位相差顕微鏡の世界(その2)位相差対物レンズクリーニング編
(千代田顕微鏡ACM-bi型のレストア、観察、改造)       08.8.10公開

 さて、「位相差顕微鏡」です。 位相差顕微鏡の位相差たるゆえんは専用の対物レンズとコンデンサーを備えている所です。 ふむ、それはいかなるものか? そもそも「位相差」とは? ...正直言って博士の力量では説明しきれません。 また一部の入門書でさえ暗視野照明と勘違いしていたりしてなかなか理解しがたいものでもあります。 ちゃんとした参考書(※1)の図をよーく見て勉強するしか有りません。

 さて、そんなに大切な位相差対物レンズ。 普通の対物レンズと違うのは「位相差板」というパッと見でドーナツ状のリングが印刷されている(様に見える)ガラス板です。 これが対物レンズの中に入っているので接眼側から覗くと丸いワッカが見えるのですが...。 この千代田顕微鏡も古いものですから結構曇っていますね。 まずはどこが曇っているのか実体顕微鏡で確認しましょう。

 
【写真2-1. 実体顕微鏡による位相差対物レンズ10Xの状態観察】
左:こんな感じでチェックしました  右:接眼側1枚目のレンズ表面=コーティング剥がれ

 ふむ、接眼側の1枚目は曇ってはいませんが...、コーティングが半分くらい剥がれていますね(写真2-1 右)。 まぁ、良いか。 肝心の位相差板は? ウッ! 激しく曇っているような? 何度も言いますが対物レンズを分解するのは御法度ですよ。 でも、ここまで酷いと...やっぱりばらさざるを得ませんよね。 単体にバラしてみるとやっぱり酷いなぁ(写真2-2 左・中)。 ここで我が師匠たる白石さんに相談です。 リングは合金の蒸着、さらに全面に反射防止コーティングを施しているとの事。 保管が悪ければ位相板の腐食は良く有る事みたいで本来は要交換だそうですが、既に千代田顕微鏡は生産中止。 うーむ?

  
【写真2-2. 位相差板の状態】
左:導入時  中:導入時(反射光) 右:磨いた後(反射光)

 まぁ、20X、40Xはそこそこ使えるし...。 なにより専門家たる白石さんが「回復不可能」と引導を渡してくれたので迷いも吹っ切れました。 さぁ、磨きましょう。 あくまでも私のカンですが反射防止コーティングはリング部位の上から行っているはず。(リングもああ見えて光を通すところだから) ならば優しく磨けばコーティングだけ落とせるはず。 という訳で「液体コンパウンド」で少しずつ磨いていきます。 ドキドキものですが...、やってみればコーティングが「殆ど」はげて、リングは「殆ど」無傷。 良かった、良かった。 写真(2-2右)は下にひいたティッシュペーパーのせいか、透明に見えませんけどね。 ...といっても「殆ど」という通り、剥がし残しはあるし、リングもちょっとはげた所も。 まぁ、良いじゃないですか。

 組み直して覗いてみると...。 やはり視野が白っぽい(コントラストが低い)のは否めませんね。 別の10Xレンズと比較するとはっきりと分かります。 うーん、素人の遊びですからね(...とむりやり納得)。 普通の顕微鏡ならレンズがダメでも交換するのは比較的容易ですが位相差対物レンズはメーカーが異なれば互換性が無い事もあり、なかなか手に入らないものです。 位相差顕微鏡を入手する時はくれぐれもレンズの確認をしましょう。



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※1:井上勤監修『新版 顕微鏡観察シリーズ 1』地人書館(1998年)初版、第10章 位相差顕微鏡の取り扱い方(犀川政稔)、P.160〜166