さとう研究室天体望遠鏡第1号(その5) 〜 ちょっぴりマニアック
07.9.16公開
屈折鏡筒は覗き込む方向=観察対象の方向なので初心者に分かりやすいと言われます。 まぁ、高度45度くらいまでは。 これ以上の高さになると首が....。 そこで使われるのが天頂ミラー(ないし天頂プリズム)ですね。 覗き角度を直角に変える事により天頂付近でも首が痛くない優れものです(詳しく知りたい方は『星を見る道具の工房』で勉強してください)。 スピカも屈折鏡筒ですから当然オプションとして天頂ミラーが用意されています(オルビィスHPのコルキットPDFカタログをご覧あれ)。 しかし...。 せっかく鏡筒につや消し処理が施されているのに天頂ミラーの内部はつやつやじゃあないですか。

写真5-1.天頂ミラー(Orbys)の迷光対策
写真5-1の左がノーマルのままです。 aの部分が光路に面しているのですがつるつるですね。 ちなみにbの部分が鏡になっていて、写真ではアイピースが収まるべき穴が写り込んでいます。 bの円形の右隣にも円形の反射がありますね。 ミラーボックス(と呼ぶのか?)の壁もまたつやつやなのですが、これは諦めました。
こんな所は植毛紙で対策しましょう。 誠報社でいうところの遮光クロス、あるいはホームセンターで売っている植毛カッティングシートでもOKと思います。 写真5-1右側が対策後です。 反射が全く無くなったでしょう? 残念ながらまだ実戦(=星見)では試していませんが...。 また、天頂ミラーを使うとドローチューブを短くしまいこむことになります。 アイピースを外して直接覗き込むと... やはりケラれていますね。 ここで「ケラレ」とはドローチューブに遮られて対物レンズの光が一部遮断されている事をさします(詳しく知りたい方は『星を見る道具の工房』で勉強しましょう...そればっかり(苦笑))。 どうせ天頂ミラー使用を前提とするのだからドローチューブをカットしたい所ですが、一度カットしたら元には戻りません。 星にピントを合わせてからカット長を決めましょう。
さて、次のお題はアイピースです。 スピカは付属のK12mmを装着する事により35倍の拡大率を発揮します。 主な星雲星団〜土星の輪までカバーする絶妙な設定ですが、人間の欲望には限りがありません。 やはり焦点距離の異なるアイピースを集めていろいろな倍率で楽しみたいですよね。 あまり高倍率を望むのはナンですが、大きな散開星団観察用の長焦点アイピースは欲しい所です。 このスピカが主力機だった頃に常用したK-20mm(ビクセン)は良かったなぁ(手放してしまいました)。 代わりに顕微鏡の接眼レンズを使いましょう。

写真5-2.純正アイピースK12.5mm(Orbys)、顕微鏡接眼レンズWF10X(Olympus)、ジャンク双眼鏡アイピース
オリンパスのWF10X接眼レンズ。 広視野(=Wide Field)をうたいながらも見かけ視野はスピカ付属のK12mmと同じくらいだったりもしますが、焦点距離は25mmであり、スピカと組み合わせると倍率17倍。 大好きなすばるを一望できるかもしれません。 スリーブ径が約23mmと、ツァイスサイズの24.5mmよりも微妙に細いのでテープを巻いて太らせます。 星での見え味を比べてみたいのですがあいにくの雨(雨だからこそ工作ばかりしているのですが...)。 仕方ないのでいつもの煙突で見比べます。 確かに倍率が半分くらい。 しかも見え味のシャープさは勝っています。 まぁ、研究用の高級接眼レンズだから当然か。 しかし良い所ばかりでもなく、結構高価なものなので誠報社あたりのプライベートブランドアイピースを買った方が安いかもしれません。
うーむ、スピカ本体よりも高いオプションパーツというのもいかがなものか? そう思われる貴兄にはジャンク双眼鏡からのパーツ流用がよいかもしれません。 写真5-2右は興味本位で入手した赤目双眼鏡を解体してGETしたアイピースです。 径が太いので接続用のアダプターを紙細工する必要はありますが、上手くすれば1000円くらいで広視野・長焦点アイピースが2つ手に入ります。 これの焦点距離は不明です。 例の煙突を眺めてみた所、WF10Xよりもさらに半分くらい?の10倍強と思われますが、ともかく散開星団に有効な低倍率が実現できる訳です。
何にせよ星見で試してみない事にははっきりしたことも言えないのですが...。 恨めしきは台風ですね。
その1:製作記へ
その2:星見編へ
その3:改造記その1へ
その4:改造記その2へ
その5:ちょっぴりマニアックへ
その6:星見レポートへ
その7:さらに改造へ
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★ここで植毛紙の貼り方についてちょっとしたTipsを。 スピカのように細い筒に張り込むのは大変なこと(らしい)です。 このためいろいろな工夫が生み出されており、例えば木村さんのHPでは割り箸でくるくるする方法が、『星を見る道具の工房』では植毛紙をいったんプラ板に貼付けてから押し込む方法が紹介されています。 しかしこの植毛紙、裏紙まで含めて結構なコシがあります。 筒の円周を正確に測定し、ぴったりサイズにして押し込んでやればそれだけでもずり落ちてくる事はありません。 だめ押しとして端っこ5mm程度だけ裏紙を剥がし、大部分は裏紙のまま押し込んでから最後に悠々と接着すればまず間違いがありません。 本当に大丈夫? 少なくともスピカ鏡筒くらいの大きさでは3年間無事である事が実証されています。(太い鏡筒はダメでしょうけど、何処までが限界かは試していないので良くわかりません)

★望遠鏡関係では『星を見る道具の工房』を引用しまくっています。 他人のふんどしで相撲を取る...行為でしょうか? とはいえyamacaさんのすばらしい解説があるのにわざわざ二番煎じ的なページを作るのも、これはこれで失礼な行為かと...。
★植毛紙が見つからない場合... ラベルシール(例えばこんなもの)をつや消し黒ペンキで塗ってつや消しシートを自作することもできます。 この時、塗料はこんなものが手軽ではありますが、黒板スプレーや耐熱スプレーを使えば本格的です。