続 偏光顕微鏡の世界(その1)Olympus顕微鏡POM型導入編
(オリンパス偏光顕微鏡POM型のレストア、観察、改造)
07.11.10公開
Fuji偏光顕微鏡によってさとう研に本格的な偏光観察がもたらされました。 偏光下では岩石標本などカラフルなものでいっぱいです。 しかし... 双眼視に慣れると単眼視は疲れますね。 ましてや直筒は首が痛い(もっとも岩石標本は接着剤で固定してあるので鏡基ごと傾けても問題ありませんけど)。 オリンパス(グレー)やニコン(ブラック)ベースの単眼偏光顕微鏡がでればゲットして双眼鏡筒で使おうと思うのですが、...高いですねぇ。
そんな中見つけたのが今回紹介するオリンパス偏光顕微鏡POM型です。 POM = Polarizing Optical Microscope、つまり偏光顕微鏡ですな(多分)。 いつものごとくヤフオクですが、最後の最後に競合者あり。 思ったよりも高価になりましたがそれにしても通常の相場と比べれば安いもの。 だって、見るからにジャンクコンディションでしたから。 偏光顕微鏡は高価なせいか、ヤフオクでも大切に保管されていた上物が出てきて高値落札のパターンが多いのですがたまにはこういう事もあります。

【写真1-1. オリンパス偏光顕微鏡 POM型】
メーカー : オリンパス(Olympus)
機種名 : POM型
鏡筒長 : 不明
対物レンズ: 10X(交換式)
接眼レンズ: 10X
鏡筒形式 : 3眼鏡筒、アナライザー装備
焦点調節 : 鏡ステージ上下式、粗動ハンドル、微動ハンドル
ステージ : 回転ステージ(角度目盛り付き)
集光装置 : ハネノケコンデンサー(アッベ式開口数0.25〜0.9、ポラライザー付き)
照明 : 平&凹ミラー、落斜照明(ポラライザー、開口&視野絞り付き)
サイズ : 14cm×42cm×28cm(W×H×D、外寸実測、落斜照明の出っ張り除く)
重量 : 10.3 Kg(博士実測)
製造年 : 1962年?(ステージの裏に62と刻印あり 昭和62年=1987年にしては型が古すぎ)
全般的に古ぼけて汚れているのはともかく、光学系に目立ったカビは無いようです(ホコリはありますが)。 接眼レンズはWF10Xがついていましたが2つある方の片方はバルサム切れを起こしており、使い物になりません。 まぁ、もう片方はクリーニングすれば大丈夫そうです。 落斜照明の開口絞りのダイアルが空回りぎみなことなど、他にもいろいろ細かな障害はありますが致命的なものは先の接眼レンズくらい。 あとは何とかなりそうです。
一見してPOM君もこの頃のオリンパスグレー顕微鏡シリーズのバリエーションと分かります。 オリンパスグレー顕微鏡シリーズ同士では鏡筒やステージ、落斜照明などのパーツがワンタッチで着脱&取り替え可能な設計となっていて、例えばEH君にMF君の落斜照明を取り付ければ即、金属顕微鏡に早変わりです。 しかしPOM君では基幹パーツである鏡基(アーム〜鏡筒付け根)がアナライザー内蔵の専用設計となっており、POM君のアナライザーユニットを外してEH君に取り付ける事は出来ません(狙っていたのに...)。 さらに下部に取り付ける落斜照明と対物レンズホルダー(軸合わせ機構付き)が専用のアリ溝で接合されています。 よって、POM君の落斜照明ユニットをMF君に取り付ける事も出来ません(比較してみようと思っていたのに...)。

【写真1-2. ハネノケコンデンサー(ポラライザー)】
興味津々の落斜照明〜アナライザー部分ですが初めて見るアリ溝のため、簡単に分解できません。 まぁ、じっくりとやりましょう。 ともかくコンデンサー(兼ポラライザー)を見てみましょう。 Fuji偏光顕微鏡では部品がごっそりと抜けていたのでいじるのが楽しみなパーツの一つです。 なかなかメカニカル&立派な外観じゃないですか。 見た所アッベ式っぽいのに開口数が0.25〜0.9と通常の1.2よりも控えめです。 まぁ開口数が1.0を超えると油浸しないと意味が無いらしいし、さとう研常用のうちで最大倍率の40×対物レンズの開口数は0.65ですから問題ありません。 現物は古びた外観ながらも磨けば輝きそうな、博士好みの状態です。
さてこの顕微鏡、透過照明、落斜照明いずれもポラライザーが内蔵されており、どちらでも偏光観察が出来る優れものです。 博士などは偏光観察=透過照明との固定観念があったのですが、「岩石標本の作製&観察(その7)」でも紹介した様に岩石の鉱物同定(特に金属鉱物)には透過・落斜両方の照明が必要だそうです。 この手の使い方は研究用途の他にも迅速な分析の必要な鉱山会社でも行われているそうです。 偉そうに言いながらも友達の須田さん(地学専攻)の受け売りなんですけどね。 さらに言えばこのPOM君、学生時代に使用したのと同形との事。 むき出し状態で入手したのでPOM君の過去の履歴は分かりません。 博士号を目指す学生が徹夜しながら覗いていたのか、あるいは鉱山技術者が明日の坑道掘削を決める為に覗いていたのか...。
