ニコン顕微鏡(S型)の世界(その7)油浸レンズへの挑戦
(ニコン顕微鏡S型(SIN顕微鏡)の紹介)
さとう研の顕微鏡群の中で唯一Nikon(S)君だけが持つものの一つに「100倍油浸レンズ」があります(写真7-1)。 油浸?。 詳しく説明するならば .... 、例えばニコンインスツルメンツカンパニーHPの分解能と開口数を解説したページなどを参考にしてください(一応、脚注で説明しておきました)。 本来油浸にはガラスと同じ屈折率に調整した専用オイル(イマージョンオイルと呼ばれる様です)を用いますが、さとう研では保有しておらず、また使用した後にキシロールで手入れが必要など面倒臭そうです。 と、いうわけで100×油浸対物レンズは単なる飾りと化していましたが ..... 。 件のニコンインスツルメンツの顕微鏡入門ページを見ていると? なんとなく、グリセリンでも屈折率の点では空気よりもマシなようです。 グリセリンだったら手入れも楽そうだし。 と、いうわけでグリセリンを使ってみました。(あいかわらず無茶しますな .... そもそも対物レンズにグリセリンを付着させても良いのか?)
ちなみに写真7-1、レンズの先端からプレパラートの間を液体(グリセリン)が掛け橋をしているのが分りますか? 写真は分かりやすくする為にステージを下げています。 実際の合焦位置では殆ど接するくらいに接近しています。 なお、コンデンサーレンズとプレパラートの間も油浸するのを忘れないように。

【写真7-1. 100倍油浸レンズ】
さて、観察するにしてもなにかお題を? 花粉もいいけど40×対物レンズで見た感じではそれ以上倍率を上げても得られるものは少なそう。 そう言えばまだ「木」を見た事が無かったな。 「つまようじ」でも見てみましょうか。 さっそくつまようじをカミソリの刃でスライスします(切片を作製)。 草の茎などよりもずっと硬いのですがむしろ切片は作りやすいです。 やってみないと分らないものですね。

【写真7-2. つまようじ切片作製】
写真7-3以降につまようじの横断面、つまり年輪が見える切断面の写真を紹介します。 エイヤッで作った切片の割に良く見えますね。 対物10×〜40×まで、なかなかよく見えますよ。 また、いつも博士を悩ませたデジカメ内部のゴミ、これも照明のボリュームをコントロールしてやると(→こうやってフルオートなはずのカメラ内部の絞りを調整できる)なんとか目立たなくさせることが出来ました。
では、今回の主役、100×油浸対物レンズです(写真7-5)。 デジカメ1×でちょうど対物40×&デジカメ3×と同じくらいですね。 しかし ..... 。 なんか、対物40×の方がいいような? まぁ、博士の腕前の問題もありますからね。 少なくとも「びっくりするほど」良好な像ではありません。 開口絞りもそんなに絞っているつもりは無いのですがなんか、絞りすぎ?な感じですし .... 。

【写真7-3. つまようじ(水封入)】
左:100× 右:100×&デジカメ3×

【写真7-4. つまようじ(水封入)】
左:対物40× 右:対物40×&デジカメ3×

【写真7-5. つまようじ(水封入)】
左:対物100× 右:対物100×&デジカメ3×
うーん、ふがいない。 やはり専用のオイルを使わないと性能が発揮できないのか? 再びニコンインスツルメンツの「顕微鏡入門」を読み直すとちゃんとヒントが書いてあるじゃないですか。 つまり、試料とカバーガラスの間に距離がある時は封入液と液浸液の屈折率が等しいのが望ましい .... と解釈する事も出来ます。 じゃあ、グリセリンで封入すればいいのか?(本当にこんな解釈で良いのでしょうか) まぁ、「論より実験」、カバーガラスを外してグリセリンで封入し直しました。 結果は写真7-6(左)です。 水封入の写真7-5(左)よりは視野周辺の像の乱れがマシな気がします。

【写真7-6. つまようじ(グリセリン封入)】
左:対物100× 右:対物100×デジカメ写真をトリミングして拡大
一方、写真7-6(右)はいつものデジカメの光学ズームでなしに、500万画素で撮影し、思いっきりトリミングしたものです。 まぁ、「デジタルズーム」のようなものですが例のデジカメ内部のゴミは写らないし、画質もそんなに悪く無い。 このワザも結構使えそうですね。 もっともゴミのない綺麗なデジカメを使っている人には関係無いでしょうね。
ここでまとめてみましょう。 油浸レンズ、グリセリンでも使えない事は無いのですが、博士レベルの腕前・使い道では乾燥系40×レンズと大きな差が無いのが哀しい所です。 もっと分解能の必要な使い方では差がでるでしょう。 一方でグリセリンでは100%の力を発揮できていないのも確かでしょう。 やはりイマージョンオイルを入手して試してみたいものです。
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昭和中期の顕微鏡の世界(その6)スペアレンズの導入と予備機再生へ
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★油浸レンズについて、博士なりの説明: 通常は対物レンズとプレパラートの間は空気だけですよね? この時の対物レンズを「乾燥系」と呼びます。 乾燥系レンズでは光が「プレパラートのガラス」→「空気」間を通る時に屈折が生じるため分解能に限界があります。 はっきりいえば乾燥系のレンズでは倍率をあげるのに限界があるのです。 ここでプレパラートと対物レンズの間をガラスと同じ屈折率を持つ油で満たすとこのような屈折が生じず、対物レンズの分解能を向上する事が出来ます。 このため、市販されている100×対物レンズは大抵油浸(油で満たす)設計となっており、このようなレンズを油浸レンズと呼びます。 しかし、本文でも述べたように油浸レンズは取扱いが面倒。 学習用顕微鏡にはついていないし、.... 。
★簡易照明のボリューム、デジカメ内部のゴミを目立たせなくする事にも役に立つとは。 いろいろな意味で照明は重要ですね。 もっともデジカメはある程度マニュアル設定ができるものがいいです。 さとう研のDSC-P10(SONY)はあまり顕微鏡向けとは言えません。 当たり前の話ですけど。