さとう研究室天体望遠鏡第5号(その4、改造編III)
前編まででアイピースの改良、ファインダーの追加を行い、やっと我々素人にも使える望遠鏡になってきたコスモキッズ。 RFT(リッチフィールドテレスコープ:視界が広くい望遠鏡)という横文字ジャンルにデビューもしました。 でも、あと一つ足りない事が有ります。 「?」 我々素人が「天体望遠鏡」と言われればまっ先に「土星の輪!」と連想しませんか? さとう研究室では(自作機ばっかですけど)土星の輪を見る事の出来る機材が揃っていますが、これから始めて購入するのがコスモキッズ、という立場だとどうでしょう? 光る点(やや面積が感じられるとしても)を見せられて、「これが土星だよ」と言われて納得できる素人衆が世の中に何人いますか? まぁ、能書きはともかくとしてともかく作ってみました。(「論より実験」ですし)
倍率を変えるためには焦点距離の異なるアイピースに交換する必要があります。 (倍率)=(望遠鏡本体の焦点距離)÷(アイピースの焦点距離)の関係が有りますが、詳しくは諸先輩のHP、例えば「星を見る道具の工房」などを御覧ください(そればっか)。通常の望遠鏡では付属のアイピースで得られない倍率にしたい時は違う焦点距離のアイピースを買って来て(別メーカーでも可)、付け替えればすむ話です。 しかし、コスモキッズでは例のポッチがあるために市販のアイピースをそのまま使う事が出来ませんでした。 今回作ってみたのはそのポッチ用にガイド溝を有するスリーブです。

付属アイピース(改造済み)のスリーブ(下半分の銀色部分)についている溝が分かりますか? 本体にはこの溝に対応するポッチが付いているので溝のないアイピースは差し込めません。 (ポッチを折ってしまうというのも解決方法の一つです)
では、工作を始めましょう。 必要なものは紙、鉛筆、両面テープ、はさみ、カッター、ミニルーター(あれば便利)です。

付属アイピースのスリーブに紙を巻き付けます。

爪でしっかりと溝の形をトレースします。 これをはがして型紙とします。

両面テープを貼った35mmフィルムケースに型紙を貼り付けます。 爪でつけた溝の印は鉛筆でなぞっておくとその後の作業がやりやすいです。
このあと、カッターで線をなぞってケガキをし、ミニルーターでギュイーンと削ります。 まさにあっという間。 ルーターがなければカッターでもできます。 実際、最後の高さ調整はカッターで切りました。 バリをカッターで切り取って仕上げ完了。 後はアイピースのスリーブを交換して完成です。 所要時間1時間ちょっとでしょうか。

左:Plossl 5mm+自作スリーブ、中:UW 15mm、右:付属アイピースの改造品
私の所有するアイピースでこのスリーブに対応できたのはPlossl 5mm(Mead)とUW15mm(笠井トレーディング)でした。 せっかくだから同じビクセンで、と思いましたがLV系のアイピース(OLV 5.2mm(ビクセン)、OLV 10.5mm(〃))はスリーブにもレンズが付いていて×でした。(それに重いし)
さっそくファーストライト。 フィルムケースではやはり剛性が不足していますが、まぁ実用範囲でしょう。 不安が有ればアイピース交換だけ大人がやればいいことです。 今晩も曇り空なので数Km離れた、いつもの煙突を見てみます。 ヒートンファインダーが有るから導入も楽々。 UW15mmはなんなくO.K.。 このアイピース、安いのに見かけ視野が66°もあるので視界が広々していて気持ちいいです(惑星など明るい対象ではゴーストが出るのが難点)。 一方、Plossl 5mmは? 奥の奥までねじ込んでやっとピントが出ました。 あと数mmの余裕しか無く、星でピントがあうのか不安です。 ここまで引っ込むとピンと合わせの為にアイピースを回転しようにも手で持てる所はゴムの見口だけです。 でもさすがに60倍。 煙突についているライトのしましままでハッキリと分かります。

