位相差顕微鏡の世界(その1)千代田顕微鏡ACM-bi型(位相差レンズ・コンデンサー)導入編
(千代田顕微鏡ACM-bi型のレストア、観察、改造)       08.1.13公開

 さとう研の顕微鏡群も実体顕微鏡、生物顕微鏡、暗視野顕微鏡、金属顕微鏡、偏光顕微鏡とバリエーションが増えてきましたがついに位相差顕微鏡顕微鏡を仲間に加える日がやってきました。 やけに増えすぎた顕微鏡達。 位相差顕微鏡でおしまいにしようと思っていたのですが、本格的な顕微鏡いじりが千代田顕微鏡に始まり、千代田顕微鏡に終わるとは何か運命めいたものを感じます(...本当に終わるのかなぁ)

 
【写真1-1. 千代田顕微鏡ACM-bi型(位相差顕微鏡)】


【写真1-2. 千代田位相差装置 PIIIの一部】

  メーカー : 千代田光学工業(Tiyoda)
  機種名  : ACM-bi型
  鏡筒長  : 160mm
  対物レンズ: Phase N.D.L 10X(開口数0.30)、20X(0.40)、40X(0.65)、90X(1.25:油浸)
  接眼レンズ: 10X(何故か種類異なる) 
  鏡筒形式 : 単眼鏡筒+ジーデントップ双眼鏡筒(×2倍)
  焦点調節 : 鏡筒上下式、粗動ハンドル、微動ハンドル
  ステージ : 回転ステージ、メカニカルステージ付き
  集光装置 : 位相差コンデンサー(アッベ式開口数1.2、各対物レンズに対応する環状絞り付き)
          ※対物レンズと合わせて千代田位相差装置 PIIIの一部であると思われる
  照明   : 平&凹ミラー
  サイズ  : 16cm×40cm×20cm(W×H×D、外寸実測、落斜照明の出っ張り除く)
  重量   : 7.6 Kg(博士実測)
  製造年  : 不明(手がかりなし;「千代田顕微鏡製作年表」によれば1949年以降)

 さて、いつものごとくヤフオクでゲットした千代田の位相差顕微鏡。 本体に機種名を示すマークはどこにもありませんが、そんな時は千代田顕微鏡のバイブル『千代田顕微鏡の世界』で調べましょう。 ありました。 ACM-bi型ですね(※1)。 単眼直筒型の鏡基でありながらジーデントップ双眼鏡筒を装着する事により疲れにくい傾斜&双眼を実現したモデルです。 鏡筒が太く、メカニカルステージもごっつくてBSB型の上位モデルであると思われます。 ただベース部分がBSB型の真鍮と違って鉄製なのは何故?

 コンディションは? 見た目は堂々たるジャンクっぷりです。 しかしながら可動部分は渋くは有ってもちゃんと動作しますし、光学系に目立つ傷などは有りません。 もちろんカビはもれなくついていますのでどれだけクリーニングで奇麗になるか、ですね。 いずれにしても博士にとっては上物の類いです。 うーん、と眺め回した所、光学系&外観の汚れ以外の課題が3点有るようです。 1点目は最低倍率。 対物レンズの最低倍率が10倍、接眼レンズで10倍、双眼鏡筒を付ける為のアダプターで2倍あるので合計200倍です。 これではプレパラート上の最初の捜索には倍率が高すぎます。 2点目は双眼鏡筒についている2つの接眼レンズ。 同じ千代田ブランドの10倍ですが何故か種類が異なっています(眼レンズの大きさからして違う)。 最後の3点目は芯出し用望遠鏡が欠品している事。 参考書を見た限りではこれがないと位相差顕微鏡の光学系をちゃんと調整できない気がします(※2)。 いざとなればジャンクレンズを組み合わせて自作も出来るでしょうし... と思っていたら白石さんも肉眼だけで芯出しするそうですし、素人の我々とて修練を積めばなんとかなるでしょう。

 さて、本格的なレストアにはいる前に位相差顕微鏡の観察とはいかなるものか試してみましょう。 光学系の最低限のクリーニングとして各レンズの分解しなくても手が届く範囲をレンズクリーニング液で拭き上げました。 ここまでの範囲ではカビがあっても痕が残るほど酷い状況ではないようです。 観察対象は「明治ブルガリアヨーグルト」。 上澄み(乳精)を一部とってカバーをかけて一時プレパラートとしました。

 
【写真1-2. ヨーグルトの観察(対物20X)】
左:明視野  右:位相差ダークコントラスト

 写真1-2のうち、×はデジカメ内部の繊維くず、Aはヨーグルトの固形分です。 これらは写真左と右いずれも写っていますが、よく見ると写真右には黒く短い繊維状のものがたくさん存在します。 写真では分かりづらいのですが眼視では数個〜数十個くらいの数珠玉みたいに見えます。 多分これが菌なんでしょうね?(博士も勉強中なので断言できる訳ではありませんが...) まぁ、菌かどうかはともかく、明視野では透明に近くて殆ど見えない対象でもしっかり見える事が良くわかりました。 使えると分かったのでレストアにも気合いが入るというものです。



その1:千代田顕微鏡ACM-bi型(位相差レンズ・コンデンサー)導入編へ
その2:位相差対物レンズクリーニング編へ

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※1:現時点で何故かリンク切れになっていますね? いずれにしても「千代田顕微鏡の世界」管理人であり、博士の心の師である白石さんに確認してもらったので間違いないでしょう。
※2:井上勤監修『顕微鏡観察の基本』地人書館(1998年)初版、第10章 位相差顕微鏡の取り扱い方(犀川政稔)、P.160〜166.