双眼顕微鏡の世界(その3)接眼部のクリーニング
(オリンパス顕微鏡EHCr Bi-I型)のレストア、観察、改造)
前回の予告通り、接眼部のクリーニングです。 単眼の顕微鏡ならばある程度気軽にバラせますが .... 。 双眼のOLYMPUS(EH)君は「左右の光軸合わせ」をきちんと行わないと全く使い物にならなくなってしまいます。 博士にそんな器用なマネができるのか? しかし、このOLYMPUS(EH)君に関してはクリーニングしなければそもそも「見えない」のですから遠慮は無用です。
まずは接眼レンズを外して筒の中のレンズ(?)を .... 。 ほんと、カビだらけです。 水拭き&アルコール拭きでなんとか復活。 しかし、その奥もカビ、またカビ。 覚悟を決めてバラしましょう。
バラすと言っても「光軸」の問題も有りますので必要最低限で行きます。 くれぐれも調子にのってやりすぎないように(写真3-1)。

【写真3-1. 接眼レンズ群】
またまたクリーニング前のカビカビ写真を撮り忘れてしまいました。 見物だったのに .... 。 さて、標本からの光線は対物レンズを経て、部品1(レンズ2枚)→部品2(プリズム)→部品3(プリズム2つ組み合わせ)→部品4(左右にプリズム1つづつ&レンズ?)→接眼レンズを通ります。 これら全てのガラス面がに例外なくカビが生えていたのですから ..... 。 カビの除去は水拭きで行いました。 ガーゼの水分でじわっと湿らせ、柔らかくなった所をごくごく優しく拭きます。 内部のガラス面はカビは生えていたものの外部のレンズのようなしつこい汚れはなく、すっきりと綺麗になってくれました。
双眼顕微鏡に対する博士の一番の疑問は「光線をどうやって左右に分けているのだろう?」でした。 その役目は写真3-1の部品3が担っています。 図3-1に図解しました(注:写真3-1では上下逆さまに置いてあります)。 部品3は大小2つのプリズムが組み合わさって構成されています。 下からやってきた光線はひとつめのプリズム反射面で2つに別れ、直進した光はつぎのプリズム反射面で反対側に方向を変えます。 これで一つの光線が左右に振り分けられた訳です。 「ほーっ、なる程」 しかし ..... 。 こんな原理で光を50%-50%にわける事ができるんでしょうかね? つまり、第一の反射面で反射光と透過光を50%-50%に分け、第二の反射面ではそれを100%-0%とする訳ですよ。 そんな都合の良い ..... 。 ちなみに全てのガラス面にはコーティングやメッキなどはいっさい施されていません。 うーん、また疑問が増えてしまった。

【図3-1. 光線の左右振り分け(プリズム組み合わせ)】
さて、クリーニングを終え、再び組み込みます。 覗いてみると視界が「すっきり」しました。 しかし .... 。 やはり、左右の光軸が狂ってしまいます。 右目と左目があさっての方向を向いてしまっているのです。 これは結構大変ですよ。 カメレオンを少しだけ尊敬したくなります。 さらに言えば左右の視度調整(左右のピントをあわせる)が効かなくなりました。 どうも部品3が左右どちらかにずれている様です。

【写真3-2. 光軸調整】
部品3の3つの取り付けネジを締めたり緩めたりしながら左右の光軸を合わせて行きます。 幸い、この方法だけで光軸をあわせる事が出来ました。
ちなみに本来の光軸合わせは接眼レンズを収めるチューブの角度を3本のネジで調整するようです。 博士のOLYMPUS(EH)君ではせっかく光軸があったのですから敢えて触りませんでした。 じつはここを外さないとクリーニングできないレンズがあるのです。 うーん、悩みました。 まぁ、この状態で使いながら考えましょう。

【写真3-3. 光軸調整(2)】
これで接眼部のクリーニングは終了です。 前述したように手が届かなかったところがあり、完全ではないのですがそれでも綺麗なもんです。 ここだけの話ですが職場のオリンパスBH-2よりもずっと綺麗になりました。 ユーザーの感性の問題ですが少しくらいのカビ・汚れなら無視する事も可能です。 そもそも写真撮影の時は直筒(プリズムなどなく、たんなる筒)を用いればいいわけですし。 .... 負け惜しみかな? そう、実用性はともかく「趣味」のもんですからこだわって完璧を目指したいものです。
ともかく、接眼部はおしまい(しつこい)。 次回は光源部分のクリーニングです。
双眼顕微鏡の世界(その1)OLYMPUS(EH)君導入編へ
双眼顕微鏡の世界(その2)レンズのクリーニングへ
双眼顕微鏡の世界(その3)接眼部のクリーニングへ
双眼顕微鏡の世界(その4)光源部分のクリーニングへ
双眼顕微鏡の世界(その5)外装のクリーニングへ
双眼顕微鏡の世界(その6)電源自作の試みへ
双眼顕微鏡の世界(その7)見え味堪能へ
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★双眼部の分解はくれぐれも覚悟の上で行ってくださいね。 もとにもどらない可能性はかなり高いと言えます。 顕微鏡ではないのですが、「星を見る道具の工房」での双眼鏡修理を見れば光軸合わせがいかに大変であるかがわかります。 .... といっても顕微鏡の場合はそもそも一つの対物レンズから出発しているので双眼鏡程大変なわけではないんですけどね。 そうそう、実体顕微鏡は左右別々の対物レンズから出発しています。 これは双眼鏡並みの難易度でしょうね。