さとう研究室天体望遠鏡第5号(その5、改造編IV)


 前編まででやっと我々素人にも使える望遠鏡になってきたコスモキッズ。 RFTとしてだけでなく、みんなの憧れ、土星の輪も見えます。
 しかし、前編で紹介した短焦点アイピース、扱いづらいんですよね。 覗きづらいし、ピント調整がやりづらいし.... 。 今さらそんな事言うな!って? 仰る通りです。 でも、実際に土星を見てみたら「ちょっと子供では扱いづらいな」ということがわかりました。 もっとも、決して「扱えない」わけではありません。 今回紹介するのは土星の輪を見るためのもう一つの選択肢です。 その4での解で満足していらっしゃるのならばそれでもよし、です。

 コスモキッズ(追加)を注文した時にバローレンズ(アイピースと併用すると倍率が上がるものです、いつものごとく星を見る道具の工房で勉強してください。ここに説明があります。)も一緒に注文しました。 本当は「バローレンズ用のレンズ1200円也」を買って自分で作ろうと思っていたのですが、何故か3000円のバローを1400円と勘違いし、「値段に差がないな」と注文してしまったのです(正直に言えば酔っぱらっていました)。 何と罪深い事をしたのでしょう。 何が?って? 3000円もあればコスモキッズ本体をもう1台買ってもまだおつりが来るんですよ。 しかも同等品を1200円で作れると言うのに... ぶつぶつ。 罪滅ぼしに捨てられる運命だった、付属アイピース組み込みバローレンズの復活をはかりました。 上述の通り、私にはあまり意味のない工作ですがこれからコスモキッズを購入される方には参考になるでしょう。

 さて、件のバローレンズをもう一度見てみましょう。 付属アイピースの他のレンズがコーティングされているのに対してノーコート。 しかもシングルレンズです。 星を見る道具の工房でもシングルレンズのバーローレンズは安物の代名詞、見たいないわれ方をしていますがコートもされていないし、どうも後からとってつけたような印象が拭えません。 ひょっとしたら上市直前の会議で「このままじゃ売れないよ」と営業にいわれ、慌ててつけたのかもしれません。 まぁ、冗談ですけどね。

 レポートその2でピントが出なくて苦労した事を覚えていますか? コスモキッズの特徴である正立像を実現するためのプリズムは何回も光を反射しているので見掛以上に光路長(光の通る路、この場合は鏡筒本体とアイピースの距離だと思えば良いです)を喰ってしまい、付属アイピースにプリズムをくっつけただけでは確実にピントが出ません。 そこで登場するのがバローレンズです。 バローレンズは主鏡の焦点距離を伸ばす働きがあるのですが、結果的にバローレンズが稼ぎだした光路長をプリズムが喰ってつじつまを合わせた設計であると言えます。 両者を取り去っても付属アイピースとピント位置があまり変わらない事から考えてもまずアイピースありきで設計がされていて、後からバロー、プリズムを付け加えたと考えるのは邪推でしょうか?

 ちょっと前置きが長くなり過ぎましたね。 ともかく、工作を始めましょう。 バローレンズとアイピースの位置関係はちゃんと計算すれば出てくるのでしょうが博士は詳しく知りません。 まぁ、実験で求めてみましょう。


実験用に試作したバローレンズ(試作1号)です。 レンズの鏡筒への差し込みが不足し、アイピースとレンズの間隔がとれません(=ピントがあわない)。


バローレンズ試作2号です。 レンズをより深く鏡筒へ差し込むように改造しました。これでようやくアイピースとレンズの間隔をとってもピントがあうようになりました。 ここまではバローレンズを本体に差し込み、アイピースは手でもってレンズ間隔を探りました。


