続傾斜型顕微鏡の世界(その3)レストア編2
(オリンパス顕微鏡KC型のレストア、観察、改造)     06.7.2公開

 おっと。 前回は「レストア」といいながらKC型の細部を他の型と比較するだけで終わったしまいました。 実際、外装のクリーニングは特に言う程の事はありません。 クリーニングしやすいように適度に分解し、ジャバジャバ洗う&磨くだけです。 特筆すべき事は無い、と言いつつも気持ちは良いですけどね。

 さて、このKC型レストアで一番の難関は傾斜接眼部分の変角プリズム(と表現して良いのかな?)でした。 カビが発生しているんですよね〜。 接眼側&対物側の穴から綿棒を突っ込んでもある一面(?)は届きません。 仕方ない、ばらしましょう。


【写真3-1. KC型プリズム室】

 プリズム室をいじる為にはカバー(OLYMPUSのロゴがある丸頭)を外す必要があります。 これの外し方が分らない。 どこかにネジが? .... ない。 結局カバーの端にマイナスドライバーを噛ませてカン、カン、カン、と。 スコン、と外れました。 単にかぶせてあるだけだったのです。

 組み立てる際のプリズム位置の目印としてあちこちケガキをしてからプリズムカバーのネジ4本+プリズムを固定している(プレートを固定している)ネジ4本を外し、プリズムと御対面です。

  
【写真3-2. 変角プリズム】

 プリズムの第一反射面はオレンジ色の塗装?コーティング?が施されています。 これの目的が反射率向上にあるのかプリズム面の保護の為にあるのかは良く分らない所です。 さて、さんざん博士を手こずらせたプリズムも中性洗剤で優しく洗えば新品同様、ぴかぴかです。 それにしても接眼側の穴からも対物側の穴からも手が届かなかった例のガラス面はどこに行ったのか?

 図3-3に博士の想像した変角プリズム光路を描きました。 プリズムの形(角度)からして内部で2回反射している様です。 第一反射面は保護されているし、接眼側および対物側の透過面は綿棒が届きます。 例のどうやっても手が届かなかったのは第二反射面だったんですね。 ここにカビが生えたら普通は万事休す(博士みたいに無鉄砲な人ならなんとかなりますけど)。 もっともプリズムの良い所は少々の汚れには強い所です。 厳密には散乱・乱反射によりコントラストが低下しているはずですが ..... 博士程度のレベルでは良く分りません。


【図3-3. 変角プリズム光路(博士想像)】

 ところで天体望遠鏡にも「天頂プリズム」なる似たような目的の装置があります。 天体望遠鏡も顕微鏡と同じく、もともと倒立像(180°回転)なのですが、これをつけると裏像(180°回転×鏡像)になります。 このKC型みたいな傾斜接眼部を有する顕微鏡ではてっきり裏像だと思っていたのですが実際には倒立像なのでなんでかな?と思っていたのですがやっと分りました。 2回反射=左右逆転をくり返し、結果として元に戻っているんですね。

 では元に戻しましょう。 まずはケガキ線に沿って元に戻します。 さらに対物レンズを取り付け、接眼部から眼で覗きながらレンズの視野(輪)、鏡基の遮光環など(輪)が同心円になるように調整しました。

 クリーニングを終えたら再度組み上げ、完成です。 もともとのレンズ構成は10X、40X、100Xでしたが油浸100Xレンズは殆ど使わないのでNikon(S)君にならい、4Xに交換しました。 さらにOLYMPUS(MF)君についてきた余分のWF10X接眼レンズを付けましたが、このクラスで広視野レンズとは贅沢ですね。


【写真3-3. 完成】

 同じオリンパス・グレー顕微鏡のEH型と並べてみましたが .... 。 まるで大人と子供ですね。 EH型は博士(大人)が、KC型はサラダちゃん(子供)が使うつもりですからちょうどいいと言えましょう。



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続傾斜型顕微鏡の世界(その6)KC型vsH型へ
続傾斜型顕微鏡の世界(その7)H型の木箱の流用へ

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★他にも忘れてはならないのがメカニカルステージのツメ(はさみ?)ですね。 古くなると必ずグリスが固化し、動きが渋くなる部分ですが、逆に分解掃除し、新たにグリスアップすれば確実に新品同様になる部分でもあります。 忘れがちな部分ですが顕微鏡観察する際は必ず使う部分ですからね。
★このKC型ではメカニカルステージのY軸ハンドルに数mmのガタがありました。 これまた気になるものです。 ハンドル付属のネジを外しても(X軸ハンドルの上にある)Y軸ハンドルが外れないので半分諦めていたのですが .... 。 ネジの数から考えて外れないはずが無い!と、ソフトプライヤーでエイヤッと! グキグキいいながらも外れてくれました。 X軸ハンドルの隠しネジのユルミを直してO.K.です。 ソフトプライヤーも必需品ですね。
★レストア編1で細部の比較にこだわっている内に肝心の分解掃除を忘れ、見え味堪能編に進んでしまいました。 改めてレストア編2を追加した次第です。