ミリプリントのために1.37:1の画像比率が、テレビリリースのためのは1.33:1比率が、35mm アナモルフィック・リリースのためのは2.35:1比率が、曲面ワイドスクリーンのリリースのための1.66:1 〜1.85:1比率が、または、70ミリ・リリースのためには2.2:1比率が作れる。このために、いささか逆説的な状況が生まれる( 1.37:1の比率のもののほうが、ワイドスクリーンのものよりも、更に多くの映像情報を実際に含むことになる。 『ストーカー』の第2版は、このプロセスを用いて撮影された。アンドレイは、アナモルフィック・フォーマットを嫌悪する映画監督として悪名高かった。( 『アンドレイ・ルブリョフ』と『惑星ソラリス』には、このフォーマットが強制されたのだった。)彼の好みのフォーマットは、1.37:1であった。言うまでもなく、彼のワイドスクリーンの構成は、世界映画で最良のものに数えられる。しかし、問題は、2.35:1比率で受け入れられるワイドスクリーンの映像が、『ストーカー』のオリジナルのネガから現実に抽出可能だということである。もちろん、アンドレイはそんな映像を決して是認しなかった。我々が知っている映像は、 1.37:1画像比率でリリースされたものである。

どんな技術がRusCiCo (および他の業者)に利用できようとも、いかなる条件においてもに、我々は、オリジナルの1.37:1以外のの画像比率で『ストーカー』を容認すべきでないことを忘れてはならない。

ついでに述べておくと、『ストーカー』のDVDリリースのために、美しい1.78:1 ( 16:9 )のビデオ転送を作成することは、全く可能である( 金のかかる企画ではあるが)。それは間違いなく、ワイドスクリーン( 16:9 )のディスプレイ及びテレビを所有する者を喜ばせることだろう。黒い部分なしで、ワイドスクリーンのディスプレイのスペースを十分に活用するからである。 テクノロジーの面からDVD製作者である私を間違いなく喜ばせることであろう。もしそれが、アンドレイの傑作でなかったら、の話である。 『ストーカー』のオリジナルのネガからそういうトランスファーをすれば、 両側に、元々、意図された以上のビジュアル情報を運び、わずかに底辺部を刈り込むことになるだろう。 その結果、彼が苦心して創造した構成を本質的にぶちこわすことになるだろう。

ここで、Nostalghia.comは、次のように考えざるをえない。かりに、Criterionがこのタイトルを発売することになり、1.78:1のバージョンをマルチ・ディスク・セットの特典とするなら、(現像所で損傷したフィルムの最初のバージョンと共に)、真に優れた付録になることだろう。最初のバージョンの(全部がそうでないとしても)一部は、明らかに救い出されていて、鑑賞に堪えうるのである−そのダメージは、主として強い緑の色調にあると推定されるからだ。


8月9日付け情報

RusCiCoと、Image Entertainmentの両方からのeメール返信によれば、10月15日に発売予定であるRegion 1 『ストーカー』 DVDは、Dolby Digital 5.1のリミックス・トラックに加えて、オリジナルのロシア・モノラル・トラックを含むことになる。まさに吉報である! 更に、RusCiCoは、Dolby Digital 5.1 soundtrackがもはや変更されないことを表明する。すなわち、音楽スコアは、オリジナルのものに戻された、音楽キューは、もはや改変不可だという。


8月1日付け情報

ついに始まった! 『サクリファイス』スペシャル・セクション

ついに、『サクリファイス』スペシャル・セクションが公開された。まだまだ建設中だが、すでに閲覧できる資料は、一般の映画好きにも楽しめるし、タルコフスキー研究者にも興味深いものが満載である。なぜなら、タルコフスキーの遺作となったこの作品の助監督をはじめとして、スウェーデンの映画人の献身的で寛大な援助が、Nostalghia.com に寄せられたからである。うれしいことに、Nostalghia.com が世界初公開となる資料の数々を示す模範的文献として、彼らは日本の書籍を挙げている。馬場広信氏による『鏡の本』である。 「これこそ、愛の労作である。世界一のタルコフスキー資料だ」と彼らは書いてきた。もう入手不可能と思われている方がいると困るから、馬場氏のサイトで、この本が購入可能であることを記しておこう。内容の充実を考えると、コスト・パフォーマンスは非常に良い。

さて、すでに閲覧可能な資料として、タルコフスキーのパスポートがある。スウェーデンで仕事をするために必要だった資料の数々が公開されている。ごく私的な出来事にきわめて一般的な真実を見いだしたタルコフスキーにはふさわしいことなのかもしれないが、スタンプも生々しく映ったイメージには曰く言い難いものがある。

さらに、タルコフスキーがものした『サクリファイス』のレジュメがある。簡単な訳を用意したので、それを見てもらおう。 ここでもタルコフスキーは、個人の行動が世界全体を変えうると主張している。一般にこのような見解は夢想家によるものと考えられるが、「ひとりの人間を創り出すのに、宇宙のすべてが必要である」というオカルティズムの箴言を知るものには、単なる夢想ではない。

また映画製作に必要だった内部資料がごっそりと公開されている。まだスウェーデン語のままだが、近いうちに訳がつけられるはずである。

それから、製作風景を記録した見事な写真の数々がある。例えば「日本の木」。イメージが重いので、ダウンロードが大変かもしれないが、それだけの報いがある。

演出プランの数々も公開されている。スヴェンが脱色と、光と影のコントラストを現像所に指示するメモとか、まさしく宝の山である。今後、タルコフスキーに関する論文が出るときには、必ず Nostalghia.com が重要な参照すべきサイトとして挙げられることになるだろう。

今回の公開は、ささやかな貢献をした私としても、とてもうれしいものである。

公開記念なのか、『サクリファイス』のためにスウェーデンで作成された幻のパンフレット(英文)が、Nostalghia.com から抽選でプレゼントされる。抽選のある10月1日までに、Nostalghia.com のホームの一番下に記されているアドレスに、サイトの感想(何語でもOK)とパンフレット希望の旨、e-mail アドレスを記して、葉書か手紙で応募下さい。e-メールによる応募は不可です。


7月19日付け情報

『アンドレイ・ルブリョフ』の長尺版を発売している Criterion から、興味深い情報がもたらされた。この秋発売される Criterion Collection DVD 『惑星ソラリス』は、魅力的な特典が満載される。
 『惑星ソラリス』に関わったナタリア・ボンダルチュク、ミハイル・ロマージン、エドゥアルド・アルテミエフ、ワジム・ユーソフのインタビューがつく。目覚ましい内容であるという。
 また最終的にはカットされたシーンの一部が公開される。いくつかの会話の場面に加えて、鏡の部屋のシークェンスがあり、これが視覚的に圧倒的だということだ。
 Nostalghia.com は鏡の部屋のシーンが残っているとは思いも寄らなかった。ニック・ライリーがこの映像を発掘してくれた。「鏡の部屋のアンドレイ」である。


 ジョージ・クルーニーの秘書から Nostalghia.com に、彼がロシア公開時の『惑星ソラリス』のポスターを探しているという問い合わせが入った。


 6月に行われたモスクワ国際映画祭で、アンドレイ・タルコフスキー・ジュニアは、ロシア映画の発展のために彼の父が果たした功績を記念して、金賞を受賞した。

タルコフスキーを称える行事の準備が、モスクワ、イタリア、フランス、カナダのトロントで整いつつある。日本ではどうなのだろうか?

ホームへ