続昭和初期の顕微鏡の世界(その4)メカニカルステージのクリーニング
(協和顕微鏡のレストア、観察、改造)        06.12.24公開

 今回はメカニカルステージをいじりましょう。 このメカニカルステージ(クレンメル)は少々変わっていて、プレパラートを挟むときに現在良くあるタイプのごとくバネ仕掛けのツメを開閉するのではありません。 現在の協和光学工業でも良く似たメカニカルステージがオプションパーツとして販売されていますがバネ仕掛けに変更されています。


【写真4-1. メカニカルステージ】

 メカニカルステージは各稼動部分に固着はないものの、固着寸前ではあります。 X軸などは動きが渋いな、と思いつつ3回ほど動かしたらハンドルが外れてしまいました。 他の部分もどっこいどっこい。 バラして固化した油を除去し、再注油すれば往年のスムーズさを取り戻すでしょう。(もっとも博士自身は「往年の協和顕微鏡」に触れたわけではないので、ひょっとしたら新品のときからの渋い動きが売り物の可能性も .... そんな訳ないか。)

 ここで気をつけなければならないのがネジです。 この時代の顕微鏡はネジも真鍮で出来ていることがあり(千代田(B型)がそうでした)、そもそも年月を重ねていてネジの固着が激しく、外すのが容易ではありません。 いつもはいきなりドライバーを立ててなめてしまうこともままありましたが今回は「ゆったり」がテーマです。 全体に潤滑油(CRC−556)をかけて1日置いておきました。


【写真4-2. 分解の図(クリーニング前)】

 これまではメカニカルステージの整備と言っても比較的状態が良く、クレンメルのバネ仕掛けの部分を清掃&注油したくらいです。 タンジェントスクリュー方式って言うんですか? 実物を触ると機構がよくわかります。

 対外のパーツは削りだし加工で作られているようですが、原材料の真鍮ブロックに「鬆」が入っていたようです。 さすがに見えるところにはありませんが、パーツの裏のところどころに「鬆」と思わしき不規則な穴が開いています。 好きでそんな原材料を使っていたとは思えないので、当時(終戦直後)いかにまともな材料を仕入れるのが難しかったか、ということなのでしょうね。 これだけ穴があいているという事はやっと削りだしたパーツの表側に穴が顔を出して泣く泣くゴミ箱行き、というケースも少なからずあったと思います。 それにしてもメッキが薄いですね〜。 クロームポリッシュで軽く磨いたつもりがあっと言う間に地肌の真鍮色が透けてきます! 手で磨いた程度なのに...。 やはり当時の工業事情によるものと想像します。


【写真4-3. クリーニング完了】

 さて、問題のクレンメルです。 プレパラートをセットするときは写真の赤円内のネジを緩めてツメの位置をプレパラートの大きさにあわせてスライドし、再度ネジを締めて固定する必要があります。 それとも緩めに固定しておいて、プレパラートは置くだけだったのか? まだ使っていないのでどちらが良いのかは分かりませんが、まぁ好みの問題な気もします。

 さて、この(ある意味)面倒くさい方式、この時代のは皆このタイプだったのか(後にバネ方式が発明された)? 或はどっかの会社の特許の関係で実施出来なかったのか? コスト的にはバネ仕掛けのほうが部品点数が少なくて有利と思えるので上2つの理由のうち、どちらかだったのでしょう(多分)。 ちなみに同時期にヤフオクに出品されていた、同世代と思しきスンプ顕微鏡でも同じタイプのクレンメルのようでした。




その1 協和顕微鏡導入編へ
その2 Carl zeissレンズの見え味へ
その3 対物レンズのクリーニングへ
その4 メカニカルステージのクリーニングへ
その5 レストア終了へ

Top Pageにもどる




★このメカニカルステージ、各社共通なのか? 少なくともオリンパス社製の顕微鏡とは互換性が無いようです。 現在でもオプションパーツとしてメカニカルステージを購入する場合、異メーカー品は避けた方が良いかもしれません。