Plossl 5mmの場合、これで数Km離れた煙突にピントがあった状態。
改造アイピースだと15倍(?)、UW15mmで20倍、Plossl 5mmで60倍です。 当初の目的である、「土星の輪っか」を見るためには60倍も有れば十分です。 木星の縞模様も見えます。 そういった意味でもPlossl 5mmが望ましいのですが、本当にピントがあうのかなぁ? しかし、本当に楽しいのはUW 15mmです。 やっぱり広々とした視野は見ていて気持ちが良いものです。(もちろん、もっと広視野のアイピースも市販されていますし、より気持ちのいい眺めを見せてくれるでしょう。 でも、本体価格を考えるとそこまで投資するべきものなのか.... ?)
なお、「土星の輪っか」だけであれば30倍あればなんとか見えるし、40倍あれば十分です。 また、倍率が上がれば上がる程、星の導入および追跡が困難になります。 そういった意味では焦点距離=7mm(43倍)くらいがお勧めかな? ビクセンアウトレットで2800円で売っていますので一緒に購入しても5300円です。 (購入の際にはビクセンにお問い合わせください。「土星が見たい」と言えばお勧めのアイピースを勧めてくれると思います)
9/25追記:Plossl 5mm(60倍)で土星の輪が見える事を確認しました。 すごく小さいですけど。 そう言った意味では40倍では厳しいかな? コルキットKT-スピカでは34倍で土星の輪が見えた記憶があるのですが... 。 しかし、このPlossl 5mmはものすごく覗きづらく、子供では上手く覗く事ができないかもしれません。 続くコスモキッズレポート(その5)で付属のアイピースの覗きやすさのまま倍率を拡大する方法を試してみますのでお楽しみに。
コスモキッズレポートシリーズ(その1)では博士の独断でコスモキッズは最初の1台としては適当で無い、と結論しました(他に利用可能な機材が無い場合)。 ノーマル状態で使う限りはこの結論は間違っていないと思います。 しかし、ここまでに紹介した改良を行う事により間違いなく初心者にやさしく、かつローコストな望遠鏡になります。 また、工作自体もハサミとカッター、あと電動ドリルドライバー(安いものでは¥1980)があれば簡単に出来ます。 もっともコスモキッズは生産終了、現在在庫販売のみです。 メーカーが最終処分(廃棄)を行う前に、一人でも多くの方がコスモキッズユーザーになり、手軽な星見を楽しむ事ができることを願って止みません。
その1:ノーマル状態でのインプレッション
その2:アイピースの改良(kIKUTAさん天文仕様のアレンジ)
その3:ファインダー試作
その4:市販アイピースの適用(ポッチヘリコイド対応スリーブ自作)
その5:バローレンズの自作(試作)
その6:KUKUTA仕様アイピースの製作&試作バローレンズの見え味チェック
その7:ファインダー&バローレンズの本製作
その8:その後
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★博士はスリーブ加工の為にミニルーターを持ち出しました。 カッターでは慣れない人がやると怪我をする可能性が高いので御注意ください。 と、思っていたらこれまでにもアドバイスを頂いていた横山さん、なんとハサミで切って作ったとのこと。 ハサミできれるものならばそれにこした事は有りません。 皆様、ともかく「安全第一」でお願いしますね。
★ちなみに今回登場したMead Plossl 5mm。 ヤフオク落札したのですが、実はPloss15mmと読み間違えて購入しました。 Plossl 5mmが正解です。 間違えた博士も博士だけど、PCの画面ではlと1は紛らわしいのでスペースを打っておいてほしいもんだ。 結局、このアイピースもコスモキッズと共に半年間塩漬けにされていました。 コスモキッズはついに助手達の主力望遠鏡の座を手にするまでに出世しましたが、果たしてMead Plossl 5mmにはそんな栄光の日は訪れるのか?