試作3号は2号をベースにアイピースを装着するための延長筒を追加したものです。 これで星を見て評価したいのですが.... 。


 バローレンズ本体の原材料はこれまでにも使ってきた0.7mm厚の厚紙とサランラップの芯です。 サランラップの芯の内径はほぼ36.4mm。 天文ファンならばピンと来る数字です。 望遠鏡のドローチューブの規格と同じなので前から注目していたのですが(これに直接アダプターやプリズムなどをねじ込む事が出来ます)あまり応用例を見かけません。 こんなに身近な材料なんですけどね。 それはともかく、サランラップの芯をそのまま、あるいは厚紙をスペーサーとして噛ませ、あるいは切り刻んで作りました。 実用性があると判断できたら正確な数値データを公開しますね。 星見でためしての微調整がまだまだ必要であると思いますので.... 。 そう、今夜も雨で星が見えないんですよ。 やれやれ。


付属アイピースを装着し、数Km先の煙突にピントを合わせた状態。 およそ40倍?程度に見えます。(私のカンですが) バローの差し込み度合い&アイピースのピント調節により可変倍率(ズーム)機能を誇ります。


UW 15mmと組み合わせたパターン。 UWはピント調整に対応していないので固定倍率で、およそ60倍? バローの筒には長さの余裕があるのでピント調整機能を持たせ、ズーム対応にするのも面白そうです。

 まだ星を見て試していないので結果はなんとも言えません。 紙管を切り刻んで径を縮小しているので光軸を保つ事が出来るのか心配でもあります。 この段階で利点をあげれば..... (1) 市販バローよりも軽く仕上がるので重量バランスの上からは有利。 (2) 付属の(安物?)レンズの性能が満足できない場合、コスモキッズと同時にバローレンズ用のレンズを購入すれば同じ工作でもっと高性能なバローが手に入ります。 (3) その場合でも本体よりも付属品が高いという矛盾から逃れる事が出来ます。

 星見で試した後に結論を追記します。 良い結果が出ますように。


 その1:ノーマル状態でのインプレッション
 その2:アイピースの改良(kIKUTAさん天文仕様のアレンジ)
 その3:ファインダー試作
 その4:市販アイピースの適用(ポッチヘリコイド対応スリーブ自作)
 その5:バローレンズの自作(試作)
 その6:KUKUTA仕様アイピースの製作&試作バローレンズの見え味チェック
 その7:ファインダー&バローレンズの本製作
 その8:その後

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★バローとアイピースの差し込み量を調整してズーム機能を持たせるのは「宇宙を頂きます」のKIKUTAさんのアイディアを頂戴しました。 毎度有り難うございます。
★今回のサランラップの芯をつかってもポッチ対応スリーブを作る事が出来、しかも剛性はフィルムケースよりも上です。 そもそもこのデジカメ全盛時代、普通の家庭に35mmフィルムケースが転がっているのか?というとこちらの方が汎用性が高そうです。 螺旋状に切るのは難しいので直線溝とする場合、敢えて溝を広くし、差し込む時には左右に小刻みにねじっていくと操作しやすくなります。


PL 5mmに装着したイメージ。 (実際にはもっとスリーブを短く、&切り込み溝を深くする必要があります。)

9/28追記:ちなみに、2枚のレンズの合成焦点距離は以下の式により求まります。

1/f = 1/f1 + 1/f2 - d/(f1×f2)

ただし、f:合成焦点距離、f1:レンズ11の焦点距離、f2:レンズ2の焦点距離、d:レンズ1、2の主点間距離(『図解 レンズがわかる本』(永田信一、日本実業出版社)より)

これはレンズ+レンズの式ですが、反射鏡+バローレンズでも同じだと思います。 なるほど、.... しかし、凹レンズの焦点距離ってどう実測するんだろう? (コスモキッズ主鏡の焦点距離は仕様書に載っていますし、凸レンズならば太陽光を使って焦点距離を実測も出来ます。 でも凹レンズは? 博士は焦点距離測定の方法を知りません。) ..... 結局、本文でもやったように実験によりレンズ群の位置関係を求めた方が早いと思います。